「顔認識技術で個人の社会保障番号まで割り出せる」――米研究者が発表

Facebookのプロフィール写真とクラウドコンピューティング、既存の顔認識ツールを組み合わせれば、オフラインの個人のかなり詳しい情報をオンラインから抽出できるという実験結果を、カーネギーメロン大学の研究チームが発表した。

» 2011年08月02日 09時06分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 一般に公開されている個人情報と写真、顔認識ツールを利用すれば、個人の社会保障番号まで割り出せる――。米カーネギーメロン大学で情報技術および公序を専攻するアレッサンドロ・アクウェスティ准教授が8月1日(現地時間)、研究結果を発表した。詳しいリポートは、ラスベガスで4日から開催のセキュリティカンファレンス「Black Hat」で発表する。

 「人の顔はオフラインとオンラインのアイデンティティーを結び付ける重要なリンクだ。タグ付けした自分の顔写真をオンラインで共有すれば、第三者がこうした写真の顔を名前その他の情報に結び付けることができる」(アクウェスティ氏)

 同氏と研究チームは、個人のオンライン情報を実際の人物に合致させるために、3つの要素――既存の顔認識ツール、クラウドコンピューティング、SNSで一般公開されている個人情報――を使って実験を行った。

 研究チームは、人気のオンラインデーティングサイトで非実名で登録されている個人を、米FacebookなどのSNSのプロフィール写真と照合して特定し、大学のキャンパスにいる学生を撮影した写真もプロフィール写真と照合し、特定できた人物について、個人情報を収集した。独自に開発したアルゴリズムを用いた結果、公開されているデータから社会保障番号をつきとめることもできたという。

 同チームはまた、この実験をリアルタイムで行える「AR(拡張現実)」スマートフォンアプリも開発した。端末のカメラで取り込んだ画面上の個人の顔の映像に当人の個人情報をオーバーレイさせることができるという。

 クラウドコンピューティングの性能が上がって価格も手ごろになってきた現在、顔認識ツールでの写真のタグ付けが一般的になれば、実際の個人とオンライン上の情報のリンクはより簡単になるとアクウェスティ氏は言う。

 顔認識技術は、Facebookが投稿写真のタグ付けに利用している他、米Appleも米Polar Roseを買収し、iPhotoに顔検出機能を追加している。また、米Googleはカーネギーメロン大学からスピンオフした顔認識技術の米PittPattを買収した。

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