「第3のデータ」に価値を与え競争力の源泉にHitachi Platform Solution World 2012

現時点で用途はないが後日価値を生むかもしれないデータ、すなわち第3のデータを競争力の源泉にせよと日立 スマート情報システム統括本部の安田氏は指摘する。

» 2012年11月09日 20時00分 公開
[石森将文,ITmedia]
日立 スマート情報システム統括本部の安田誠 副統括本部長

 「ビッグデータをITで処理するということは、今まで見えなかった現象を測定できるということ。そして蓄積し、解析できるということ」――これはHitachi Platform Solution World 2012で主催者講演を務めた日立 スマート情報システム統括本部の安田誠 副統括本部長による指摘だ。

 類似したIT分野としては、過去に喧伝されたBI(ビジネスインテリジェンス)などもある。「ITベンダーが、同じことを違う言葉で言い換えただけという指摘もあるだろうが、現実に情報のありかたが変わってきた」(安田氏)

 一定期間の統計ではなく、リアルタイムに可視化される数値を基に判断できる。これがビッグデータの要件だと安田氏は言う。例えば日立がシンガポールで手掛けた「タクシープールの効果モデル」では、乗客がタクシーに乗る場所と降りる場所をスマートフォンで指定することでピックアップの無駄をなくし、1万4000台あっても不足していたタクシーを4000台に減らせると試算したという。

 組織のコミュニケーションを定量分析する「ビジネス顕微鏡」もユニークだ。IDカード型のセンサーノードが、それを身に付けた従業員の「行動」を可視化する。センサーノードは赤外線センサーや加速度センサーを備えており、動きや会話の長さを検知できるため、誰がどのくらい会話したかや、フロアのどこを移動したかを計測できるという。

 「このチームはよく会話してるね、とかこの部署をあの部署はあまり連携できていないのではないか、といった要素を、感覚ではなくリアルタイムに数値化することで対策を打てる。営業部門であれば、成績のよいチームとそうでないチームについてそれぞれのコミュニケーションパターンを割り出せる」(安田氏)

ビジネス顕微鏡による行動解析。個人間/組織間のコミュニケーションを可視化する

 「データには3つの種類がある」と安田氏は話す。従来は価値を生む第1のデータを、価値を生まない第2のデータしかなかった。現時点で具体的な用途はないが後になって価値を生むかもしれないデータ、すなわち第3のデータが登場したのが、今なのだという。

 第3のデータの例として安田氏は、PageRank登場以前の、インターネットのリンク構造データを挙げる。当時Googleは、測れるし見えてもいるが役に立つかは分からないリンク構造データに価値を与え、競争力の源泉とした。「ビッグデータによる価値創生。そこに日立は取り組んでいく」(安田氏)

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