日本マイクロソフトが3月19日に行った「テレワークの日(出社しないDay)」のアンケート調査を行ったところ、興味深い結果がでた。なんと、オンライン会議の方が集合会議よりも効率がよいというのだ。
実録 日本マイクロソフトが無人になった日、日本マイクロソフト品川オフィス探訪 前編、日本マイクロソフト品川オフィス探訪 後編と3回に渡って、テレワーク環境がもたらす価値と実現する技術について、日本マイクロソフトの例をもとに紹介してきました。
No. | 日本マイクロソフトのテレワーク事例 バックナンバー |
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1 | 実録 日本マイクロソフトが無人になった日:そして誰もいなくなった |
2 | 日本マイクロソフト品川オフィス探訪(前):フリーアドレス制が変えたワークスタイル |
3 | 日本マイクロソフト品川オフィス探訪(後):Lyncが実現する“どこでもドア” |
4 | テレワークの日 総括(前):オンライン会議は無駄を省く |
5 | テレワークの日 総括(後):テレワークが労働者のマインドを変える |
しかしいざ自社でテレワークを実行するとなると、制度やモチベーション、労務管理などのオペレーション面に不安を感じる方も多いでしょう。今回、および次回は、日本マイクロソフトの「テレワークの日」を通じて得られた洞察を紹介します。
日本マイクロソフトは2012年3月19日を「テレワークの日」として、すべての拠点でオフィスを原則クローズしました。従業員に通常のオフィス以外の場所での勤務を要請したところ、オフィスに出社したのは全体の10%未満、70%以上の従業員が自宅で、10%強が客先などで業務を行いました。
1日の最後にはアンケート調査を行いました。次回以降の実施に向けたヒントの収集を重視してフリー回答欄の比重を高めた結果、回答者ほぼ全員が何らかのコメントが寄せられ、非常に有用なフィードバックを得られました。いくつかの代表的な意見をもとに、テレワークの有効性や問題点を考察します。
回答者の通常の往復通勤時間の平均は100分程度です。テレワークの日はその大部分が削減され、通勤費や機会費用など業務観点でのコスト削減の効果がありました。しかもアンケートの回答を見ると、それ以外にも大きなメリットがあったようです。
削減できた通勤時間をどのような活動に回したのかという問いに「業務」と答えたのは全体の30%程度で、「家事や家族」に20%、「趣味」や「睡眠」、「能力開発」などにそれぞれ10%強と、その大部分は「プライベート」な時間に回されました。
フリー回答を見ると、「通勤の苦痛から解放されてフレッシュな状態ですぐに業務を開始できた」、「日ごろ任せきりになっている育児や介護の手伝いができ家族のストレスも軽減された」などの意見が多くを占めました。女性からは「化粧や身支度などが必要なく、早起きしなくてすんだ」という意見もありました。
これらの回答から、オフィスへの移動が犠牲にするのは、主にプライベートな時間であることが分かります。つまりテレワークは、いわゆる「ワークライフバランス」を改善する最もシンプルな手段の1つと言えるのです。
ただし少数ではありますが、「仕事とプライベート、あるいは仕事と仕事の切り替えを意識的に行わないと、集中しやすいだけについ働きすぎてしまう」という意見もありました。もちろん集中しやすいことそのものが問題なのではなく、仕事の組み立て方や切り替え方、時間の使い方といった、自己マネジメントスキルの向上が必要とされるということです。
働く場所とともに、働く時間と時間の使い方についても、個人の裁量の幅が広がります。それは大きなメリットですが、当然ながらその裁量の「結果」に対する責任は、個人が負わなければならないのです。
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