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» 2013年06月24日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:なぜ顧客分析が経営の最重要課題なのか

SAS Institute Japanが先週、顧客分析ソフトウェアの最新版を発表した。その会見で同社の吉田仁志社長が語った顧客分析の最新事情の話が興味深かったので紹介したい。

[松岡功,ITmedia]

顧客分析が重視される3つのポイント

 SAS Institute Japanが6月18日、顧客分析ソフトウェア「SAS Customer Intelligence」の最新版を発表した。従来、個別の製品として提供してきた4つのマーケティング・アナリティクス製品群を単一のプラットフォームに統合したことで、競合製品に比べてより高度で幅広い顧客分析ソリューションを実現したという。

 同社によると、最新版はデジタル化が進展した現代のマーケティング活動において必要とされる「多様なチャネルにおける顧客との関係を効果的に構築する」「顧客との対話によって優れたエクスペリエンス(顧客体験)を創造する」「ビッグデータの分析により最適な意思決定を行う」といったニーズに応えるとしている。

 会見に臨むSAS Institute Japanの吉田仁志社長 会見に臨むSAS Institute Japanの吉田仁志社長

 最新版の詳しい内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、ここでは発表会見で同社の吉田仁志社長が語った顧客分析の最新事情の話が興味深かったので紹介したい。

 吉田氏によると、「企業にとって顧客を分析したデータをビジネスに生かすのは当然のことだが、ここにきてその重要性がますます高まり、顧客分析を経営の最重要課題として取り組み始めた企業がどんどん増えてきている」という。

 なぜ、そうした現象が起きているのか。その背景として同氏は、「デジタルチャネルの拡大」「データの爆発的な増大」「顧客像の立体化」といった3つのポイントを挙げた。同氏の話を基にそれぞれのポイントの意味を少々説明しておこう。

 まず1つ目のデジタルチャネルの拡大とは、インターネットやモバイルがほぼ普及した今、さらに多様なデジタルデータをやりとりするSNSやスマートフォンが勢いよく広まってきていることを指す。顧客分析にとってこうしたデジタルデータはまさに宝の山となる。特にそうしたデジタルデータによって、例えば情報の受発信や購買活動といった人々の行動が見えてくることが、顧客分析には大きなインパクトをもたらすようになる。

 2つ目のデータの爆発的な増大とは、まさしくビッグデータの出現を指す。企業にとってはこれまで社内に蓄積してきた定形データだけでなく、1つ目に述べた多様なデジタルチャネルから生み出される非定形データをどのように有効活用していくかが、顧客分析の重要なポイントとなっている。

 そして3つ目の顧客像の立体化とは、これまで顧客データといえば属性情報が中心だったが、ここにきて顧客それぞれの行動パターンなども含めてあらゆる角度から立体的に分析しようという動きが出てきていることを指す。この立体化こそが「顧客」ではなく「個客」の分析につながるとしている。

「個客を分析しない企業に将来はない」

 では、こうした背景の中で、企業は経営の最重要課題である顧客分析にどのような姿勢で臨めばよいのか。吉田氏は次の2つのキーワードを挙げながら、これまでの姿勢の転換を訴えた。

 1つ目は「TCOからROIへ」。システムを導入・維持するためにかかる総費用であるTCOは、これまで企業のIT投資における指標として重視されてきた。ただ、その中身を見ると、多くの企業がシステムの維持に8割のコストを費やしているが現状だ。そうした状態を打開して戦略的な投資にもっと比重を傾けるべく、投資対効果を示すROIに注目すべきではないか。「TCOからROIへというのは以前から指摘されていたが、ここにきてその緊急な対応が求められている」(吉田氏)という。

 では、そのROIをどの分野で見出すか。それが2つ目のキーワードである「バックオフィスからフロントオフィスへ」だ。そのフロントオフィスにおいて今こそ重点投資すべきなのが顧客分析だと吉田氏は説く。

 そして同氏は自身の説明の最後にこう強調した。

 「顧客ではなく個客を分析しない企業に将来はない。そして個客をただ見るだけではなく知る力をつけることが必要だ。知って初めて行動できるのだから、まずは知る力をつけるようにしていただきたい」

 ちなみに、これまで紹介した吉田氏の話は、同社が発表した顧客分析ソフトウェアの最新版が同氏の語ったニーズにうってつけのソリューションというストーリーに基づいたものではあるが、なぜ顧客分析が経営の最重要課題なのか、また、そう取り組み始めた企業が増えてきている理由について示唆に富む説明を聞くことができ、興味深いものだった。

 特に「顧客像の立体化」や「TCOからROIへ」、「個客をただ見るだけではなく知る力をつけることが必要」といったとらえ方は、CEOやCMO(最高マーケティング責任者)、CIO(最高情報責任者)といった顧客分析を先導すべき経営層にこそ求められるのではなかろうか。

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