SDNを企業分野へ拡大、NECが事業強化で2100人体制に

従来製品をSDN対応させた「SDN Ready」機や「オーバレイ」方式対応ソフトを新たに展開し、SDN担当技術・営業者も2倍以上に増やす。

» 2014年08月27日 15時21分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECは8月27日、SDN(Software Defined Networking)事業を強化すると発表した。既存製品をSDNに対応させた「SDN Ready」モデルや、レイヤ2トンネリングでSDNに対応する「オーバーレイ」化のソフトウェア新製品などを投入し、SDN担当者も大幅に増員する。

 SDN Readyモデルは、まずWANアクセスルータの「UNIVERGE IXシリーズ」と企業向けLANスイッチの「UNIVERGE QXシリーズ」を発売。両モデルともSDNコントローラを導入するだけでSDN環境を構築できる。同社によれば、IXシリーズではSDNによってアプリケーションごとにアクセス回線を使い分けて効率的に利用できるようになるという。QXシリーズでは企業の計画に応じたSDNの展開を容易にするとしている。

 QXシリーズは同日から3製品を発売し、販売価格は178万円(税別)から。今後はより低価格な機種のSDN Readyモデルも順次展開する。IXシリーズは9月までに発売する予定で、販売価格は調整中という。

SDN ReadyのUNIVERGE QXシリーズ

 オーバーレイ化ソフトウェアの「UNIVERGE PF6700」は、OpenStackやKVNを利用しているデータセンター向けに提供。既存のネットワーク資産を生かしながらSDN環境を実現するとし、仮想スイッチに設定する「オーバーレイエージェント」、オーバーレイのネットワークと外部ネットワークを中継する「オーバーレイゲートウェイ」、あて先不明のデータを処理する「オーバーレイリフレクター」、オーバーレイネットワークを制御する「オーバーレイコントローラ」で構成される。9月末に発売し、販売価格は最小構成で505万円(同)から。

 また、従来環境とSDN環境を統合管理する「ネットワーク運用自動化ソリューション」のソフトウェアと、SDN環境への移行を支援する「NEC SDNコンサルティングサービス」も提供する。同サービスでは(1)ネットワーク戦略の策定支援、(2)現状/課題分析支援、(3)実施ステップ策定の支援、(4)RFP案の作成支援――のメニューを用意する。ネットワーク運用自動化ソリューションの販売価格は280万円から、コンサルティングサービスは個別見積りとなる。

 事業の状況について執行役員の福田公彦氏は、「既に200システム以上が導入され、予想以上の効果が出ている」と述べ、事業規模を現在の年間200億円から2015年に500億円に拡大させると表明した。同社の推計によると、SDN市場の規模は2013年度の1300億円から2017年には4兆7000億円に拡大するといい、ネットワーク機器市場全体の3割をSDN製品が占めるようになるとみている。

NECの主要なSDN導入先。データセンターだけでなく様々な業種で適用されている

 SDNを導入した企業や組織からは、主に新規の事業やサービスを展開する際に必要なネットワークの構築期間の大幅な短縮や人的な負担の軽減といったメリットが挙げられているという。ソリューションプラットフォーム統括本部 本部長代理の北風二郎氏は、「SDNがテスト段階から本格利用する時期に来ている。いつ、どこから着手すべきか、という相談が増えている」と話す。

 このため、SDN担当人員の体制をグローバルで拡大させる。技術人員を100人増員するほか、営業人員では2015年までに販売パートナーを含めて2000人体制とする。これにより、SDN担当者は現在の800人から2100人に大幅増員となる。

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