最先端のハードウェア技術を注ぎ込んだ「IBM Flex System」コンピューティングの新時代へ

IBMが2012年4月に発売した新しいコンピューティングシステム「IBM PureSystems」を構成するハードウェアコンポーネントが「IBM Flex System」だ。新アーキテクチャのブレードサーバを中心とする新製品は、高性能かつ高信頼性を実現し、管理負荷を軽減する機能が満載だという。

» 2012年09月24日 10時00分 公開
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次の10年を担うIT基盤 〜高集約率と高性能の両立によりROIを最大化〜

 IBMは2012年4月、業界初の新しいコンピューティングシステム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表し、その第一弾製品としてIBM PureSystems を発売した(前回記事参照)。PureSystemsファミリー製品を構成するサーバ、ストレージ、ネットワークなどのハードウェアコンポーネントが、「IBM Flex System」である。

日本IBM システム製品事業 システムx事業部 テクニカルセールス シニアITスペシャリスト システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの早川哲郎氏 日本IBM システム製品事業 システムx事業部 テクニカルセールス シニアITスペシャリスト システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの早川哲郎氏

 Flex Systemは、IBMが新たに開発したブレードサーバを中心に構成されている。IBMのブレードサーバと言えば、2001年に製品化された「IBM BladeCenter」がある。BladeCenterは、シャーシのアーキテクチャをオープンにするなど、顧客の投資保護と互換性を重視しながら今日まで進化してきた。Flex Systemは、そのブレードサーバの製品ラインナップを初めて一新。BladeCenterで培われたIBMの知見を投入し、新しいブレードサーバとして誕生した。

 「BladeCenterは1990年代から設計を始めました。当初の役割は大量に存在していたラックサーバやタワーサーバを物理的に統合して、運用コストを下げようというところに主眼を置いていました。しかし、発売から10年を経過する間に、サーバ仮想化技術が進展し、サーバ1台当たりの性能も向上していきました。IBMではBladeCenterのアーキテクチャを守りながら新しいテクノロジーに対応してきましたが、次の10年のIT基盤を担うプラットフォームとして、ブレードサーバを進化させる必要がありました。それがFlex Systemです」(日本IBM システム製品事業 システムx事業部 テクニカルセールス シニアITスペシャリスト システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 早川哲郎氏)

 物理統合が目的のBladeCenterは、サーバとネットワークを統合し、ケーブルが少なく可用性の高いフォームファクタとして作られたものだった。シャーシ単位の管理を実現することで、サーバ運用管理を軽減できたが、仮想化を前提とした今後10年を担うシステムのIT基盤とするためには進化が必要だった。Flex Systemでは、そうしたBladeCenterで不足していた部分を中心に改良が加えられ、物理と仮想化の統合を前提に高集約率と高性能を両立してROIの最大化する製品として開発された。

ネットワーク性能の強化を実現した設計

 Flex Systemの要と言えるのが、新開発の「IBM Flex System エンタープライズ・シャーシ」だ。高さ10Uのシャーシは、42Uラックに4台格納できるようにするためのIBMのこだわりだったという。そのシャーシには、前面に最大14台のサーバモジュールとストレージ、背面に4基のスイッチと冗長構成の電源ユニット、冷却ファンが搭載されている。

 そのシャーシで最も大きく変わったのが、ミッドプレーンの構造だ。今回、Flex Systemを開発するにあたり最も注力したのが、ネットワーク帯域の強化である。新しいシャーシでは、1サーバ当たり16Gbps対応レーンが16本接続可能で、256Gbpsという広帯域に対応している。加えて、非常に高速なスイッチを持っているのも、差別化部分だという。

「低レイテンシを実現するために、シャーシにL2スイッチを内蔵するとともに、IBMが新開発したASICを搭載しています。また、16Gbpsファイバチャネル、FDR(Fourteen Data Rate)インフィニバンドは、業界標準の製品を利用可能です。仮想化対応としては、仮想マシンの移動に設定を自動追従させる『VMready』という機能を備えています。仮想化技術で統合されたワークロードも、高速なネットワークで処理可能です」と早川氏は説明する。

IBM Flex System エンタープライズ・シャーシ IBM Flex System エンタープライズ・シャーシ

IBM Flex System のパフォーマンスを支える“インテル® Xeon® プロセッサー”卓越したパワーと拡張性で基幹業務系システムに重要な役割を果たします。

 こうしたネットワーク周りの強化により、Flex Systemではシャーシごとに最大880Gbpsのアップリンク、1マイクロ秒以下の低レイテンシという優れたパフォーマンスを実現した。10Gbイーサネットを使用した場合のサーバ1台当たり80Gbpsというパフォーマンスは、将来的には160Gpsまで伸ばすことが可能という。

 特に低レイテンシという部分に寄与したのが、サーバモジュールとI/Oモジュールの位置関係だ。

 「BladeCenterではサーバモジュールを縦に配置する構造で、同じく縦に配置したI/Oモジュールとは平行型に接続していました。しかし、この接続方式では、サーバモジュールとI/Oモジュールの間の結線距離が一定でなく、品質を統一することが難しいという課題がありました。そこでFlex Systemではサーバモジュールを横に配置し、縦に配置したI/Oモジュールと直交型で接続するように変更しました。これにより、どのサーバモジュールからも等距離で結線されるので、安定した通信品質が保つことができます」(早川氏)

 さらに、ミッドプレーン上には監視コンポーネントを置かず、監視経路も管理モジュールからダイレクトに二重で結線することで、経路切断によってコンポーネントが監視できなくなるというリスクを排除している。結果としてハードウェアとしての可用性も高くなっているということだ。

複数シャーシにまたがるシステム全体の統合管理が可能に

 もう1つ、Flex Systemの大きな変更点と言えるのが、管理機能だ。Flex Systemには、サーバごとに「IMM(Integrated Management Module)v2」という統合管理モジュールが搭載されている。従来のサーバでも用意されていた機能だが、GUIが刷新されるとともに、ActiveXおよびJavaに対応したリモートコントロールが搭載されるなどの機能強化が図られている。

 シャーシには搭載されたすべてのハードウェアの管理を一元化する「CMM(Chassis Management Module)」も搭載。IMMと一貫性を持ったメニュー構造とUIを持ち、シャーシマップによってグラフィカルなシャーシ管理が可能だ。

 Flex Systemにおいて最も特長的な管理機能が「Flex System Manager」である。これは、Flex Systemで利用可能な統合管理アプライアンスとソフトウェアによって構成されるもので、シャーシ単位の管理だけでなく、複数シャーシで構築された仮想化システム基盤を単一のコンソールから管理できるというものだ。物理リソースと仮想サーバの動作状況の監視、サーバの障害予兆検知による仮想マシンの退避、物理・仮想ネットワークのトポロジ表示、ストレージ利用状況の監視、ファームウェア・アップデートの管理、IBMへ障害情報を一括送信するといった豊富な機能が搭載されている。

 「Flex System Managerは、シャーシに組み込むものです。例えば、4シャーシでシステムを構成している場合、4シャーシのうちのどれかに組み込めば、すべてのシャーシを統合管理することが可能です。PureFlex Systemでは、Flex System Managerをシステム管理のユーザーインタフェースと位置付けていますので、このモジュールが標準で搭載されます」(早川氏)

 なお、Flex System ManagerのUIの日本語化は現在進行中で、近いうちには提供されるとのことだ。

エネルギー効率の高いデザイン

 Flex Systemは、省エネを実現するエネルギー効率の高いデザインであるのも強みといえよう。まず、ASHRAE Class A3に準拠し、室温40℃の使用環境をサポートしている。国内であれば、ほぼ常温で稼働できるので、過度な空調が不要になる。また、80PLUS Platinum認定電源の搭載により、最大約95%のAC-DC変換効率を実現。消費電力のロスを最小化している。

 もちろん、構造も省エネ化が図られている。シャーシには、口径80mmのファンを最大8個、40mmのファンを2個搭載しており、必要な部分のみを冷却するゾーンクーリングの仕組みが採用されている。

 「今までのブレードは、2つの大きいファンで全体を冷やす方式でした。ブレードシャーシ内のすべてのベイが使用されているときには非常に効率的に冷却が可能です。しかし、Flex Systemでは、必要なサーバモジュールのみを冷却する方式に変更しています。これにより、必要でないところに電力を費やすことなく効率的に冷却することが可能になりました。ファンだけでなく、電力モジュールも同様、必要なところのみに電力供給を行う仕組みになっています」(早川氏)

 こうした数々の特徴を備えたFlex Systemは、PureSystemsのハードウェアプラットフォームとしてだけでなく、BladeCenterの後継として導入されることも想定している。サーバモジュールはIAサーバとPOWERサーバの2種類のプロセッサをラインアップしており、将来的には集積度を高めた高密度サーバの提供も視野に入れているという。「例えば、ご使用中のサーバの置き換えなどサーバのみの導入にはFlex Systemを、ストレージ、ネットワーク、管理を含む全体最適を見据えた統合クラウド基盤にはPureSystemsを、というようにお客様の課題・目的にあった最適なソリューションをご提案しています」と早川氏は述べる。

 Flex Systemは、PureSystemsの基盤であると同時に、次の10年のIT基盤を担うIBMのハードウェアプラットフォームでもあるのだ。

IBMの新ブレード型サーバ基盤「IBM Flex System」の全貌

IBM BladeCenterに代わる新世代ブレード型サーバ基盤「IBM Flex System」。モジュール化されたサーバ、ストレージ、ネットワークを組み合わせて利用できるサーバシステムであり、さまざまなワークロードに対応する柔軟性と拡張性を実現。

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連載インデックス

第1回:「IBM PureSystems」に実装された“知見”とは

IBMは2012年4月、業界初の新しいコンピューティング・システム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」を発表した。その第1弾製品として投入されたのが、サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能を統合した「IBM PureSystems」だ。


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