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» 2012年05月14日 11時30分 UPDATE

実録 日本マイクロソフトが無人になった日:そして誰もいなくなった (1/3)

東日本大震災後の1週間、社員が全員在宅勤務であったにも関わらず、日本マイクロソフトは数々の復興支援プロジェクトを立ち上げた。彼らの活躍を支えたのは、日ごろから実践しているモバイルワークであった。

[米野宏明,ITmedia]

 日本マイクロソフトは「テレワーク」に前向きに取り組んでいる会社です。人やビジネスのポテンシャルを引き出すテクノロジーを提供することがマイクロソフトのミッションであり、自らそれを実践することでその有効性を証明しています。

 テレワークの実践にはさまざまな障害がつきものです。乗り越えるべき障害もあれば、運用で回避するしかないものもあります。われわれがテレワークの有効性を語ると「(外資系のIT企業である)マイクロソフトだからできるのであって、普通の会社では難しい」と反論されることがあります。しかし、日本マイクロソフトとて日本の法律に従って日本人が働く以上、他社と比べて特別なことはありません。外資だITだとレッテルを貼ることは無意味です。

 日本マイクロソフトでできることがなぜほかの企業ではできないのか、できない理由はなぜ生まれるのか、できない理由を生み出している理由は何か、と突き詰めることを止めてしまったら、問題は解決しません。

 本シリーズ記事では、日本マイクロソフトがテレワークにおいて、何を目指してどう実践しているのかをご紹介します。参考になる部分もあれば違いすぎる部分もあるでしょう。ただ1つ言えるのは、自社の周りに根拠のない境界線を引かないでほしいということです。

 大きく見える障害が、実はわずかな問題が重なっているだけということがあります。小さな1歩なら簡単に踏み出せる場合もあります。日本でテレワークを日常的に実践している企業はまだほんの一握りですし、日本マイクロソフトでもまだ課題は山積みです。皆さんも、ぜひわれわれと一緒に考えていきましょう。

No. 日本マイクロソフトのテレワーク事例 バックナンバー
1 実録 日本マイクロソフトが無人になった日:そして誰もいなくなった
2 日本マイクロソフト品川オフィス探訪(前):フリーアドレス制が変えたワークスタイル
3 日本マイクロソフト品川オフィス探訪(後):Lyncが実現する“どこでもドア”
4 テレワークの日 総括(前):オンライン会議は無駄を省く
5 テレワークの日 総括(後):テレワークが労働者のマインドを変える

3月11日のバケツリレー

 2011年3月11日に発生した東日本大震災後1週間、日本マイクロソフトは全社在宅勤務となりました。しかし日ごろのテレワークの実践が功を奏し、ビジネスを止めることなく継続できました。

・すばやい決断と行動をもたらしたコミュニケーションツール

telew001a.jpg Lyncのプレゼンス画面 これから呼びかけようとしている相手の状況が事前に分かるため、適切なタイミング、適切な手段で会話ができる

 地震発生当時、私は大手町のショールームにおりました。地震直後は固定電話や携帯電話が輻輳(ふくそう)によって非常につながりにくい状況でしたが、私は品川本社とのコミュニケーションを「Microsoft Lync」によってスムーズに行えました。Lyncとは、マイクロソフトのテレワーク実践の肝でもあるユニファイド コミュニケーション システムです。テキストや音声、ビデオ映像をリアルタイムに送受信できるチャット機能に加え、プレゼンスと呼ばれる相手の状況を信号の色やテキスト情報で認知できる機能が搭載されています。

 大手町のオフィスは、地震発生直前に緊急地震速報が流れて以降十分な情報が得られず、判断が難しい状況でした。そこで私は、プレゼンスが緑(連絡可能)になっている同僚に一斉にテキスト チャットで呼びかけ、安否の確認とともに、オフィス内外の雰囲気や伝達されている情報の収集につとめました。その結果、本社周辺は電車がすべて止まり、エレベーターは復帰の見込みがなく、携帯電話も全く通じず、被害が広範囲にわたることが分かりました。

 地震発生30分後に、現場判断でオフィスのクローズを決断。約40人ほどいた来客は、帰社帰宅が不可能な2人を除いて、タクシーやバスを利用できる間に無事帰路につきました。

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