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» 2013年11月05日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:富士通が語るビッグデータ関連ビジネスの勘所

富士通が先週、ビッグデータ関連ビジネスの強化策を発表した。その会見で同社が語った同ビジネスの勘所とは――。

[松岡功,ITmedia]

ビッグデータ関連ビジネスは「商談以前」

 富士通が10月28日、ビッグデータに関する製品・サービス群を体系化した「FUJITSU Big Data Initiative」において、ユーザーに最適なビッグデータ活用を提案する10種類のオファリング(課題解決メニュー)を策定し、同日より提供開始すると発表した。

 同社が言うオファリングとは、ビッグデータ活用の提案資材と実装モデルから構成され、同社がこれまで支援した顧客のビッグデータ活用に関する約200件のモデル事例の中から、特にニーズが高い10種類のテーマで策定したものだ。これにより、データ活用を検討中のユーザーは導入効果や実装モデルを具体的にイメージでき、素早くビッグデータ導入のアクションに移ることができるとしている。

 同社は6月24日、ビッグデータに関わる製品・サービス群の体系化と、顧客、協業パートナー、ベンチャー企業への支援体制を整備し、FUJITSU Big Data Initiativeとして発表した。今回はその継続的な取り組みとして、10種類のオファリングの策定やそのデリバリー体制の整備、データ活用のための人材育成向け教育コースの提供やベンチャー企業向け支援プログラムの第2次募集を行った形だ。

wmo001.jpg 会見に臨む富士通の川妻康男 執行役員常務

 今回の発表内容の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは同社の川妻康男 執行役員常務が会見で語ったビッグデータ関連ビジネスのとらえ方に注目したい。

 川妻氏は、FUJITSU Big Data Initiativeを発表して以降の顧客からの反響について、「ビッグデータを活用したいが、具体的な課題が明確になっていないという声が半数以上あった」ことを明らかにし、ビッグデータ関連ビジネスはコンピュータのように予め用途が明確な形で商談が進むケースと違い、「商談以前」のやりとりをどう進めるかが鍵になると語った。

 一方で、具体的な課題を持つ顧客からは、マーケティング分野に活用したいとの声が最も多かったものの、需要予測、故障予測、エネルギーのマネジメントなどに適用したいとの声も目立ったという。こうした顧客の声に対し、川妻氏は「ビッグデータ活用は新たなビジネスの創出やソーシャルイノベーションなど新規分野への適用に向けての先進的な取り組みとの印象があるが、ここにきて既存業務における効率化や精度向上といった課題解決に対する現実解としても認識され始めている」との見方を示した。

ITベンダーにとって本業そのものに

 「商談以前のやりとりをどう進めるか」、一方で「既存業務における効率化や精度向上に向けて」。川妻氏が語ったこの相反するような課題は、考えてみると根っこでつながっている。2つの課題から言えるのは、具体的な課題として対象となる範囲が広いということだ。

 ビッグデータ活用の適用範囲の広さについて、川妻氏は例え話を交えてこう説明した。

 「かつて経理業務をコンピュータでやらせようという動きになったとき、経理部門がきちんと業務をこなしているのになぜコンピュータでやらせるのか、と議論になった。何がよくなるんだと。結局、今は経理業務をコンピュータで行っているのが当たり前になっている。ビッグデータの活用もこれと同じ意味合いだと考えている。やがては製品やサービス、ひいてはさまざまなビジネスの背景に必ずビッグデータの活用があるという世の中になるだろう」

 実際、企業にとっては予算との兼ね合いもあるのでどのような進ちょくを示すかは分からないが、まさに人やモノがどんどんつながり始めた中で、川妻氏の見解には全く同感である。

 とはいえ、同社の顧客の声にもあるように、ビッグデータ関連ビジネスはその多くが現時点で「商談以前」なのも事実。今回、同社が発表したソリューションはこれに対応するものでもあるが、同氏は「ソリューションだけでなく、提案の仕方もさらに踏み込んだ形に変えていかないといけない。その意味では、営業マンもエンジニアも自らを変革していく必要がある」と語った。これは富士通に限らず、ビッグデータ関連ビジネスを展開するITベンダーすべてに当てはまることだろう。

 さらに川妻氏は、ビッグデータ関連ビジネスがそうした「商談以前」から具体的な商談が広がっていく重要な要素として「事例の数」を挙げた。今回のソリューションはそれを強く意識したものでもある。

 川妻氏の話を聞いて改めて感じたのは、ビッグデータ関連ビジネスはITベンダーにとって本業そのものになるということである。言い換えれば、本業にできないITベンダーは衰退していく可能性が高い。まさしくデータが中心になる時代がやってくる。何とも当たり前のことのようだが、そこにはビジネスとして大きな発想の転換が求められるような気がしてならない。

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