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» 2013年08月19日 10時30分 UPDATE

「SDNの熱気をアジアに!」 沖縄オープンラボラトリ・伊藤理事長に聞く

今年5月にNTTコミュニケーションズなど3社が合同で設立した「沖縄オープンラボラトリ」。英知を結集し、クラウドやネットワーク仮想化などの研究開発を推し進めていく。

[伏見学,ITmedia]

ネットワーク先端技術を沖縄から

 SDN(Software-Defined Networking)やクラウドコンピューティング技術の研究を主目的に、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、NEC、イイガが2013年5月に設立した「沖縄オープンラボラトリ」。この新たな研究機関を通じて、SDNに関するスキルを持った人材の育成や複数企業によるサービス共同開発などを行い、国内外にSDNを広く推進していきたい考えだ。

沖縄オープンラボラトリ理事長で、NTT Com 取締役 サービス基盤部長の伊藤幸夫氏 沖縄オープンラボラトリ理事長で、NTT Com 取締役 サービス基盤部長の伊藤幸夫氏

 では、なぜ沖縄なのか。現在、沖縄県を中心に、この地をアジアの重要なICT拠点とする「おきなわSmart Hub構想」がうたわれている。一例として、ソフトウェア開発やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)センターなどが集積する「沖縄IT津梁パーク」、クラウド事業を展開すべく沖縄県主導で建設中のデータセンターなどが中核拠点となっている。

 このたびの沖縄オープンラボラトリの設立も、おきなわSmart Hub構想がその背景にある。沖縄オープンラボラトリの理事長で、NTT Com 取締役 サービス基盤部長の伊藤幸夫氏は「沖縄県の中でネットワークの仮想化も重点テーマの1つにしたいという話が上り、その分野に先駆けて取り組んでいるNTT Comに依頼があったというわけだ」と明かす。昨年11月のことだったという。

 NTT Comは、ネットワーク制御技術である「OpenFlow」プロトコルの標準化団体「Open Networking Foundation(ONF)」に2年前から参画。現在は、ボードメンバーとして、米Google、米Facebook、米Yahoo!、米Microsoft、独Duetsche Telekom、米Verizon、米Goldman Sachs、米Stanford University、米UC Berkeleyとともに、ネットワーク仮想化の技術展開などに奮闘している。

 アジア地域では唯一のボードメンバーであるNTT Comだが、日本でのSDNの盛り上がりを受け、こうした熱気をアジアに波及していきたいという考えを抱いていた。「沖縄はアジアに物事を展開するためのポジションとして最適で、NTT Comの狙いともマッチした」と伊藤氏は強調する。

「沖縄県は、台湾や香港、中国、韓国などとさまざまなリレーションがあると聞いている。県が持つチャネルと沖縄オープンラボラトリの活動を連携させてもらい、アジア全体への広がりを加速できれば」(伊藤氏)

ワーキンググループで人材育成

 沖縄オープンラボラトリでは、具体的にどのようなことに取り組んでいくのか。まずは以下の4つのワーキンググループを設置し、メンバー同士で議論や研究を進めていくとしている。

  • ネットワーク技術のワーキング
  • ネットワーク運用検討のワーキング
  • ユースケース(事例)のワーキング
  • エデュケーションのワーキング

 例えば、ネットワーク運用検討のワーキングでは、クラウド基盤を構築するオープンソースソフトウエア「OpenStack」を活用し、いかに効率的、効果的な運用を実現するかについてさまざまなテストなどを行っていく。エデュケーションのワーキングでは、人材育成を大きな目的とする。沖縄の学生などに向けて、SDNやOpenFlowの基本的な部分を学ぶセミナーを開いたり、アジアの大学や企業を招いてプレゼンテーションをしてもらうカンファレンスを開催したりする予定である。

 こうしたワーキングに取り組む上で、沖縄オープンラボラトリの参加企業に求めているのは、可能な限り沖縄に足を運んで活動するということだ。「例えば、参加するベンダーが沖縄オープンラボラトリの施設内にIT機器だけおいて、あとはすべて東京から遠隔でやり取りするようなことはお断りしている。強制ではないが、月に1度は沖縄に来てほかのメンバーとコラボレーションすることを参加条件に明示したいと考えている」と伊藤氏は述べる。

 現在、沖縄オープンラボラトリは、沖縄IT津梁パークに入居しているが、うるま市兼箇段に建設中のデータセンターが完成した後は、そちらに移転することが決まっている。それによってIT設備などが充実し、よりワーキングの幅が広がることになるだろう。

 また、沖縄オープンラボラトリは、沖縄県内のITベンダーやベンチャー企業との連携も積極的にとっていきたい構えだ。実際、今年の秋から冬にかけて大規模な主催イベントを実施し、日本全国から数多くの人々を集めることを計画している。その際に沖縄の地元企業が展示を行ったり、県外の企業と交流できる場を作ったりしたいという。

NTT Comにとっての沖縄

 ところで、日本のIT産業における沖縄の位置付けについて、伊藤氏自身はどのように見ているか。伊藤氏は「アジア」をキーワードに挙げる。

「アジアとのつながりが既にあり、エンジニアなどのIT人材を広く集めやすい。もちろん東京でも人集めはできるが、真の意味で人材を集めるというのは、単に観光で訪れるのではなく、長期間その土地に滞在し、研究活動などに打ちこんでもらうということである。そうした点で沖縄の生活環境の良さはメリットが大きい」(伊藤氏)

 ロケーションとしてもアジア諸国に近いので、コラボレーションする相手が日本企業にとどまらず、最初からアジア企業にアプローチすることも可能だという。

 NTT Comにとっても、沖縄は事業戦略において今後重要になってくるという。同社は沖縄から本土やアジアに向けた光海底ケーブルを数本所有しているため、沖縄を拠点に海外との高速なネットワーク通信が可能である。

「NTT Comが進めているWANの仮想化は、日本国内だけではなく、世界中のネットワークを対象にしている。そうした中でさまざまなアプリケーションを試す際に考慮すべきは、地理的な理由によるネットワークの遅延である。この課題に対して沖縄の拠点は大きな役割を持つのだ」(伊藤氏)

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