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» 2013年07月30日 09時00分 UPDATE

ビッグデータ活用をめぐる企業の事情

近年のITトレンドキーワードになった「ビッグデータ」。その活用が注目を集めるが、「そもそも、何をどうするの?」という声も少なくない。ビッグデータ活用に対するITベンダーや企業顧客の取り組みを日本HPに聞いた。

[ITmedia]

 ここ数年でITトレンドワードになった「ビッグデータ」。ITのみならず、政治や経済分野でも登場するようになりつつあるが、ビッグデータに注目するITベンダーや企業の状況を日本ヒューレット・パッカード(HP)に聞いた。

「ビッグデータ」に対する見方

 IT用語解説サイトなどによると、ビッグデータとは「データベースシステムで処理ができないほどに巨大なデータの集まり」を指す。ITの普及に伴って社会のさまざまな情報がデジタル化され、生成されるデータ量も増加していった。情報システム側の性能や機能が向上し、膨大なデータを処理したり分析したりできる環境がようやく整い始めた。そこでビッグデータの活用が提唱されるようになった。

 ビッグデータ活用が叫ばれ出したものの、既にデータ分析に慣れた企業の中には、“ビッグデータブーム”に違和感を覚えるところがあるという。一方、データ分析に不慣れな企業ではその活用に漠然とした期待を抱きつつも、「どこから取り掛かればいいかも分からない」というところが少なくない。

hpggdt01.jpg エンタープライズサービスストラテジックポートフォリオ統括本部 エグゼクティブコンサルタント 内藤剛氏

 日本HP エンタープライズサービスストラテジックポートフォリオ統括本部 エグゼクティブコンサルタントの内藤剛氏は、「どんなデータを使うべきか、そもそもビッグデータは何かという段階の企業がまだまだある。方や、『詳しくバスケット分析をしたい』など目的が明確な企業や、分析ツールの習熟、担当者のスキルアップに関する相談も目立つ」と話す。

 ビッグデータビジネスを手掛けるIT各社の中で日本HPは、ハードウェアから分析関連のソフトウェア、コンサルティング、サポートサービスまでを幅広く取り組む。テクノロジーコンサルティング統括本部 インフラストラクチャソリューション部 部長の挾間崇氏によれば、同社がいうビッグデータの活用とは、「データから考察や洞察、予測を行い、アプリケーションを活用してデータのよってビジネスを推進する仕組み」だとしている。

データ活用への気付き

 ビッグデータに対する意識は企業のデータ分析経験によって違いがみられるものの、同社の顧客企業からは、特にデータ活用をテーマにしたワークショップへの人気が高い。ワークショップは月に数回開催し、複数社が集まってディスカッションを行ったり、個別に具体的な活用へ向けた相談をしたりとさまざまなケースがあるという。

 内藤氏によれば、ある企業のワークショップでは営業企画部門の参加者を中心に、5年後に売上を100億円アップするという目標を設定、そこに向けた方法論を丸一日かけて議論した。最初は目標達成の手掛かりを見出せないので、まず社内にあるVOC(顧客の声)のメモやアクセスログ、営業や販売でのやり取りの履歴といったデータソースを探す。使うデータが見つかれば、そこから新商品を開発できるか、あるいは既存商品を改良して売上を向上できるかなどを検討。最終的に約200種類の商材のアイデアが生まれ、短期と中長期でそれぞれの施策を取りまとめた。

hpggdt03.gif ビッグデータ活用に向けた支援の一例

 「営業企画では普段の業務でこうした検討をしているが、データから検討をしてみることで、『どう考えていけばよいかクリアになった』と評価された。ビッグデータに取り組む前に、まず頭の中を整理することもポイントになる」(内藤氏)

 データ分析に慣れた企業でも、ソーシャルメディアでの有象無象のコメントといったいわゆる非構造化データの分析では手探りの部分があるという。「分析、サンプリング、モデリングなどのプロセスは同じでも、従来の構造化データとは違う切り口を考えないといけない」(内藤氏)。

データ活用の体制づくり

hpggdt02.jpg インフラストラクチャソリューション部 部長 挾間崇氏

 データを利用する、あるいは、活用するといったシーンで中心的な役割を担うのは、実際にビジネスを動かす部門になるだろう。だが挾間氏によれば、ワークショップなどではIT部門の担当者が参加するケースも少なくない。データから得たものをどう使うかという目的よりも、まずはデータの蓄積や可視化をしていくために、IT部門へビッグデータ対応の役割が来ているという。

 「既存のデータベースからユーザーが希望するデータを抽出するというのは意外と難しい。ましてや、音声などのデータを蓄積して可視化するといったことは新しい挑戦になるため、まずはIT部門が慣れることから始めるというケースも多い」(挾間氏)

 上述の営業企画部門によるワークショップのケースと同時に、IT部門もビッグデータ活用に向けた取り組みに着手し始めている。「ビッグデータでユーザー部門が何かをしたいとなれば、やはりIT部門の力が不可欠。データ中心のアプローチは、たくさんの情報を入力して必要に応じて出力するという点で、情報システムとまったく同じ。場合によってはIT部門がデータ活用そのものをサポートすることもあるだろう」(内藤氏)

 現状ではビッグデータ活用の前に、まずデータの利用方法について学んでいく段階にある企業が多いようだ。これに対して、欧米企業の中には利用の先に視点が移りつつあるという。例えば、コミュニティサイトを運営してソーシャルデータを集め、それを製造工程にフィードバックして商品を改善させ、売上拡大につなげているという具合だ。

 同社のワークショップやトレーニングなどの講習では今後、海外事例も含めて国内でのビッグデータ活用の広がりに向けた取り組みを進めていくという。

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