日本HPがシンクライアント端末の新製品、複数プロトコルに対応

日本HPは“手のひら”サイズのシンクライアント端末「HP t410 Smart Zero Client」を発表した。

» 2012年08月23日 15時23分 公開
[ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は8月23日、シンクライアント端末の新製品「HP t410 Smart Zero Client」を発表した。手のひらサイズというコンパクトな筐体ながら、専用チップで画面転送処理を行うことによって高性能を実現したという。

 新製品は本体にディスプレイやキーボード、マウスなどを接続して、リモートのサーバ上にある仮想デスクトップなどの環境を利用するための端末。フルHDなど高解像度のディスプレイ画像を2画面で表示できるよう、CPUではなくDSP(専用チップ)で画像転送処理を行う方式にした。対応プロトコルはCitrix HDX(ICA)、VMware PCoIP、Microsoft Remote-FXの3種類。アイドル時の消費電力は9.865ワットとなっている。

ディスプレイの背面に装着したHP t410 Smart Zero Client

 また、「HP Velocity」というネットワーク品質管理ソフトウェアをプリインストールする。HP Velocityはパケットロスや輻輳、ジッタの発生状況をリアルタイムに監視してグラフ表示などで管理者にレポートするほか、パケットロスの低減、無線LANでのオーバヘッドの削減によってスループットの改善を図る機能も搭載する。パケットロスの低減化ではパケットを複数セグメントに分割して転送することで、一部のセグメントがネットワーク上で失われても再転送するデータ量を抑える。

 HP Velocityは今後発売する予定の全ての製品にプリインストールされ、既存製品の一部でもバージョンアップで利用できるようにする。サーバ側にもソフトが必要で、同社は無償ダウンロードできるようにする予定だ。

HP Velocityのデモ。赤色の棒グラフはパケットロスの発生率、緑色は再送信パケットの発生率。HP Velocityを有効にすると、再送信パケットが大きく減ったが、動画は滑らかに再生された

 新製品と併せて、既存製品の「HP t610/t610 PLUS Thin Client」には、OSにWindows Embedded Standard 7Pを搭載した新モデルを追加。主にデジタルサイネージやキオスクの制御用端末としての利用を見込み、マルチタッチ入力機能や多言語機能、アプリケーション制御などのセキュリティ機能を搭載する。

 クライアントソリューション本部の九嶋俊一本部長は、直近の事業動向について「案件が昨年に比べて2倍に増え、導入の大規模化が進んでいる。新製品はプロトコルを入れ替えるだけで複数のシステム環境に対応できるなど、今後もより使い勝手を高い製品を提供していく」と説明した。

 HP t410 Smart Zero Clientの価格は2万6040円、Teradici PCoIP対応モデルが3万1290円となっている。

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