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» 2013年01月01日 00時00分 UPDATE

2013年新春特集 「負けない力」:世界で通用する日本人を輩出する組織に SAPジャパン・安斎社長 (1/3)

アジア太平洋地域の中で大きな売り上げ貢献を果たしているSAPジャパンだが、さらなる飛躍のためにはグローバル人材の育成が不可欠だという。

[聞き手:伏見学,ITmedia]

 2010年末にSAPジャパンが日本で発表したインメモリコンピューティング製品「SAP HANA」は、この2年間で確固たる地位を築き上げ、いまや同社のあらゆる製品・サービスを支える基盤になりつつある。

 そうしたSAPジャパンを率いる安斎富太郎社長に、競合に勝ち抜く上で武器となる同社の強さ、さらには安斎氏自身が他者に対して負けない力などを聞いた。


5つの注力事業の成果は?

――2012年はSAPジャパンにとってどのような1年でしたか。

 全体的に順調です。2012年は3期連続で2桁成長、一昨年を含めると7期連続です。そうした中で、昨年は「アプリケーション」「データベースおよび技術」「アナリティクス」「モバイル」「クラウド」という5つの事業分野に注力しました。

SAPジャパンの安斎富太郎社長 SAPジャパンの安斎富太郎社長

 SAPのコア事業であるERP(アプリケーション)は、依然として引き合いが多く、2桁成長しています。その要因として、3つの顧客需要があると見ています。1つ目は、カスタムメイドを含め、大企業がこれまで構築していた基幹システムが刷新の時期を迎えていること。2つ目は、既にERPを導入しているが、いよいよSCM(サプライチェーン管理)やHCM(人材資源管理)なども補強して、一貫したシステムで取り組まないとグローバル競争では勝てないという企業が増えていること。3つ目は、グローバル展開を図る中堅企業が後発者利益を得るためにERPパッケージを活用したほうが早いと感じていることです。SAPはグローバルで約20万社のユーザーを抱えており、そのベストプラクティスを反映してERPなどの製品・サービスをバージョンアップしているのです。

 データベース(DB)に関しては、サイベースの買収によって自社でDB製品を扱えるようになりました。昨年4月には私の直下に新しい組織を作り、営業体制を強化しました。サイベースのユーザーにERPを販売する機会ができたり、SAPのERPユーザーにDBを提供したりできるようになりました。

 また、DBを支える技術であるインメモリコンピューティング「SAP HANA」が順調に売り上げを伸ばしています。グローバルで約700社、日本でも約50社に導入されています。リリースされたばかりの一昨年は、新しい技術を使ってみようという先駆け的な需要がありましたが、昨年は本格的に実際の業務の中で活用していこうとする顧客が出てきました。

 アナリティクスは、時代の流れもあって以前から堅調な売り上げを確保しており、HANAとの組み合わせによって引き続き堅調に伸びています。

 2012年に大きく流れが変わったのがモバイルです。1つには、日立製作所とMDM(モバイルデバイス管理)分野で協業したことです。具体的には、MDMソフトウェア製品「SAP Afaria」と日立の運用管理システム「JP1」を組み合わせて、サーバからモバイルまでを管理できるソリューションを提供しました。2つ目は、大手キャリアのモバイルサービスの中に、Afariaをメニューとして組み込みました。3つ目は、スマートフォンやタブレット端末で利用するビジネスアプリを開発しました。一昨年はモバイル事業に力を入れるという部分にとどまっていましたが、昨年は具体的にビジネスが動き出したといえるでしょう。

 クラウドについては、サクセスファクターズやアリバといったクラウドベンダーを経営統合したり、Amazon Web Services(AWS)の基盤上にSAPのアプリケーションを実装したりすることで、サービスの拡充が図られました。また、SaaS型のERPスイート「SAP Business ByDesign」を日本市場でも展開する方針が出ました。今年以降、さらなる成長分野として期待されます。

――2013年もHANAが事業の軸になるのでしょうか。

 データベース、モバイル、クラウドの3つが大きな軸になりますが、中でもHANAには力を入れていきます。今年早々にはHANAをシステム基盤にERPを稼働させるという「ERP on HANA」を市場に投入します。価格体系も変え、従来の解析システムのHANAからデータベースのHANAとして提供していきます。

――1月1日付けでサイベースを事業合併します。具体的な変化はありますか。

 既にバックオフィス部門も含めて一緒に仕事をしていますが、2月上旬にSAPジャパンの本社にサイベースのスタッフ全員が移動する予定で、本当の意味で1つの会社となります。同じ組織になることで心構えやキャリアに対する意識が変わってくるはずです。

 元サイベース社員の強みは、DBに対する知識が豊富であるということです。SAPにはHANAの技術に詳しいけれどもDBに明るい社員はそれほど多くありませんでした。モバイルについても同様です。一方で、サイベースの社員もERPをはじめアプリケーションに関する知識がそれほど多いわけではないので、統合によってこうしたお互いの弱みを補完できるようになります。加えて、サイベースは中堅規模のSIパートナーやインダイレクトチャネルに強いこともSAPにとって大きなメリットです。

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