タンスの肥やしか、たなぼたか――わたしを巻き込むiPad狂想曲悲しき女子ヘルプデスク物語(1/3 ページ)

新しいiPadが登場した今になって白状します……。去年iPad 2を購入し「たんすの肥やし」にしてしまったことを。でも大丈夫、会社のモバイル導入で、この子にも活躍の場が巡ってきたんだから!

» 2012年04月17日 11時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

悲しき女子ヘルプデスク物語のバックナンバーはこちら 電子書籍版はこちら


 突然だけど、昨年の秋のこと。

 きっと。その日のわたしには、悪魔が降臨していたに違いない。いや、会社からの帰り道のどこかで拾ってしまったのかもしれない(悪魔を)。そう思わないとやってられない。こんな衝動買いをするなんて。

 本当は、まっすぐ自宅に帰るはずだった。なのに、ふと目にした家電量販店の看板に吸い寄せられ、買い物の予定もないのに店内をうろうろ。それでも「あ、新しいプリンターが出たんだ」とか「新しい携帯電話のモック、まだないなあ」なんて言いながら(わたしは本当にひとりごとが多い。きっとアヤシイ人に見えているに違いない)、それなりにウィンドウショッピングを楽しんでいた。

イラスト:本橋ゆうこ

 とはいえ、やっぱり目的もなく、あんなところ(お店の方、すみません)をうろつくものじゃないわ。だって、家電量販店を出た私の腕には……。

 しっかりとiPad 2が抱えられていたんですもの。

 確かにね、最近、営業さんとか今の上司、元上司Aさんも持っていて気にはなっていたのよ(Aさんが持っているのは当然かもしれないけど)。でもスマートフォンと一緒で目的もなく買うもんじゃないって思っていたし、わたしには縁がないもんだと思っていたのに……。衝動買いとはこのことだ。

 で、どーすんの! これ!

 と自分に問いかけるのだか、返事がない。まるで屍のようだ……(古っ)

 帰宅して、どうしようと思いながら、でもちょっとテンション高めに、箱からiPad 2を取り出してスイッチを入れるわたし。おお、久しぶりに見るリンゴマークだあと、ちょっと感動。

 わたしがリンゴマークの付いた機器を持つのは、実は2度目。しばらくの間、iMac(ブラウン管ディスプレイのモデル)を持っていたことがあるのだ。OSはMacOS 8だった。友人が新しいMacintoshを買うというので、譲られたのだ。PCしか知らなかったわたしは当時、ゴミ箱にCD-ROMドライブのアイコンをドラッグするとトレイが出てくるのが新鮮で、繰り返し操作したことを思い出す。なんだか、懐かしい。

 そんなことを考えているうちに、iPad 2はおなじみのホーム画面に戻っていた。早い。もっとも、PC と比較すること自体がおかしいのだけれど。

 画面に置いた指を右から左へ動かす。

 おお、動く〜。

 確かに、これはマウスでの操作と違って、気持ちがいい。そうか、iPadとかiPhoneの人気の秘密は、この「操作してて気持ちいい」ってことなのか。今さらながらに納得するわたし。あれこれと触りまくって出てくる言葉は「おお、すごい!」だけだ。わたしってこんなに“ボキャ貧”だったかしら?

 取りあえず、Wi-Fiへの接続やメールアカウントの設定などを済ませたわたし。一部の操作は手間取ったけれど、多くの操作は直感的に、マニュアルを見なくても行える。これなら、マニュアルを読まない一般市民の(?)わたしでも大丈夫。

 設定のために、しばらく iPad2 とにらめっこしていた私だけれど、それらの設定が一通り終わった途端、固まってしまった。

 さて、この子で何をしよう?

 まるで初心者みたいなわたし。早くも、ただ「はやっているから」という理由だけで最新のガジェットを買い、使いこなすことができずにタンスの肥やしにしてしまった人のような感じだ。でも、思い起こせば、本当に衝動買いなのよね。自分でも、なぜiPad 2を買ったのか、いまだに分からない。催眠術にかかったかのように、クレジットカードで購入してしまったのだ。そう、あの瞬間のわたしには、何かが取りついていた。

 たいていこういう買い物は、「悪魔のささやき」によるもの。「買っちゃいなよー」とかなんとか。そのささやきに抵抗する者(天使?)が現れて「いや、やめといたほうがいい。第一、使い道ないし」なんて正論を言い、悪魔と天使の葛藤が一通りあって、結局悪魔が勝ってレジに並ぶ、というお決まりの儀式(?)が展開される。しかし、今回はそれがないのだ。本当に「気がつけば買っていた」って感じなのだ。

 そんな衝動買いをしているものだから、わたし自身、iPad2に対するこれといった目的がない。どうしよう、こんな高いもの……。設定だけして、後はほったらかしというわけにもいかない。でもこのままだと、いつか読もうと思って積んである本と同じ運命ですか?(そういう本も多いのだ…)うーん、さすがにそれは避けたいなあ。

 でも、本当にどうしよう。オモチャにしては、ちょっと高すぎる。高めだったテンションが、ゼロ以下になってしまった。とりあえず、体重6キロはあるであろう、我が家の猫の座布団にならないよう気を付けながら、iPad2 のスイッチを切った(と言っても、サスペンドしただけだけど)。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ