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» 2013年01月24日 08時00分 UPDATE

松岡功のThink Management:富士通の新SIコンセプトにみるマネジメントの核心

富士通が先週、「トータルサービスマネジメント」と呼ぶ新たなSIコンセプトを確立したと発表した。今回はこのコンセプトを題材に、マネジメントについて考えてみたい。

[松岡功,ITmedia]

顧客のビジネス革新をトータルサポート

 富士通が1月17日、SI(システムインテグレーション)事業について会見を開き、顧客のビジネス革新をトータルにサポートする新たなSIコンセプトを確立するとともに、これを実現する6つのICT人材像を定義したと発表した。

 新SIコンセプトは「トータルサービスマネジメント」と呼ばれるもので、SIの役割がこれまでの業務の効率化からビジネスの変革・成長の支援へとシフトしていくことを踏まえて策定したという。

 その中身は、「顧客のビジネスの変革・成長に向け、事業の企画、具体化、運営、評価といったビジネスサイクル、およびそれに対応するシステムライフサイクルを統合的に支援し、そのために必要となるリソースを選択的に提供することで、顧客とともに最適解を実現する」というものだ。

 この新コンセプトの実現に向け、同社では市場のニーズや顧客の漠然とした要求を明確化した上で、顧客とともにビジネスを企画し、ビジネスサイクル全体を継続的に支える人材が必要になると判断。その人材像として新たにプロデューサー、イノベーター、インテグレーターの3つの役割を定義し、従来のコンサルタント、マネージャー、アーキテクトの3つを新たなコンセプトに沿って位置付けた。

 新たに定義された3つの人材像は以下の通りだ。プロデューサーはビジネスサイクル全般に関与し、個々の活動を整理・統合し、顧客ビジネスのサイクルをより大きく、より速くする調節を行う。また、イノベーターはビジネスサイクルにおける運営から評価全般、企画に関与し、現状の運営課題順位付け、投資効果評価と企画への引き継ぎを行う。そして、インテグレーターは企画の具体化から実装全般、および運営に関与し、ビジネスの具現化を実現する、というのが役割となる。

 また、従来のコンサルタントはビジネスサイクルの中で、イノベーターの情報および顧客の要求を結合させ、顧客ビジネスの創造、成長計画の立案、詳細化を行い、インテグレーターに引き継ぐ役目を担う。残りのマネージャーとアーキテクトについては、システムライフサイクルにおいてそれぞれの役目を担う形とした。

 同社では、こうした新たな役割を担う人材を2015年度末までに合わせて5000人育成したいとしている。

 会見のさらに詳しい内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、ここからはあらためてマネジメントの観点から、同社の新たなコンセプトと人物像について考えてみたい。

マネジメントサイクルで提供すべき価値を明確に

 会見で説明に立った富士通システムインテグレーション部門の柴田徹 部門長補佐によると、トータルサービスマネジメントとそれに対応する新たな人材像をあてはめた概念図は次のようになる。

富士通のトータルサービスマネジメントの概念図 富士通のトータルサービスマネジメントの概念図

 この図が示しているのは、新たな人材がビジネスサイクルに沿った形でそれぞれ役割を担っているということだ。さらに、それぞれの人材がそれぞれの役割においてどのような価値を提供するのか、という柴田氏の次の説明が非常に興味深かった。

 「ビジネスサイクルの中で、イノベーターは気づきを、コンサルタントはビジョンを、インテグレーターは新しい技術を、そしてサイクル全般に関与するプロデューサーは計画と評価の整合性を、それぞれの役割における価値として提供する」

 図の中では、それぞれの人材が提供する価値を☆マークで記してあるが、ビジネスサイクルに沿ってそれぞれの人材が担うべき役割とともに、提供すべき価値を一言で明確にしたところに、同社のトータルサービスマネジメントの真骨頂があるのではないだろうか。

 とかくマネジメントの話となると、PDCAサイクルを形取ったような説明を受ける機会が少なくないが、そのほとんどがプロセスや役割に終始したものという印象がある。その点、今回のトータルサービスマネジメントの説明では、提供すべき価値を一言で明確にしたことで、それぞれの人材が「何をすべきか」がより鮮明になったのではないだろうか。

 もちろん、言うは易し、行うが難しではあるが、提供すべき価値をわかりやすい言葉で伝えることは非常に重要だと考える。今回の富士通のトータルサービスマネジメントについては、あくまでSI分野が対象ではあるが、こうした提供すべき価値をマネジメントサイクルの中できちんと示していく発想は、ほかの分野でも応用できるのではないだろうか。これは単にプレゼンテーションレベルではなく、まさしくマネジメントの核心を突いた話のように思えてならない。

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