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» 2014年09月01日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:NECが語るSDN市場のポテンシャル

NECが先週、エンタープライズ市場向けのSDN事業を強化すると発表した。その会見で同社が示したSDN市場のポテンシャルに注目したい。

[松岡功,ITmedia]

ICTシステムにカーナビのような利便性を実現

 NECが8月27日、企業・官公庁やデータセンターといったエンタープライズ市場向けのSDN(Software Defined Networking)事業を強化すると発表した。従来の技術で構築された既存ネットワークシステムをSDN環境へスムーズに移行できる製品やサービス、事業推進体制の拡充を図ったものだ。

発表会見に臨むNECの福田公彦執行役員 発表会見に臨むNECの福田公彦執行役員

 具体的には、NECが先行してきたSDNの中核技術の1つである「OpenFlow」対応製品群に加えて、従来技術のルータやスイッチなどのネットワーク製品群にSDN対応機能を搭載した「SDN Ready」製品や、従来技術のネットワーク環境を活用しながら仮想ネットワークを構築できる「オーバーレイ」方式に対応する製品、さらに運用を自動化するソリューションを拡大。NECの豊富なSDN導入事例を基にしたコンサルティングサービスも提供開始する。

 また、従来のネットワークSEに加え、新たに100人のSDN対応SEを専任者として育成するとともに、営業職向けのSDN教育を拡大し、現在の800人から2015年に販売パートナーを含めて2000人の営業体制への強化を図る構えだ。

 こうした強化策のさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではNECが会見で示した「SDNが求められる背景」「SDN活用に向けた顧客ニーズ」「SDN市場のポテンシャル」の3点に注目したい。

 まず、SDNが求められる背景について、同社の福田公彦執行役員は「ICTシステムの巨大化や複雑化が進むにつれ、システムを素早くシンプルに構築・変更するのに適した技術が求められるようになってきた」と説明。つまりは「ICTシステムもカーナビのような利便性を実現できないか」というニーズが高まってきたという。

 「カーナビのような」とはどういうことか。福田氏によると、これまでのネットワーク環境は、車のドライバーからすると、各交差点などに設置されている「行き先表示板」を見ながら運転しているようなものだという。すなわち、行き先表示板だけでは目的地までの全体経路が分からず、渋滞も予測できず、臨機応変にルート変更もできないため、いつ目的地に着くのか分からないというわけだ。

 これに対し、SDN環境はまさしくカーナビのような利便性を実現できるという。すなわち、目的地を入力するだけで、あらかじめ渋滞や工事を避けたルートに導いたり、状況変化に応じてリアルタイムにルートを変更してくれるというわけだ。(図1参照)

図1 SDNが求められる背景(出典:NECの資料) 図1 SDNが求められる背景(出典:NECの資料)

 この比喩は非常に分かりやすい。SDNの説明はついテクニカルな話になりがちだが、このように広く一般に分かる形で説明することが、エンタープライズ市場にSDNを普及させる第一歩なのではないかと感じた。

2017年にはSDNがネットワーク市場の3割に

 次に、SDN活用に向けた顧客ニーズについて、福田氏はこれまでの商談から、「ベンダーロックインは避けたい」「既存のネットワーク投資を無駄にしたくない」「ネットワーク更改のタイミングは数年先なので、まずは部分導入で効果を見たい」といった要望が高まっているという。

 従って、「オープンで安心して利用できる技術であること」「既存の技術との高い親和性を持つこと」「最適なタイミングで導入できること」が、SDN活用に向けた真の顧客ニーズだと同氏は強調する。今回の事業強化は、まさしくこうした顧客ニーズを反映したものである。

 NECはとくに今回の事業強化の背景として、「SDNの導入にあたっては、今までのSDN対応製品が既存ネットワークシステムからの段階的な移行に適していなかったことから、既存ネットワークシステムの一括更新に伴う投資負担やスムーズな移行への不安といった課題があった」と発表リリースに明記している。これは取りも直さず、SDN市場そのものの課題といえる。

 最後に、SDN市場のポテンシャルについて、福田氏は各種市場調査を基にNECで算出したSDNの世界市場規模として、2013年で1300億円だったのが、2017年には4兆7000億円にまで成長するとの推定を明らかにした。これらの数字はSDN関連の製品・サービスとシステムインテグレーション(SI)を合わせたものだ。そして、2017年の段階でネットワーク市場全体の約3割がSDN化されるとの予測を示した。(図2参照)

図2 SDNの世界市場規模の推移(出典:NECの資料) 図2 SDNの世界市場規模の推移(出典:NECの資料)

 同氏によると、NECはこの中で、2013年で約200億円だったSDN事業を2015年には500億円規模に拡大させたい構えだ。

 独自に推定した市場規模の予測や自社の事業規模の計画を明確に示したのは、SDNを推進するベンダーの中でもNECだけだ。それだけ同社はSDN市場のリーディング企業であるとの強い自負があるのだろう。

 2017年の段階でネットワーク市場全体の約3割がSDN化されるとの予測を示した福田氏に、会見の質疑応答で「その後、SDN化率はさらに高まっていくのか。それとも3割程度で落ち着くのか」と聞いてみた。「今後はSDNが主流になる」とよく言われるが、どれくらいの期間で何割くらいになるのか、どこで聞いても明確な回答を得たことがなかったからだ。筆者の質問に対し、同氏はこう答えた。

 「それはわれわれにも分からないが、SDNを活用するメリットは明確であり、既存の環境からSDN化へスムーズに移行できる製品やサービスも整ってきたので、比率はさらに高まっていくと想定している」

 主流になるのは間違いないが、どれくらいの期間がかかるかが読みづらいところか。そうした市場の読みの難しさはありそうだが、果たして今回のNECの発表がSDNの普及を牽引する強力なドライバーになっていくか、大いに注目しておきたい。

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