デスクトップ仮想化のコスト削減効果は5年で約3800万円、ITRが試算

調査会社のITRは、事業継続などの手段として注目されているデスクトップ仮想化の導入効果について分析した。

» 2011年05月27日 15時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 IT調査会社のアイ・ティ・アールは5月27日、デスクトップ仮想化や「マネージド・クライアント(プロファイルの仮想化)」のコスト試算調査の結果を発表した。在宅勤務などの手段として注目される技術の導入効果についてまとめている。

 試算では、「国内に7拠点を有するユーザー数1000人の製造業」を想定し、デスクトップ仮想化とマネージド・クライアントの導入が全体コスト(TCO)に与える影響を算出した。デスクトップ仮想化ソフトウェアには「Citrix XenDesktop VDI Edition」、マネージド・クライアント・ソフトウェアには「EUGRID PLATFORM Client Edition」を用いた。

 その結果、通常のPCを継続利用する場合に比べ、デスクトップ仮想化を導入した場合では5年間の運用管理コストを約6000万円、マネージド・クライアントを導入した場合では約2300万円、それぞれ削減できることが分かった。また機会損失コストは、デスクトップ仮想化で約8500万円、マネージド・クライアントで約4900万円の削減が可能だとしている。

 デスクトップ仮想化やマネージド・クライアントは、通常のPCよりも初期導入コストが大きいものの、導入4年目にはTCOがほぼ同等になるという。5年間のTCOでは通常のPCに比べ、デスクトップ仮想化で約3800万円、マネージド・クライアントで約1100万円の削減効果が見込まれる結果になった。

 デスクトップ仮想化は、東日本大震災を契機に企業の事業継続の手段として注目が高まったが、ライセンス面などの初期導入コストが高くなるため、導入を諦めるケースがあるという。ITRは、デスクトップ仮想化の導入ではTCO削減だけでなくセキュリティ強化などの効果も見込まれるため、長期的なクライアント戦略として検討することが望ましいと提起している。

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