買収・合併の歴史の中で自社のIT基盤を最適化した経験やノウハウを生かし、経営戦略と整合性の取れたIT活用を支援するという。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は11月9日、新サービス「HP IT変革アドバイザリーサービス」の提供を開始した。経営戦略と整合性の取れたITの活用によって企業の変革を支援するとしている。
新サービスは、経営戦略に基づいたIT戦略の企画や構想といった上流工程で顧客企業を支援するもの。HPがこれまでの買収・合併の歴史の中で取り組んだITインフラ最適化での経験やノウハウを体系化して、これを基にサービスを提供する。業界ごとに異なるIT要件や日本企業の商流を十分に考慮した対応、また、必要に応じてオープンソースソフトウェアのアーキテクチャを活用していく点が特徴だという。
まず、選任コンサルタントらとのラウンドテーブルやアセスメント、ワークショップを通じて、顧客企業の課題や環境に即したIT戦略や構想を策定する。その実施に向けて、「クラウド&データセンターインフラストラクチャ」「バーチャルワークプレイス」「ネットワーク」「セキュリティ」の4つの分野から戦略の展開や構想の具現化を支援していくとしている。
HP IT変革アドバイザリーサービスでの内容は、これまでにも個別案件として提供されており、年間に20件ほどのプロジェクトを手がけているという。執行役員 テクノロジーコンサルティング統括本部長の有安健二氏は、「組織としてのビジネスモデルから、社員一人ひとりの働き方にいたるまで多くの企業が自ら変革して成長を持続しなくてはならない時代。この変革を実現する手段がテクノロジーであり、当社の経験・ノウハウで変革を求める企業を支援したい」と述べている。
またIT戦略コンサルティング部長の庄野雅司氏は、「今回のような上流工程を手がけるサービスは他社も提供しているが、HPとしては自社の経験を基に“実行可能な計画”を顧客に提供できる点で差別化したい」と強調する。
同氏によれば、例えば、HPはCompaqとの合併でデータセンターが80カ所に急増したが、最終的に6カ所に集約。売り上げに占めるITコストの割合も従前の4%超から2%弱に下げたという。「同じ規模の会社が一つになれば多くの部分が重複して高コスト体質になる。これを改善することにHPは長い時間かけてきた。その経験はかつてのHPのような課題に直面している企業にも役立つのではないか」と話す。
サービス化に伴って同社はコンサルティング部門の人員を約650人体制に拡充した。2012年10月までの1年間に50件程度の案件獲得を目標にしている。
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