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業務量の変化にも柔軟に対応:日本生命の「新統合計画」を下支えするデータベース基盤

日本生命では2006年8月から顧客サービスのさらなる充実を目的にした「新統合計画」を推進している。現在、2012年の完了を目指し、基幹システムを抜本的に再構築する「新統合システム」の開発を進めている最中だ。その実現に向け、「IBM DB2 pureScale」と「IBM Power Systems」を組み合わせ、業務量や業務プロセスの変化に柔軟に対応可能なデータベース基盤の整備に取り組んでいる。


保険商品をより分かりやすく提案するために

 日本生命は創業120年を数える世界でも有数の生命保険会社である。設立10年目の1899年には保有契約高で国内首位の座を獲得。以来、100年以上にわたり日本の生命保険業界をけん引する役割を担ってきた。また、日本で初めて契約者利益配当を実施、中国市場へいち早く進出するなど、業界のパイオニアとしての顔を併せ持つ。

日本生命保険 新統合推進部 専門部長の長崎豊氏 日本生命保険 新統合推進部 専門部長の長崎豊氏

 そうした同社が2006年8月から取り組んでいるのが、顧客サービスのさらなる充実を目的とした一大プロジェクト「新統合計画」である。同プロジェクトは保険の提案や引き受けから保険金・給付金の支払いに至るまでのあらゆる仕組み、具体的には同社の保険商品と業務プロセス、そしてそれらを支えるシステムを、顧客視点から抜本的に見直すものだ。

 従来は契約者の死亡時に遺族が保険金を受け取る死亡保障を中心としていた生命保険だが、晩婚化・非婚化の進行や共働き世帯の増加などを背景に、生命保険に対する顧客のニーズは多様化を続けてきた。これに対して生命保険業界は、ガン保険に代表される第三分野保険など、新商品の開発に取り組むとともに、それらを組み合わせて提供することで顧客の様々な要望に応え、より広範な顧客のリスクに対処できるよう努力を続けてきた。

 だが、組み合わされる商品が増えるほど、その内容を理解することが難しくなるのは否めない。日本生命の新統合推進部で専門部長を務める長崎豊氏は、「お客様のリスク対策の高度化のために保障内容を充実させてきたものの、その一方で“特約数が多くてわかりにくい”、“保障内容をもっと分かりやすくしてほしい”との声もいただくようになった。お客様にとっての分かりやすさや利便性の向上といった観点から商品、業務プロセスを抜本的に見直し、お客様サービスのさらなる充実を図ることが新統合計画の狙い」と説明する。

 その実現に向け、同社が現在、既存の基幹システムの再構築も含めた開発に取り組んでいるのが「新統合システム」であり、その中で顧客への提案・対応情報を総合的に管理するために活用する仕組みが「IBM DB2 pureScale」である。

データベースへのアクセス集中が課題

 新統合システムの開発にあたり日本生命では、“守るべきもの”、“変えるべきもの”、“新たに加えるべきもの”という3つの観点から既存システムを見直し、理想とする将来像の見極めに力を注いだという。その結果、顧客リスクを引受け長期にわたり安心を提供する、生命保険の根幹となる契約管理システムのプラットフォームは、その優れた上方互換性から守るべきものとしてIBMメインフレームへの存置を判断。対して、顧客一人一人のニーズにフェイス・トゥ・フェイスできめ細やかに対応する同社のメインチャネルである営業職員や、コールセンター、インターネットなど利便性向上のためのチャネルのシステムのプラットフォームは、オープンスタンダードの進展に伴い常に変えるべきものと位置付け、仮想化を推進するほか、顧客への提案・対応情報を総合的に管理するデータベース・プラットフォームを新たに加える結論を下した。

 具体的には、リスクと保障の正規化を通じて商品の分かりやすさの向上と契約管理システムの肥大化抑止を図るが、そのデータのライフサイクルの長さからメインフレームへの投資は継続する。一方で、顧客ニーズの変化に積極的に対応するチャネル・システムについては仮想化構成により柔軟性と効率性を確保するほか、同社の営業職員によるフェイス・トゥ・フェイスのきめ細やかなコンサルティング活動を高度に支援できるよう、顧客への提案・対応情報を一元的に管理可能なデータベース基盤を構築すべきと決断した。

「ペーパレス化、プロセスの自動化により、迅速なお客様対応と社内業務処理の効率化、継続的なプロセス改善に向けた可視化を図ると同時に、メインチャネルである営業職員がお客様への提案・対応情報を総合的に把握し、きめ細やかなコンサルティングをできることが重要」(長崎氏)

 ただし、一元化されたデータベースを様々な業務プロセスが利用すれば、当然ながらアクセスはそこに集中する。しかも、同社の顧客サービスの基本は、営業職員による“フェイス・トゥ・フェイス”のきめ細やかなコンサルティング活動にある。情報入手を通じた顧客のリスク認識の把握と保障の精緻化を図れば、必然的にトランザクション数の増加と負荷の増大を招かざるを得ない。

 また、顧客ニーズの変化に積極的に対応することを前提とすれば、業務プロセスごとの量や負荷の変化の見極めは困難となる。加えて、そこで管理される顧客への提案・対応情報は契約管理システムで扱うものほどライフサイクルは長くはないが、顧客対応に用いるものだけに、データベースの可用性はできる限り高く維持する必要があった。しかも、運用コストをできる限り抑えつつである。

 同社がかねてからチャネル・システムで利用してきたデータベース・サーバはHA構成により高い可用性を実現していたものの、「この手法では利用量増大に際して能力増強するほかなく、待機系のサーバにも稼働系と同等能力が求められる。加えて、今後の業務プロセスの量や負荷の変動に対応するため、可用性と柔軟性を両立したソリューションが必要だった」(長崎氏)

拡張性とコストの両面から着目した新製品

 こうした中、日本IBMから提案を受けたのがDB2 pureScaleであった。その特徴はDB2データベースをPower Systemsなどの複数のサーバで共有でき、サーバの追加によってアクセス増にも容易に対応できる点にある。顧客への提案書を作成するシステムは、約1600拠点から約5万人の営業職員が毎朝いっせいに利用するためデータベースへのアクセスが集中する。

 だが、pureScaleであれば、「現状においても、最大128台までのサーバ追加でほぼリニアに性能が向上することが見込まれるほか、Power Systemsの仮想化と組み合わせることで、業務量の増減に柔軟に対応することができる。費用面でもHA構成で同等の連続可用性を実現する場合と比べて大幅に抑えることが出来る」と長崎氏は語る。

ニッセイ情報テクノロジー 基盤ソリューション事業部 ITソリューションブロック マネジャーの玉村誠剛氏 ニッセイ情報テクノロジー 基盤ソリューション事業部 ITソリューションブロック マネジャーの玉村誠剛氏

 とはいえ、pureScaleは発表後間もない製品だけに、採用の可否を判断するにあたっては慎重を期した。日本生命と共同で今回のプロジェクトに取り組んでいたニッセイ情報テクノロジーのメンバーをpureScaleの開発拠点に派遣したのもまさにそのためである。同社 基盤ソリューション事業部のITソリューションブロックでマネージャーを務める玉村誠剛氏は当時を次のように振り返る。

「pureScaleの提案を受けた当初は、製品がリリースされたばかりということもあり懐疑的な面もあった。しかし、開発拠点に赴き、説明を受けるにつれてpureScaleはハイパフォーマンス・コンピューティングの分野で培われたInfinibandやRDMA(Remote Direct Memory Access)、GPFS(General Parallel File System)など、すでに数多くの実績がある技術の集積であることが理解でき、導入の不安も払拭されることになった」(玉村氏)

 pureScaleにより利用量増加時の拡張性の問題は解決が見込まれたものの、一方で、業務プロセスによっては今後の見直しにより利用量が将来的に減少する可能性も無視できなかったという。その場合、業務ごとのサーバ構築では投資が無駄になりかねないからだ。こうした意見をふまえ、日本IBMはPower Systemsのマイクロ・パーティショニングや共用プロセッサー・プールなどの仮想化技術により、業務プロセスごとの利用量の増減に柔軟に対応可能な構成を提示するなど提案にさらなる配慮を払った。

「仮想化技術と組み合わせた構成であれば、業務プロセスごとの利用量が増減しても全体的な効率性を保てると判断した。連続可用性を必要とする社内のあらゆるデータの管理基盤として、今後の横展開にも耐えられるものになっていると高く評価している」(長崎氏)

顧客データのさらなる活用も視野に

 2012年1月のシステム本番、4月の業務利用開始を控え、新統合システムの開発作業はいよいよ佳境を迎えている。もっとも、日本生命ではこれまで同システムの段階的なサービスインを実施しており、その効果はすでに目に見えるかたちで表われている。累計で300万契約を突破した「総合医療特約」と「マイメディカルEX」は、顧客の声をもとに、より分かりやすい商品を開発した成果だ。また、2010年5月にはワークフローを見直すことで、「支払アンダーライティングシステム」の稼働も開始。これにより、保険金・給付金の支払いが分かりやすい簡明な手続きとなり、顧客の利便性向上に確実に寄与している。

 加えて、計画をすべて実現した暁には、さらなる顧客サービスの充実と継続的な改善サイクルが実現できると長崎氏は語る。

「保険のご提案、お引受けから保険金・給付金のお支払いに至るまでを、お客様の面前で分かりやすく簡潔に行えるのが理想のお客様対応と考えている。ただし、従来は紙ベースの社内処理の関係から、何度も営業職員がお客様を訪問する必要があった。商品そのものの分かりやすさの向上、業務プロセスにおけるペーパレス化と標準化、および定型処理の自動化により、お客様に安心をより分かりやすく、利便性高くお届けできるようになるほか、可視化により継続的な改善サイクルを確立できる」

 そのメリットを最大限に引き出すために、社員教育にも余念がない。すでに全支社から新統合計画の推進担当者を集めて、その意義と業務プロセスや組織で見込まれる変化について説明を行ったほか、システムの操作教育も今年10月から本格化させる考えだ。

 長崎氏は新統合プロジェクトのこれまでについて次のように振り返る。

「全社が常に長期的な視野でお客様サービスの充実を目指し、前提を排して保険のあらゆる仕組みの見直しを検討してきた。pureScaleもメインフレームやハイパフォーマンス・コンピューティングで培われてきた長い歴史を持つテクノロジーの合流によりイノベーションを実現しており、お客様に長期にわたり安心をお届けし、常にお客様サービスの充実を目指す当社の主要なデータベース基盤となることを期待している」

 pureScaleは日本生命の顧客サービスの充実を、今後もさまざまな側面から支えていくことになるはずだ。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日


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