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» 2013年10月03日 08時15分 UPDATE

Ameba初代プロデューサーが語る “燃焼系”プロマネ論:【第2回】ヒットと失敗の明暗を分ける意外な罠とは? (1/3)

「アメーバピグ」のプロデュース経験を買われ、新規スマホサービスの立ち上げを任されることになりました。しかしまさかの失敗…! そこで学んだことが次なるサービスの大成功へとつながったのです。

[山崎ひとみ(サイバーエージェント),ITmedia]

明暗分かれた「Ameba tappie」と「きいてよ!ミルチョ」

 前回は、新卒2年目でプロデューサーとして携わることになった「アメーバピグ」の立ち上げエピソードについてお話させていただきました。その後も同サービスのプロデューサーを続けていましたが、リリースして1年半後の2010年10月、私はAmeba事業本部のスマートフォンDivという部署に異動しました。

大きく異なる結果となった「Ameba tappie」と「きいてよ!ミルチョ」 大きく異なる結果となった「Ameba tappie」と「きいてよ!ミルチョ」

 そこは、当時普及の兆しを見せていたスマートフォンに対し、新規サービスや事業をいくつも立ち上げていくという部署でした。この異動を契機に、私はAmebaのスマートフォン拡大戦略にのっとって、自分が中心となったもの、マネジャーとしてかかわったものを含め、大小10以上のスマートフォン新規サービスの立ち上げに携わりました。

 中でも最も印象に残っているのが、2011年4月にオープンし、今年8月末をもって完全にサービスを終了したSNSサービス「Ameba tappie(アメーバタッピー)」と、昨年8月末にリリースし、会員100万人を超える規模に成長しようとしているコミュニティサービス「きいてよ!ミルチョ」です。

 この2つは、どちらも私がプロデューサーとして立ち上げに携わったサービスですが、事業として辿った道は明暗がはっきり分かれました。

 今回は、失敗したサービスと成功したサービスを取り上げ、プロジェクトマネジメントの点でどのような差があったのかを振り返ります。

ユーザーニーズに向きあうだけでは弱い

 Ameba tappieは、ユーザーが自分のリアルな50人までの友達とつながり、言いたいことを言い合う相手を選んで自由に発信できるSNSです。2011年4月にサービスインし、リアルグラフを使ったグループコミュニケーションSNSとして約1年間、Amebaとしては初めて、電話番号認証を使った電話帳連携機能や、位置情報の共有機能などを盛り込み開発を進めました。ただ、スケーラビリティの問題がどうしても解決できず、2012年3月をもって開発自体を終了する判断をしました。

出足は快調だったtappieだったが… 出足は快調だったtappieだったが…

 tappieが立ち行かなくなった原因はたくさんあります。

 ひとつ言えるのは、連載第1回で紹介したように、サービスの夢として、「ユーザーが言いたいことを100%言える場所を作る」というコンセプトを掲げて、それをブレなく進めていたということ。ただ、それを具現化したいと思うあまり、完全クローズドのコミュニケーションサービスに仕上げてしまいました

 それが原因で、運営する私たちですら実際にユーザーが何をしているのか分からず、インターネットの重要な特徴である拡散性や閲覧性を担保できなかったのです。また、ネイティブアプリでのサービス提供を行ったため、サイバーエージェントの強みである、リリース後の運用力や改善スピードをユーザーに届けられませんでした。

 目標にブレることなく進めていたつもりだったのに、成功に結び付かなかった原因としては、「ユーザーニーズに向き合い過ぎて、事業としての拡張性に向き合い切れていなかった」ということに尽きる気がします。

 ターゲットとなるユーザーにどんな新しい体験をしてほしいかという「夢」を基に、ユーザーが使いやすく、ハマってくれるサービスに仕上げることは大前提。ただし、それを一事業としてとらえたとき、それだけでは足りないのです。これはWebのコミュニティサービスという領域においての話ですが、ひたすら使いやすいものを提供するだけでは、ただの「ツール」になってしまいます。拡散性や閲覧性を担保してより多くのユーザーにどう使ってもらうのかという戦略を常に頭に入れてサービスを設計する必要があります。

 例えば、「ユーザビリティ」という言葉は、時として「それさえ実現していれば全てうまく行く」と錯覚させるマジックワードにもなりえます。あくまでそれを満たした上で、プロデューサー、事業責任者としての視点を持ってプロジェクトを設計すべきだということに当時は気付きませんでした。

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