ニュース
» 2013年08月01日 08時00分 UPDATE

松岡功のThink Management:最新調査にみる「課長」の実態

上場企業の課長は今どんなことに悩んでいるのか。産業能率大学が先頃、そんな調査結果をまとめた。マネジメントの観点からも興味深い内容なので紹介したい。

[松岡功,ITmedia]

厳しさ増す課長を取り巻く状況

 産業能率大学が先頃、「上場企業の課長に関する実態調査」の結果を発表した。従業員100人以上の上場企業で働く課長を対象に、職場の状況や課長自身の意識などに関するアンケート調査をインターネットで昨年12月に実施したもので、600人(男性583人/女性17人)から回答を得たという。同調査は2年前に続いて2回目で、その推移を示した項目もある。

 まず、課長を取り巻く状況として、現在の職場の状況を複数回答で聞いたところ、「自分よりも年上の部下がいる」(48.0%)、「自分よりも職場の在籍年数が長い部下がいる」(36.0%)、「自分よりも仕事に関する専門性が高い部下がいる」(29.0%)といった項目が高い割合を示した。

 また、3年前と比較した職場の変化について複数回答で聞いたところ、最も多かったのが「業務量が増加している」(57.0%)で、「成果に対するプレッシャーが強まっている」(39.2%)、「職場の人数が減少」(33.0%)と続いた。3年前と比較すると、職場の人数が減る一方で、業務は増え成果が求められる厳しい環境になっていることがうかがえる。

 課長自身のプレイヤーとしての仕事の役割については、99.2%が兼務していると回答。さらにプレイヤーとしての役割が51%以上と答えた人が全体のおよそ半数(48.2%)を占め、2年前の調査に比べ、8.2ポイント上昇した。プレイヤーとしての比重が高まりつつあるプレイングマネージャーというのが、今の課長の役割のようだ。

 ただ、そうした傾向がマネジメント業務への弊害になっているとの認識も強まっているようだ。プレイヤーの役割を兼務している課長に対し、マネジメント活動への支障の有無を聞いたところ、「支障がある」とした回答が58.1%に上り、両立できていない現状が浮き彫りになった。

 ちなみに、支障を与える業務のうち最も多いのが「部下の育成・指導」(60.4%)で、次いで「職場の構想を描くこと」(48.3%)、「目標管理」(45.4%)となった。プレイヤーの役割と兼務することにより、部下へのマネジメントに支障が出ているようだ。

突き詰めれば経営者の魅力の問題

 それは課長としての悩みにもなっている。複数回答による調査結果では「部下がなかなか育たない」(41.8%)ことが悩みとして最も多く、次いで「業務量が多すぎて余裕が無い」(37.3%)、「上司と考え方や意見が合わない」(22.8%)となった。

 2年前の調査では課長の悩みとして「業務量が多すぎて余裕が無い」がトップだったが、今回は「部下がなかなか育たない」が前回より12.1ポイント増加しトップになった。

 また、部下の育成について自分で「できていない」と感じることを複数回答で聞いたところ、「自分以外で若手を指導・育成する人材の育成」(37.5%)が最も多く、「メンバーの育成目標・計画の策定」(31.2%)、「部下がひとりで仕事を完結させるような経験の付与」(30.7%)と続いた。

 そんな悩み多き課長だが、今後に向けてはどんな思いを描いているのか。

 課長自身が「不足を感じる能力」および「強化したい能力」について複数回答で聞いたところ、不足している能力の中で最も多かったのは「戦略的にものごとを考える力」(32.8%)で、「語学力」(26.2%)、「職場の構想を描く力」(21.3%)と続いた。

 一方、強化したい能力で最も多かったのは「語学力」(49.3%)で、「戦略的にものごとを考える力」(39.8%)、「部下を育成する力」(31.3%)と続いた。こうして見ると、共にマネジメントに関する能力が上位を占めていることが分かる。

図 課長が最終的になりたい立場・役職 図 課長が最終的になりたい立場・役職

 さて最後に、課長が最終的になりたい立場・役職についての調査結果を示しておこう。現在の勤務先で最終的にどのようなポジションに就きたいかについて聞いたところ、最も多かったのが「部長クラスのポジションに就く」(38.5%)で、「現在のポジションを維持する」(33.0%)、「プレイヤーの立場に戻る」(13.5%)と続いた(図参照)

 逆に、要望が少なかったのは経営者(社長)と役員クラスで、合わせて15.0%にとどまり、2年前の調査に比べて6.2ポイントの減少となった。この傾向とともに注目されるのは、「プレイヤーの立場に戻る」との回答が前回調査に比べて4割(3.9ポイント)増加したことだ。つまり「平社員に戻りたい」というわけだ。これらの変動から、現実的でストレス多き課長像が浮かび上がってくる。

 こうした調査結果をマネジメントの観点からどう見るか。部下は上司の姿を見て希望を持つこともあれば失望することもある。その意味で、最後の調査結果は課長の失望を感じる。中間管理職である課長が失望しているようでは、その部下のモチベーションが上がるはずはない。もちろん、課長自身が踏ん張らなければいけないところはあるが、課長に失望させないマネジメントを行うのはまさしく経営者の仕事であり責任ではないか。突き詰めれば、それは経営者そのものの魅力の問題といえるだろう。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -