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» 2011年09月07日 08時00分 UPDATE

未来のために働くIT部門となれ:【最終回】ビジネスをリードするIT部門を目指して (1/2)

第1回はウォルマート、第2回は韓国通信企業のKTを取り上げ、過去の成功体験から脱却して新技術を取り入れた事例や、短期間で新技術を活用した事業を立ち上げた事例を見てきた。最終回では、ビジネスをリードし、未来のために働くIT部門となるために、どのように変革を進めていくべきかを論じたい。

[松元貴志,ITmedia]

高まるIT部門への期待

 ウォルマートは、かつてITによってEDLP(Every Day Low Price)を実現し、今はソーシャルメディアをECに活用することに挑戦している。また、KTは最新の技術を使って、競争力の高いクラウドサービスを短期間で立ち上げた。これらの例に象徴されるように、今日ITがビジネスに与える影響は非常に大きくなっている。

 ビジネスにおけるITの重要性が高まるにつれ、IT部門に対する社内外からの期待も高まっている。一般社員は、業務に使うシステムがいつでも利用でき、止まらずに稼働することを望んでいる。経営は、IT部門が事業の改革と成長をけん引しながら、同時にコスト削減にも寄与することを期待している。顧客やビジネスパートナーも、自分たちが負担するコストが下がることと、最新の技術によって購買・発注などのプロセスが高度化、効率化することを同時に望んでいる。

 24時間365日止まらないシステムを維持しながら、ITによる業務改革を進め、新しい技術を取り入れた新規事業の創造にも寄与する、そんな広範囲の活躍が期待されているのが、現代のIT部門である。

 事業環境がめまぐるしく変化し、多数のプロジェクトが予算獲得を競い、優先順位が常に変化する複雑な企業にあって、これらの多様な期待に応えるためには、次のような疑問に答えていく必要がある。

「事業を革新し、新しい事業を創造するようなIT能力をどうやって獲得していくのか」

「自社にとって最大の価値と成長もたらすITプロジェクトをどうやって選んでいくのか」

 既存の業務を支援するシステムを開発し、運用することが仕事の中心だった従来のIT部門から、ビジネス改革をリードし、新しい事業価値を提供するIT部門に変化すること、つまり「未来のために働くIT部門」になることが求められているのである。

未来のために働くIT部門への道のり

 先に述べた通り、経営はIT部門がビジネスに貢献できるようになることを望んでいるが、日々の経営判断は必ずしもその考えと一致しない。A.T. カーニーが継続して実施している調査によると、経営者の84%が過去5年間でITによるイノベーションが自社にとってより重要になったと答えたにもかかわらず、ITによるイノベーションへの予算配分は10年間で30%から14%に半減している(図1)

<strong>図1</strong> ITによるイノベーションへの経営者の期待とIT投資 図1 ITによるイノベーションへの経営者の期待とIT投資

 このような経営を説得しながら、未来のために働くIT部門に変わっていくことは大きな困難を伴うものであると覚悟すべきである。したがって、この変革に成功するためには、適切な目標とそこに至る周到な計画が必要である。

 われわれが支援したあるアパレル企業でも、経営の理解を得ることは大きな挑戦であった。経営はITが事業価値向上の推進に寄与することを望んでいたが、必要な支援を提供しようとはしなかった。実際、この企業では何年にもわたりITへの投資を行わなかったため、既存のシステムは古く、柔軟性が低いものになっていた。さらに、IT部門は数度にわたって縮小され、残ったIT社員は社内のあちこちで発生するトラブルの火消しと、事業環境の変化に伴うシステム変更に追われていた。

 このような状況にある企業に対して、A.T. カーニーは未来のために働くIT部門への変革を実現するために、4つのステップからなるプロジェクトを推進した(図2)。この手法は、同様の状況に置かれた企業に一般的に適用可能なものであり、多くの企業にとって参考となるはずである。

<strong>図2</strong> 「未来のために働くIT部門」への変革アプローチ 図2 「未来のために働くIT部門」への変革アプローチ
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