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» 2012年08月09日 08時30分 UPDATE

ビッグデータいろはの「い」:スマホアプリでゲームのルールを変えよう (1/2)

ビッグデータは「混沌」に違いないが、引き起こされる変化はすべての企業にとって機会となる。新たな技術で他社を出し抜けるからだ。日本企業のIT戦略で最も優先度高く取り組まれているモバイル対応について取り上げる。

[浅井英二,ITmedia]
bigdata13.jpg 出典:Wells Fargo Securities, January 23, 2012

 「ビッグデータ」は、その分析からインサイト(洞察)を得ることばかりに注目が集まっているが、例えば、スマートメーターから刻々と送られてくるデータは、送電網の最適化に活用されるだけではなく、本来は課金のために使われる。膨大なビッグデータをどのように取り込み、分析し、課金システムに連携させていくかは、工夫が必要だ。

 もちろんそれは電力会社に限ったことではない。「モバイル」と「クラウド」というテクノロジーの進化が「ビッグデータ」を生み出し、ほとんどの企業がその事業活動を進めるうえで「ソーシャル」を排除できなくなる中、企業の情報システムは、スマートフォンからのアクセス(Extend)や、それに耐えられる安全性とスケールできるトランザクション処理能力(Transact)、そして分析から得られたインサイトを即時アクションにつなげられる仕組み(Optimize)、という3つの要素が求められるようになる。

 今回は、日本企業のIT戦略で最も優先度高く取り組まれているモバイル対応について取り上げる。

第1回「おむつとビール」よりも大切なものがある

第2回 経験や勘では勝てない、「マネーボール」が物語る洞察のチカラ

第3回 ビッグデータは両刃の剣、既存の情報システムをどう守る?

課題はアプリケーション開発とセキュリティ

 インターネットに接続されるモバイル機器は、2020年までに100億台を超えるとみられている。やや長期的な視野に立てば、メインフレーム、ミニコン、クライアント/サーバ、Webへと進化してきたコンピューティングは、ユーザー側の主役がワイヤレス接続されたモバイル機器へと確実に移りつつある。

 こうした変化はすべての企業にとって新たなビジネス機会となる。新たな技術を活用してゲームのルールを変え、他社と差別化できるからだ。例えば、前回でも紹介した小売り業の例だ。スマートフォンからの位置情報やソーシャルメディアへの書き込みを分析した結果から最適なプロモーションをタイムリーに提供できるようになる。そのユーザー体験は、いつでもどこでも顧客が必要とするときに存在する企業として、顧客満足度を高めることができる。

 しかし、こうしたモバイルのシステムは既存システムとの連携が欠かせないし、モバイル機器に特有の課題もある。また、開発者の領域が分断されており、例えば、iPhoneアプリケーションの開発者が企業の情報システムをよく理解していないという事情もあるだろう。

 日本IBMでWebSphereのクライアント・テクニカル・プロフェッショナルを務める須江信洋氏は、「障害になるのは大きく分けて2つ。さまざまなモバイル機器で動作するアプリケーションの開発に伴う課題、そしてセキュリティや機器管理の課題だ」と指摘する。

 IBMは今年2月、モバイルアプリケーションの開発および実行環境で定評のあったイスラエルのWorklight社を買収、4月末には自社の技術と組み合わせ、既存システムとのインテグレーションや運用管理までカバーする包括的なソリューション、「IBM Mobile Foundation」を発表している。

 新しいツールによってモバイルアプリケーションの開発生産性が高められるとしても、企業が嫌がるのは、独自の技術にロックインされることだろう。この点、Worklightがありがたいのは、HTML5、CSS、JavaScriptといったオープンな技術を使いながら、同じコードベースでiPhone/iPad、Android、BlackBerry、Windows Phoneなど、さまざまなモバイル端末に対応したアプリケーションを迅速に開発できるところだ。

 アプリケーションの種類も、ブラウザで動作するWebコードから端末固有のAPIを利用したネイティブアプリケーションまで同じ環境で開発できる。一部ネイティブコードでWebコードを拡張したものをネイティブアプリケーションとして配布できるようにする仕組みも用意する。この仕組みを活用すれば、大半をWeb言語でコーディングし、端末のGPSにアクセスする部分をネイティブコードで拡張、ネイティブアプリケーションとして仕立ててAppStoreなどにアップロードできるわけだ。

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