現場で効くデータ活用と業務カイゼン

優れたモバイルソリューションを提供できるベンダーが比較優位に――ファイルメーカー エプリング社長

ファイルメーカーではiOS向けモバイルDB「FileMaker Go」を無償提供したことでユーザー層が拡大しているという。同社エプリング社長は「競争にはモバイルソリューションが重要」と話す。

» 2012年12月06日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

 ファイルメーカーは11月30日に年次カンファレンスを開催。ビル・エプリング社長(同氏は米FileMakerのシニアバイスプレジデント CFOでもある)および米FileMakerでシニアプロダクトマネジャーを強めるエリック・ジェイコブソン氏に話を聞いた。

ビル・エプリング社長(写真=右)とエリック・ジェイコブソン氏(写真=左)

ITmedia 2012年4月にリリースしたFileMaker 12に対する手ごたえは?

エプリング リリース後、最初の6カ月はわれわれにとって前例のないほど強力な6カ月でした。多くの既存ユーザーが移行しただけでなく、従来はFileMakerを選択肢としていなかった新規のユーザーも獲得できています。

ITmedia  それはFileMaker 12ユーザー向けにFileMaker Goを無償提供したことが要因でしょうか?

エプリング もちろんそれもあります。加えてFileMaker自体が、既存のデータベース環境から用意に移行できるソリューションであることも大きいと考えています。(FileMakerの利用に際し)データベースエキスパートであることを必要としないというのが、われわれのDNAです。

ジェイコブソン 旧バージョンからの移行については、その作業マニュアルが1パージに収まるようにするというのがFileMakerのルールでもあります。

ITmedia 有償で販売していたFileMaker Goを無償提供することは、難しい決断だったのでは?

エプリング もちろんその通りです。社内では喧々諤々の議論がありました。ですがFileMakerはユーザーのベネフィットを重視する会社であり、そしてユーザー企業の中にはBYOD(Bring Your Own Devices:私物スマートデバイスの業務利用)の圧力が強く存在していました。つまり無償提供は自然な決断だったということです。

iPhoneやiPadでデータベース環境を自在に扱えるFileMaker Goを無償提供したことで、多くの新しいユーザーがFileMakerを導入したことは既に述べたとおりです。実際、モバイルのビジネス活用やBYODというのは(FileMakerユーザー層を拡大させる)強い追い風になっています。

ITmedia モバイルデータベースが活用されるのはどのようなケースでしょう?

エプリング 例えば、医療分野での導入が進んでいます。人と人がコミュニケーションする際、間に戸を立てる(ノートPCのモニタなどを挟んで相対する)のは自然ではありません。医師と患者が会話する際、iPadを利用すれば、スムーズに意思疎通できます。

 FileMaker 12は、今後数年間の基礎となる重要なバージョンです。それは、強力なモバイル環境をビジネスソリューションとして提供できる製品だからです。優れたモバイルソリューションを提供できること。今、ITベンダーが比較優位に立つため必要なの要素はまさにこれです。

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