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» 2013年04月15日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:「われわれは情報革命の同志」——OracleエリソンCEOとソフトバンク孫社長の講演語録

Oracleのラリー・エリソンCEOとソフトバンクの孫正義社長が先週、日本オラクルのイベントで基調講演を行った。その中から興味深かった両氏の発言を取り上げてみたい。

[松岡功,ITmedia]

「ライバルはAmazonとSalesforce」——エリソンCEO

 日本オラクルが4月9日、都内ホテルでプライベートイベント「Oracle CloudWorld Tokyo」を開催した。基調講演には、米Oracleのラリー・エリソンCEOが米国本社からライブ中継で登場。また、ゲストとしてソフトバンクの孫正義社長が登壇し、Oracleとの関係や同社製品の活用事例などについて紹介した。

 基調講演で対談する米Oracleのラリー・エリソンCEO(左)とソフトバンク孫正義社長 基調講演で対談する米Oracleのラリー・エリソンCEO(左)とソフトバンク孫正義社長

 この基調講演の内容はすでに多くの報道がなされているので、詳細については関連記事等を参照いただくとして、ここではその中から興味深かった両氏の発言を取り上げ、筆者なりの印象を述べておきたい。

 「クラウドのビジネスモデルは、電力などの公益サービスと同様のものになる」(エリソン氏)

 こう語ったエリソン氏は、特にクラウドが公益サービスモデルのようになれば、「複雑さからユーザーを解放できる」と強調した。そのココロは、「例えば電力では、さまざまな発電方法があるが、ユーザーはそんなことを一切気にせず、電力会社が整備した送電網を通じて電力の供給を受けることができる。クラウドもこれと同じ仕組みになる」というものだ。

 この見解は目新しいものではないが、エリソン氏が語ったことに意味がある。というのは、「The Oracle Cloud」によってクラウドサービスを包括的に提供するOracleにとって、今後のビジネスモデルはこうなるとトップ自らが明言した格好だからだ。筆者は「こうなる」というより、「Oracleはこの方向に突き進む」といった同氏の“決意”を感じた。

 「クラウド分野でのライバルは、これまでとは異なる。だが、Oracleには大きな強みがある」(エリソン氏)

 ライバルについての話を明快にするのが、いつもながらのエリソン流だ。今回も、SaaSでは「SAPではなくSalesforce.com」、IaaSでは「IBMではなくAmazon.com」と明言。そして、こうしたライバルに対抗するうえでも大きな強みになる点として同氏が挙げたのが、「SaaS、PaaS、IaaSを全て提供していること」と「業界標準の技術を採用していること」だ。

 前者については「AmazonはIaaS、SalesforceはSaaSとPaaSしかない」、後者については「例えばPaaSにおいて、OracleはJavaやOracleデータベースといった業界標準の技術がベースだが、Salesforceは独自の技術を採用している。業界標準の技術でないと、ユーザーは結局ベンダーロックインされてしまう」と、競合他社に比べての優位性を強調した。

 こうした明快ぶりもさることながら、一連の発言で筆者が印象に残ったのは、「新しい競合相手が出てきたということは、顧客の選択肢が広がったことにもなる」との一言。同氏のしたたかさと一段の円熟味を垣間見た気がした。

「世界に打って出るためにOracle技術を採用」—— 孫社長

 「当社は世界の先進技術をどんどん取り入れ、日本で力をつけたうえで世界に打って出ていく。それが日本のためにもなると確信している」(孫氏)

 これがビジネスにおける自らの基本的な思想だと語る孫氏。「Oracleは日本にとって“黒船”かもしれない。国産の技術ではなく、海外から来たOracleの技術を優先するのはいかがなものか、との意見もある。ただ、日本の企業として世界に打って出ていくためには、国産技術に限らず、世界で通用する最も優れた技術を取り入れていかないと勝ち残れない」との発言は、国産ベンダーにとっては耳が痛いところだろうが、同氏ならではの見識である。一連の発言の中で、「日本を愛すればこそ」と繰り返し語っていたのが印象的だった。

 「当社は日本で最大規模のOracleユーザーだ。これからも情報革命の同志としてパートナーシップを強めていきたい」(孫氏)

 現在、ソフトバンクグループではOracle製品を活用することによって、50を超えるプロジェクトが稼働中だという。講演ではそのうち、電波改善、ツイート解析、行動ターゲティングといった3つのビッグデータ活用事例を紹介。詳細は他稿に任せるが、いずれも孫氏が「ここまでやっている会社は他にない」と断言する内容ばかりだ。

 両社のパートナーシップについては、エリソン氏も「ソフトバンクは孫さんを筆頭に、現状に満足することなく、未来を切り開こうと懸命に取り組んでいる。そんなソフトバンクと一緒に仕事をやることができて非常に光栄だ。これからも両社で多くのことを成し遂げていきたい」と期待のほどをうかがわせた。

 エリソン氏と孫氏の関係は、講演でも故・スティーブ・ジョブズ氏を交えてのエピソードが披露されたように、深い親交がある。経営トップ同士の信頼関係は、パートナーシップの最大の原動力でもある。

 さまざまな事業を展開している両社だが、あえて代名詞を付ければ「クラウドのOracle」と「モバイルのソフトバンク」ともいえる。クラウドとモバイルは、まさしく今のICT分野の2大キーワード。両社がさらに深く連携して動き出せば、大きなインパクトがありそうだ。今回の両氏の講演は、そんな動きに向けた“号砲”にも感じられた。

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