ITの可能性を追求し続けるMicrosoft、次世代製品の数々Microsoft WPC2011 Report(1/2 ページ)

開催中の米Microsoftのパートナー向け年次イベントでは、同社が今後リリースする予定のソフトウェア新製品の動向が次々と披露された。

» 2011年07月14日 10時34分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 米Microsoftのパートナー向け年次イベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2011」が7月10から5日間の日程で、米カリフォルニア州ロスアンゼルスのコンベンションセンターを会場に開催されている。2日目は同社のさまざまな製品を一堂に紹介するパートナー向けの「製品見本市」的な内容の基調講演が行われた。

揺るぎないビジョン

 WPCでは基調講演の前に、まず数分程度のメッセージ性の強いビデオが上映されるのが恒例となっている。初日は日本の東日本大震災を踏まえたもので、2日目は、生まれつき、もしくは事故や病気などでうまく話せない/コミュニケーションが取れない人をITの力で支援するという内容であった。入力支援機能と音声読み上げ機能があるアプライアンスといったデバイスを使う。自分が伝えたいことを自然な音声として相手に伝えるためのものだが、これを使うことで、今まで話すことができなかった子どもが自分の気持ちを親に伝えられるようになったというシーンだ。

 Microsoftは、創業の間もないころから「PCやデジタルテクノロジーによって人々の生活をより豊かに、よりよいものに」といった希望に満ちた技術感を語る会社だったが、創業から30年以上経った今も、そうしたビジョンが揺るぎない点は見事と言わざるを得ないだろう。

 2日目の基調講演は、この導入を受ける形で同社の技術開発が着実に進、これまでは実現できなかったさまざまな新しい機能が可能になりつつあるというメッセージをパートナーに伝えることを主眼としたものだ。当然ながらパートナーにとっては、今後1年間で自分たちが取り扱うことになる“商材”にどのようなものが準備されているのか注目する内容だろう。

 各ジャンルのトップレベルの担当者4人が、30分程度の持ち時間の中でそれぞれのホットトピックを紹介し、重要なテーマについては製品担当者がデモも披露するという形で進行した。膨大な数に上る製品の“マシンガントーク”を聞き続けるという聴衆にとってはなかなかタフな講演となった。

まもなく登場する注目の製品や機能たち

サテュア・ナデラ氏

 最初に登壇したのは、サーバ&ツール担当プレジデントのサテュア・ナデラ氏だ。同氏が紹介した主な製品は、Windows Server、System Center、SQL Server、Windows Azureである。

 Windows Serverに関しては、次期メジャーリリースとして「Windows 8 Server」の開発が進行中であることが明らかにされた。また運用管理ツールのSystem Centerの新機能に関するものデモでは、従来のLAN接続のサーバとWindows Azureによって構築されたクラウド環境をシームレスにまたがってアプリケーションの管理が可能になるということを披露した。

 SQL Serverは、次期バージョンで実現されるデータ分析の新機能がデモで紹介された。SQL Serverでは、同社は以前のバージョンからExcelと連動するビジネス分析(BI)機能に力を入れてきたが、次期SQL Serverでは、より簡単な操作によってビジュアルなデータ解析が可能になるようだ。簡単な操作でデータを選び、画面上に配置するだけでさまざまな形式でグラフ化され、時系列に沿った変化がアニメーションで表示されるなど、高度なビジュアライズ作業がほとんど手間をかけることなく実現できることを披露している。

次期SQL Serverのデータ解析のデモ。複数のデータの時系列での変動をアニメーションで表示していた

 Windows Azureに関しては米Boeingが作成したAzureアプリケーションの様子がビデオで紹介された。飛行機のインタラクティブなカタログであるが、飛行機を購入したいという顧客向けのもので、外観をあらゆる角度から眺められるのはもちろんのこと、ズームアップすればボルト一本一本までクローズアップできるというものだ。内部構造や整備のためにどのような環境が必要かといったレベルまでを、オンライン上で詳細に検討できる。技術的にはさほど目新しいものではないが、こうしたデータは量が膨大なものであることは映像を見ただけでもすぐに分かる。Azureのようなクラウド環境でないと実行が難しいアプリケーションである。

カート・デルベーン氏

 続いて登壇したカート・デルベーン氏は、Office製品全般について担当する。OfficeやSharePoint、Exchange、Lyncといった製品群について紹介した。主題は、従来のパッケージによる「オンプレミス型」ソフトウェアとクラウド型のOffice 365のようなサービスの境目を解消していき、ユーザーは両方の環境を自由に行き来しながら最高の生産性を実現できるというものだ。デモでは、Lyncによるインスタントメッセージ(IM)の自動翻訳機能、ホワイトボードサイズのタッチパネルスクリーン、KinectとLyncを組み合わせたテレビ電話などが披露され、来場者の賞賛を浴びていた。

 ビジネス・ソリューション担当プレジデントのキリル・タタリノフ氏は、主にDynamics製品群を紹介した。同氏のプレゼンテーションで一番に注目を集めたと思われるのが、「Microsoft社内では歴史的な経緯もあって、CRMシステムにSiebelを使っていたが、このほどDynamicsへの移行が完了し、“Siebel Free”になった」と語ったときである。同氏は今後予定されているDynamicsの新バージョンを、「ゲーム(のルール)を変える」と表現し、「Dynamicsでダイナミックなビジネスを」と訴えた。

キリル・タタリノフ氏
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