「IBM PureSystems」に実装された“知見”とはコンピューティングの新時代へ

IBMは2012年4月、業界初の新しいコンピューティング・システム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表した。その第1弾製品として投入されたのが、サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能を統合した「IBM PureSystems」だ。

» 2012年09月07日 10時00分 公開
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IBMが目指した新しいコンピューティング・システム

 現在のコンピュータは、人間によってプログラミングされた指示によって動作する機械である。自ら学習するコンピュータの研究は1950年代から始まっているものの、人間同様の能力を獲得するまでに至っているわけではない。しかし、その技術革新は確実に進歩しており、2011年にはIBM Researchが4年をかけて開発した自然言語の認識機能を持つ質問応答(QA)システム「Watson」が、米国の人気クイズ番組で最高金額を獲得するという偉業を達成している。Watsonの技術は学習するコンピュータとしてはまだ初期段階だが、すでに医療分野などで一部実用化されようとしている。膨大なデータの中から知見を見出し、限られた専門家しかできなかった分野をコンピュータが請け負う時代がすぐそばにやってきているのだ。

日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス PureSystemsソリューション担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 緒方正暢氏 日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス PureSystemsソリューション担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 緒方正暢氏

 こうした技術革新が進む一方で、コンピュータを業務に利用する企業は、多くの課題を抱えている。先進的な技術を積極的に採用、導入する企業が限られているのだ。先進的な企業の経営者は、もっと新しい技術に目を向けて使っていくべきだと考えている。ところが、コンピュータをはじめとするITインフラを管理する情報システム部門では、既存のインフラを維持・保守するだけでも大きな負担になっている。コスト面でも運用管理に費やすだけで精一杯であり、イノベーションに投資する余裕がないという企業は多い。

 この技術革新と企業が抱える課題の間を埋めるべく、IBMが提唱しているのが「Smarter Computing」という考え方だ。

 「Smarter Computingは、ビッグデータ、クラウド、最適化システムという3つの戦略に取り組むことにより、それぞれを良い形で循環させようというIBMのビジョンです。ビッグデータを活用することで知見洞察を獲得し企業競争力を強化する、クラウドによる新サービスの迅速な提供を可能にする、最適化システムはワークロードごとに徹底したコスト削減を実現するという観点です。Smarter Computingを実現することによってIBMが目指しているのは、クラウドの技術を使ってリソースをプール化し、徹底的に全体最適化されたシステムを提供し、お客様のビジネス競争力向上を支援することです」(日本IBM システム製品事業テクニカル・セールス PureSystemsソリューション担当 部長 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 緒方正暢氏)

時間短縮、運用効率化、コスト削減を実現する新システム

 Smarter Computingを具現化するために、IBMがまず考えたのは、ビジネスを主体にして「パフォーマンス」を再定義することだった。

 従来、パフォーマンスと言えば、CPUが速いとかメモリやディスク容量が大きいという個別の尺度で測っていた。「今後、重要となってくるのは、システムそしてアプリケーションを、ビジネスとしていかに迅速かつ最適に提供できるかという視点です。多種多様なITインフラが独立、混在している現状を解いていくためには、より全体最適なリソースプール化を推進し、かつソフトウェア、ミドルウェアも含めた垂直統合を進める必要があります」と緒方氏は述べる。

 しかし、汎用システムを利用して最適なITインフラを作り上げていくという従来の手法では、技術革新に追いついていけない。そのため、アプライアンス製品やクラウド・サービスに置き換えていこうという動きがあるが、ビジネス・ニーズのすべてを満たすものは難しい。この課題を解決する新しい製品カテゴリーとして発表されたのが、エキスパート・インテグレーテッド・システムである。あらゆる用途に柔軟に対応でき、かつアプライアンスの容易さをも兼ね備えている。

 このシステムは、複雑化するITの利用開始までの時間を短縮するとともに、自動化を推進して運用管理を効率化し、コストを削減する。それを実現するために、ITの専門家が持つ高度な知見を実装することで、今まで人手に委ねられていたシステム設計から運用までのノウハウをシステムに埋め込んでいるのが特長だ。加えて、ハードウェアとソフトウェアを事前に統合・調整し、最適化されたシステムをすぐに使用できるようにしているほか、最先端のコンシューマー向け製品で採用されているような直感的で使いやすい技術をITでも活用することにフォーカスしているという。

 そのエキスパート・インテグレーテッド・システムを実現する第1弾の製品として登場したのが、IBM PureSystemsファミリー製品だ。PureSystemsは、次世代インフラのビジョンであるSmarter Computingを実現するフラッグシップ製品として発表したものである。IBMのクラウド研究の成果を製品化し、IaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)構築を前提とする「IBM PureFlex System」と、IBMのシステム構築の経験からノウハウを包含し、PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)基盤となる「IBM PureApplication System」の2つのラインアップを用意する。両方に共通しているのは、新しいオープンなプラットフォームを採用しているという点である。「これにより、非常に多くのソフトウェア資産の移行の手間を最小化しながら、運用管理の負担を軽減します。オープンなプラットフォームによって、いかに今までの資産を継承できるかという部分も、PureSystemsの大きな特長になります」と緒方氏は強調する。

「パターン」というIBMの知見

 最新の技術で設計されたPureSystemsは、ハードウェアから運用管理機能まで、システム構築に必要なコンポーネントがオールインワンで提供されている。これらのコンポーネントをシステム全体で最適化することにより、優れたパフォーマンス、ビジネスインフラに求められる信頼性と可用性、必要に応じて拡張可能な柔軟性を実現している。

 PureSystemsの設計思想すべてはIBMが蓄積してきた知見に基づくものだ。中でも、特長的なのが「パターン」である。パターンは、PureSystemsのPaaS基盤であるPureApplication Systemにおいて、アプリケーション稼働基盤を迅速かつ最適にデプロイするための要となるもの。パターンそのものは、複数の仮想マシン構成情報、複数の仮想マシンの接続情報、サービスレベルを定義するポリシー情報、設定を実行するプラグインとスクリプトなどの定義情報であり、いわば稼働基盤のひな形となる。ユーザーは、ワークロード(アプリケーション)に最適なパターンを選択してアプリケーションをアップロードするだけで、PureApplication Systemのクラウド環境に業務システムが出来上がるという画期的な仕組みだ。

専門家の知見の「パターン化」3つのレイヤー

 例えば、応答時間が何秒以内といった性能要件を含むWebアプリケーションを構築するには、通常、ソフトウェアの開発に相当な労力が求められる。あらかじめ性能要件を定義し、ソフトウェアを作成、構築するが、その性能要件を満たしていることをテストすることも大変な労力がかかる上、想定を超えた負荷には対応できない。従って通常稼働時にはリソースの利用率が低いと分かっていながら、高負荷時に備えたリソースを割り当てておくしかない。

 それに対し、PureApplication Systemのパターンは、複数の独立して動くバーチャル・アプライアンスに加え、システムの負荷をモニターする仕組みを組み込んでいる。システムの負荷に応じて、バーチャル・アプライアンスに対するリソースの割り当てを変更することができ、リソースの有効利用と性能要件の両立を実現することができる。

 もちろん、パターンを作成するには業務とシステム・インフラに関する知識と経験が必要になる。IBMが用意する「IBM Workload Deployer」を利用してパターンを独自に開発することも可能だが、その作業を行うには専門家の知見が欠かせない。

 そこでIBMでは、「IBM PureSystems Centre」というマーケットを用意した。ここは、IBMおよび125以上のIBM認定パートナーがアプリケーションを提供する場で、パターンもここからダウンロードして利用できる。

パターンの構成要素

 「PureSystems Centreは、お客さまにアプリケーションを購入していただく場所で、アプリケーションの稼働環境のひな型であるパターンが必要であれば、別途追加で購入できます。これにより、PureApplication Systemの能力はさらに高まります。IBMから提供するパターンに加えて、業務に価値のあるパターンを独自に開発し、それを販売して利益を上げることも可能です」(緒方氏)

 IBMのテクノロジーの集大成とも言えるPureSystems。そこにはユーザー自身のシステム構築の経験・ノウハウを実装することもできる。これこそが、PureSystemsの特長として、IBMが「知見」という言葉にこだわる理由なのだ。

 次回以降では、PureSystemsの中核となるハードウェア基盤「IBM Flex System」の詳細や、仮想化環境の構築、運用管理の効率化といったPureSystemsの強みを紹介していく。

IBMの最新統合システムをエバンジェリストが動画で解説

IBMが多くの成功事例で得たノウハウと「エキスパートの知見」を搭載した、サーバ、ストレージ、ネットワーク、各種ミドルウェアを統合したシステム製品「IBM PureSystems」

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