ペーパーレス化は「活用」視点が大事――キャプチャ技術のKofaxMaker's Voice

米Kofaxはモバイルアプリをリリース。同社EVPのドレイトラー氏は、「コスト削減のためのペーパーレス化というだけでなく、ビジネスの競争力向上という視点が大事」と話す。

» 2013年01月29日 08時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ドキュメントキャプチャとBPMを組み合わせたソリューションを展開する米Kofaxは、1月にスマートフォンやタブレット端末のカメラで紙文書などをスキャンし、活用するためのアプリ「Kofax Mobile Capture」を、iOSおよびAndroid向けにリリースした(米国では昨年から)。

 Kofax Mobile Captureは、Kofaxの中核技術という画像認識・補正の「VRS」を組み込む。同社ではVRSを国内外のメーカーにOEM提供し、VRSを採用したMFP(複合機)やスキャナ製品も多い。また、BPM関連ではEMCやOpenText、Microsoft、IBM、Oracle、SAP、Adobeなど多数のベンダーと提携する。

 モバイルアプリでは通常のカメラアプリでは識別が困難な色合いや解像度の荒いドキュメントを、認識・補正したうえで高圧縮率のデータに変換。暗号化通信を利用してオフィスの業務システムに送信できる。オフィス向けには、電子化ドキュメントの内容に応じてドキュメント管理システムやその他の業務システムにデータを自動仕分けする製品も提供。これらを利用することで、ビジネスプロセスの改善やプロセスの時間短縮が可能になるという。

Kofaxのアプリ(左)と標準カメラでの違い。同社アプリではドキュメント画像の余分なスペースをカットしたり、文字やバーコードを視認できるよう補正してくれる

 モバイルアプリの提供は、企業のビジネスシーンでスマートフォンやタブレット端末の利用が広がっていることによるもの。日本語にも対応したモバイルアプリの開発キット(SDK)も提供し、ドキュメント活用ソリューションとして展開していく考え。エグゼクティブバイスプレジデントのハワード・ドレイトラー氏は、「ビジネスプロセス全体を短くし、効率的に回す仕組みを実現すれば、企業は競争優位性を高めていけるし、結果的にコスト削減にもつながる」と説明している。

 ドキュメントの電子化によるメリットとしては、オフィス内で印刷される紙の枚数を減らして経費を切り詰める――コスト削減が大いに注目されてきた。同社が提起するような業務効率化や生産性向上のメリットも注目されてはいたが、それら以上にコスト削減への関心が高かった。企業のモバイル化が進展しつつある最近になって、業務効率化や生産性向上の視点からドキュメント電子化、ペーパーレス化に注目が集まるようになったようだ。

 同社日本法人社長の西村松師氏は、「商品による差別化が難しい業界では顧客対応が差別化ポイントになる。モバイルの活用でビジネスプロセスがスタートするポイントを前倒しし、よりスピーディーな顧客対応を実現することで、競合優位性を確保したいという企業が増えている」と話している。

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