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» 2013年06月17日 14時55分 UPDATE

Maker's Voice:オンプレミスと全てのクラウドを1つに、オープン戦略のHPが放つ次の一手

2016年までに企業の75%がハイブリッドクラウドを展開する予測するHP。オンプレミスとクラウドをオープンプラットフォームで一元化する「HP Converged Cloud」戦略を、新たなフェーズへ移行させつつある。

[取材・文/編集部,ITmedia]

 クラウドコンピューティングは、これまでSaaSやIaaSなどに代表されるパブリックサービスが牽引役となってその普及を広げてきた。そこでは企業が情報系サービスあるいはシステム基盤の一部分として利用するケースが大半だったものの、ここ1年の間に基幹業務システムとの連携、さらにはビッグデータ分析に代表される新しいシステムとしての事例が目立つようになってきた。

hp001.jpg プリセールス統括本部ソリューションセンター クラウドソリューション部 担当部長の真壁徹氏

 日本ヒューレット・パッカード クラウドソリューション部 担当部長の真壁徹氏は、「日本でもクラウドが本格期に入り始めたという印象だ」と話す。企業におけるクラウドの位置付けは、数年前までの検証や評価フェーズから本格採用フェーズに移行し、その目的にシステムの集約によるコスト削減からビジネスの要請に基づく戦略的なものへと変わってきたという。

 だが、クラウドの本格活用においてはいまだに多くの障壁が残されているとも指摘する。「クラウド技術の急激な進歩によって、ノウハウや知見が複雑かつ多様化しており、詳しい人材も不足している。ベンダーロックインを懸念する声も根強い。クラウドに対して企業は、標準によるオープンかつシンプルな仕組みと専門的な知見を求めている」(同氏)という。

 HPではこれからの企業システムの動向について、旧来のシステムは引き続きオンプレミスで運用されつつも、部分的に自社で構築・運用するプライベートクラウド、もしくはサービス事業者のサービスを占有的に利用するマネージドクラウドを取り入れ、ビッグデータ分析のような仕組みはパブリッククラウドを活用して、これらを適材適所で組み合わせていく「ハイブリッドクラウド」が主流になるとみる。2016年までに企業システムの75%がハイブリットクラウドになると予測している。

 同社は、こうした状況を見据えて2011年に「HP Converged Cloud」という構想を発表。オンプレミスや各種のクラウドを共通化されたアーキテクチャに基づいて統合的に利用していくというもので、そこでは「情報の管理性」「セキュリティ」「HP Cloud OS」「インフラの集約」という4つの領域に注力しているという。特にハイブリッドクラウドを実現する骨格と位置付けるのが、クラウド基盤ソフトウェアのオープンソース「OpenStack」をベースとするHP Cloud OSだ。

hp002.jpg HP Converged Cloud戦略

 「OpenStackの導入や準拠を表明するクラウドサービスが急増しているように、OpenStackは業界標準のものとして定着しつつある。HPでもOpenStackをパブリッククラウドサービスの『HP Cloud Services』やマネージドクラウド、HP CloudSystemの基盤として導入しており、オンプレミスや各種クラウドをつなぐAPIの提供も進めている」(真壁氏)

 企業におけるハイブリッドクラウドの導入を加速させるべく、HPは6月10〜12日に米国・ラスベガスで開催した年次イベント「HP Discover 2013」で、HP Converged Cloud戦略での新たな施策を発表。HP Cloud OSでは特にハイブリッドクラウド環境におけるワークロードのデプロイを簡便にするソフトウェアの拡充やライフサイクル管理のための機能強化を図った。HP CloudSystemではプライベートクラウドの迅速な導入を低コストに行えるという「HP CloudSystem Enterprise Starter Suite」を追加した。

 また、4月に発表したAtomベースの省電力・高性能サーバシステムの「HP Moonshot System」でもHP Cloud OSをサポートするとし、クラウドサービスプロバイダーなどがそれを検証するための「HP Cloud OS Sandbox」も提供することも明らかにした。これら以外にもネットワークを含めたクラウド対応の拡充、企業顧客のクラウド導入を支援する広範なサービスの提供も発表している。

 こうした施策によって企業での本格的なクラウド利用を進めたい考えの同社だが、真壁氏は「既アプリケーションのマイグレーションよりも、ビッグデータ活用に代表される次世代の戦略的システムがキラーアプリケーションになるだろう」と話す。

 米国では既にエンターテインメント業界などで同社のクラウドサービス活用が急激に増えているという。「例えば、DreamWorks Animationは映画制作のために、当社のクラウドサービス上で数ペタバイト規模のデータを利用している」(真壁氏)。HP Discover 2013では新たに、20世紀FOXとも戦略的パートナーシップを結んだことも発表。20世紀FOXは、データセンターにおけるフットプリントの70%削減や、プロビジョニング時間を従来の5週間から15分に大幅に短縮させることを計画。これらによって、IT部門のリソースの半分を運用や保守業務から新規のグローバルITサービスの提供にシフトさせたい考えだ。

 「ハイブリッドクラウドのような新しいITのあり方を実現するには、情報の管理、セキュリティ、Cloud OS、インフラ集約の4つの軸がますます重要になるだろう」(真壁氏)とし、Converged Cloud戦略を引き続き推進していくとしている。

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