高密度化とミッションクリティカルに関するサーバ技術を開発へ 日本HP

日本HPは、サーバの低消費電力化と高密度化を実現する「MOONSHOT」、異種混在のミッションクリティカルシステムを実現する「ODYSSEY」という2つのプロジェクトに取り組んでいることを明らかにした。

» 2012年01月10日 19時08分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは1月10日、エンタープライズ向けのサーバとストレージ、ネットワーク製品に関する事業戦略説明会を開催し、サーバの低消費電力化と高密度化を実現する「MOONSHOT」、異種混在のミッションクリティカルシステムを実現する「ODYSSEY」という2つのプロジェクトに取り組んでいることを明らかにした。前者は2012年上半期に、後者は2014年までに製品化を予定するという。

サーバに関する2大プロジェクトへの取り組みを明らかにした

 MOONSHOTプロジェクトは、1つのモジュール上にIntel AtomやARM系プロセッサによるサーバ機能を4ノード実装し、1シャーシ当たりでは288ノード、1ラック当たりでは2880ノードを収納できる超高密度サーバの実現を目指している。消費電力は1ノード当たり約6ワットで、1シャーシ当たりでも18キロワット程度にする。

 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部長の上原宏氏によれば、既存のx86サーバに比べ、大幅な消費電力や設置スペース、コストの削減を可能にするとしている。その削減効果は、消費電力で89%、スペースで94%、導入コストで63%、ケーブルで97%になるという。主な想定用途は、大規模Webシステムやハイパフォーマンスコンピューティング、マルチテナント型システム、大量データの高速分析などだが、上原氏は「これらに限らず、新たな用途を創出してサーバ市場を活気づけたい」と述べた。

 ODYSSEYプロジェクトではIntel ItaniumプロセッサとHP-UXによるメインフレームと、Intel XeonとWindowsもしくはLinuxによるシステムを、Superdome2の同一の筐体上で混在運用できるようにすることを目指す。同社は「DRAGONHAWK」というコードネームでx86対応のシステムを開発中。「もはやメールなどもミッションクリティカルなシステムであり、サービス停止が許されないシステムの拡大に対応していく」(上原氏)という。なお、今後もItaniumプロセッサによる製品の開発および製造を継続することを明らかにしている。

スマート社会に求められるベンダーに

小出伸一 代表取締役 社長執行役

 こうした新プロジェクトを手がける背景として代表取締役 社長執行役の小出伸一氏は、「2010年代に入り、ITには住みやすい社会である“スマートシティ”を実現する役割が求められる。当社はこれを実現するITを革新的なものとして、包括的に展開しいていく」と語った。

 またエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 執行役員の杉原博茂氏は、同社が2010年に掲げた「HP Converged Infrastructure」構想を引き続き推進すると表明。小出氏が語る“スマートシティ”に求められる製品やサービス、技術、ソリューションを一元的に提供していくと述べた。

 パートナープログラムに関しても同社のこうした構想に賛同する企業のさらなる拡大を目指すとしている。

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