Windows 8.1

新OSへの移行を阻むクライアント環境の問題さよならWindows XP、そしてWindows 8.1へ(1/2 ページ)

Windows XPから新しいOSなどへの移行は、システム面だけでなく、オフィスアプリなどクライアント環境も阻害要因となる場合が少なくない。今回はこの点について分析していこう。

» 2013年12月19日 08時00分 公開
[山本雅史,ITmedia]

 前回は、新しいOSへの移行を阻む要因について考察した。今回はクライアント環境の点から移行を阻む問題点について分析してみたい。

 オフィスで使われているPCをWindows XPからWindows 8.1などへ移行する時に問題になるのが、メールのデータだ。メールのデータや個人ファイルに関しては、移行ツールなども提供されている。しかし、個々のPCのデータを手作業で移行していくのは、あまりにも時間がかかる。数千台、数万台規模のPCを移行する大企業なら、システムインテグレータなどが作業をしてくれるだろうし、コストも捻出できる。

 だが、中小企業にとっては新しい端末やアプリケーションの購入でコストがかさみ、移行作業の費用は抑えざるを得ない。Windows XPからWindows 8.1などに移行する際、真新しいPCが社員に渡され、自分で必要なファイルをコピーしたり、古いデータを廃棄したりすることになる。こういったことを考えれば、社員個人が利用するデータは、クラウドやサーバへ移行した方がいい。

メールはどうする?

 Microsoftが行っているPC購入支援キャンペーンでは新しいWindows 8.1端末とOffice 365を購入する時に、端末の購入費用を来期予算へ繰り延べたり、リース金利を0円にしたりする優遇策が用意されている。キーポイントになるのが、Office 365とカップリングになっていることだ。

 Office365は、Microsoftがクラウドで提供しているオフィス アプリケーション群だ。基本メニューは、メールサービスのExchange Online、企業内の共同作業をサポートするSharePoint Online、ユニファイドコミュニケーションのLync Online、WordやExcelなどのOfficeソフトなど。ユーザー数に応じた月額課金で利用できる。

 Exchange Onlineが利用できるため、社内にあるメールサーバを廃止してクラウドサービスに移行できる。クライアントのメールソフトとしては、Outlookを使用できるので、今までOutlookを使っているユーザーにとっては使い勝手が大きく変わるわけではない。

 企業にとってメールは、電話と同じようなコミュニケーションツールなので、メンテナンスやトラブルでダウンすることがビジネスにとって大きな問題となる。こういった重要なコミュニケーションツールを社内で運用しておくよりも、クラウドを利用する方が安定性や管理性などの点を考慮しても大きなメリットになるだろう。

 Office 365などは、コンシューマー向けサービスとして提供されている無料メールやプロバイダのメールサービスに比べると、ビジネスで使用することを前提に設計されていることから、高い安定性と稼働率が実現している。Office365以外に、Google Apps for Businessのメールサービスといったクラウド型のメールサービスがビジネス向けに提供されている。

 こうした企業向けのメールサービスを利用するにしても、今後はクライアント端末にメールを保存しないことが必要だ。今までは、社内でメールサーバを運用している場合、ディスクサイズなどの問題から、ユーザーごとにメールボックスの容量制限を設けていた。このため、ユーザーはOutlookなどのメールソフトにメールを取得し、ローカルのディスクに保存していた。

 しかしクラウド時代となり、ディスクのコストが非常に安くなっているので、メールボックスの容量制限は意味をなさなくなってくる。確かに、幾つかのクラウドメールサービスではメールボックスの容量を制限しているが、安価なコストで容量を増やせたり、元々のメールボックスとしても数十Gバイトの容量が与えられたりしている。また、Office365には訴訟対応のアーカイブ機能などのオプションも用意されている。

 クライアント端末のローカルディスクにメールのデータを保存せず、クラウドのメールボックスをそのまま利用するようになれば、PCの移行も簡単にできるだろう。メールのデータを移行する必要もなくなる。メールをクラウドに移行することで、マルチデバイスからのメールアクセスも簡単にできる。

 社内でメールサーバを運用している場合、セキュリティを考慮して社内のPCからしかメールサーバにアクセスできなくさせている企業は多い。しかし社員の使い勝手を考えれば、スマートフォンや外出先、出張先に持っていたノートPCからメールにアクセスできるようになると非常に便利だ。

 もちろん、全てのメールはクラウド上のメールボックスに保存されているため、社内のデスクトップPCで見る場合とスマートフォンで見る場合では違いは無い。また、メールの検索機能など充実している。特にOffice 365に関しては様々なサービスが提供されているため、改めて紹介してみたい。

MicrosoftのOffice 365はユーザー数によって、小規模企業向け(1〜25人)、中規模企業向け(300人まで)、大規模企業向けが用意されている(Microsoftより)
小規模企業向けのOffice 365は、メール、クラウドストレージ、オンライン会議、最新のOffice(Word、Excelなど)などが月額1030円(年間契約のため1ユーザーあたり1万2360円)で利用できる(同)
Google AppsはGmail、カレンダー、クラウドストレージ、ドキュメントなどの機能をビジネス向けに提供している(Googleより)
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