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» 2013年02月04日 10時00分 UPDATE

ITアナリストに聞く:共有ファイルが開けない…… サーバ運用の課題を解決するヒント

中小企業のサーバ導入ではコストが優先されがちだが、ノークリサーチの岩上シニアアナリストは「運用での課題解決に貪欲になるべき」とアドバイスする。

[國谷武史,ITmedia]

 中小企業(年商規模5億〜50億円未満)におけるサーバ導入のポイントについて、ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏は前回の記事で用途を明確にした製品選定が重要だとアドバイスした。今回は引き続き岩上氏に、中小企業でのサーバの運用管理における留意点や活用のポイントを聞く。

「もっと安く」の落とし穴

 ITに限らず工業製品の多くは、技術の進展とともに機能が従前と同様ならコストが下がり、同様のコストならより多機能・高機能化するという特徴を持つ。例えば、家電製品を新たに購入する場合、今持っている製品と同じ機能で十分ならより安価な製品を検討し、以前と同じ予算ならもっと機能が充実したものを検討するだろう。

 岩上氏は、「サーバの調達でも本来はどちらが自社にとって望ましいかを検討するはず。しかし、大半のユーザーは今と同じスペックの製品でもっと安いものを求めがちだ。導入コストは重要だが、低価格化には限度があるので、コストばかりを優先するのではメリットを得にくい」と指摘する。

 会社のビジネスを支える業務システムを24時間安定稼働させるために、大手企業などでは通常、サーバ構成を冗長化するといった対応がとられる。岩上氏によれば、IT活用に積極的な中小企業でも同様の対応をとっているが、そうでは無い中小企業では「何かあればとりあえず再起動すれば良い」「安いサーバに入れ替えれば済む」といったところが少なくない。

 サーバ運用での安定性を確保するために、価格が高く高信頼の製品を選ぶ方法もあるが、大半のユーザーはすぐに代替が利く安価な製品を選ぶ傾向にある。しかし実際は、コスト最優先で後者の方法を選び続けていると、かえってTCOが高くついてしまいかねないのだ。新たに導入するサーバを選ぶ上で、「ユーザーは運用でのメリットを引き出していくという貪欲さを持つべき」と解説する。

運用での課題を解決していくという視点

mr_iwakami.jpg ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏

 ユーザーが既存製品と同等のサーバを選ぶ一番の理由は、上述したシステムの安定性の確保とコストだろう。今現在安定して稼働しているシステム環境を維持できるのであれば、ハードウェアが安価であることに越したことはないという感覚である。万一の障害発生でも、安価な予備機に入れ替えれば済む。

 だが、安価とはいってもそれなりの台数の予備機を確保すれば、それなりに調達コストが発生する。機種によってはすぐに調達できないという場合もあるだろう。そこで岩上氏が推奨するのが、運用管理ツールの活用である。

 近年発売されるサーバ製品の多くに、充実した機能を持つ運用管理ツールが付属している。例えば、障害発生の予兆を自動的に検知して事前に管理者へアラートしたり、クラウドサービスと連携してサーバのヘルスチェックを自動的に行ってくれるものがある。稼働監視や障害検知などで独自のツールを活用している場合も多いが、サーバに付属するこうした機能を活用して安定稼働を支える運用環境を少ないコストで実現していける。

 また、導入コストを最優先に毎回異なるベンダーの製品を調達してしまうと、後々の運用が煩雑になってしまう。ユーザーがその点を理解した上で適切にシステムを運用できるのであれば問題にはならないが、岩上氏はできれば製品をそろえる方が望ましいという。

 「システムが断片化していると、仮想化で拠点のシステムを統合したいといった場合に、運用が複雑になってしまう。サーバに付属するツールもその上位の統合管理ツールとの連携が考慮されているので、サーバの選択では将来の運用管理をどうしていくべきかといった点もぜひ注目していただきたい」(岩上氏)

サーバ内のデータにも注目

 サーバ運用ではハードウェアなど『箱』の部分に目が向きがちだが、サーバに格納されているデータの管理も忘れてはならない点だ。システムを安定稼働させるのはもちろんのこと、運用次第でシステムを利用する業務部門などがビジネスでITをより良く活用していけるようになる。

 例えば、複数のファイルサーバに大量のデータがただ置かれているような運用では業務部門のユーザーが利用したいデータを発見できずに苦労するといったシーンは、どんな企業でも日常的にみられる。異なる拠点のファイルサーバを利用しようとして、ファイルになかなかアクセスできないといったことも多い。

 ファイルサーバ上のファイルをなかなか開けないといった場合、通常はネットワークの接続環境に問題があるのでは考えがちだ。だが、PCとサーバがともにWindowsであれば、それぞれのOSを最新のものにバージョンアップすることで、より効率的なファイルアクセスができるようになり、問題が解決するといったケースも多々ある。つまり、一見関係ないように見えても、実はサーバ更新が問題解決のカギを握っていることもあるのだ。

 Windows 7以降(Enterprise Edition)と組み合わせた「BranchCache(ブランチキャッシュ)」というOS標準の機能を利用すれば、費用や手間を最小限に抑えてVPN環境を構築できるだろう。Enterprise Editionは、中小企業にはなじみが薄いが、拠点間のファイルアクセスが必要なPCに限って導入すれば、中小企業でも十分現実的な選択肢となる。

 サーバを日々運用していれば、さまざまな課題に直面する。岩上氏が解説するように、こうした課題の多くは、実はサーバ周りの機能やツールを活用することで解決できる場合が少なくない。サーバの新規導入は、まさしくこうした課題を解決するチャンスでもあり、そのためには常日頃からサーバ運用で感じている問題を適切に把握し、解決のための方策を探るという視点が不可欠だろう。単に安価で既存と同等の製品を選んでばかりいては、積もり積もった運用の課題を解決するのは難しい。

 岩上氏は、「サーバ選びは家電選びのようなもの。ユーザーは自社の環境をより良くしていくために、サーバの活用にもっと貪欲になってほしい」とアドバイスしている。

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サーバ | 運用管理 | SMB | ノークリサーチ


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