XP継続は是か非か? 対立するコンサルとSIerのどっちを信用する?萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/3 ページ)

コンサルタントの見解に対して、顧客企業から「SIerが示す内容とは違うので信用できない」と言われることがある。見解が間違いなら正すべきだが、逆に「SIerの目論見にだまされているのでは?」と感じることも少なくないのだ。そのエピソードを紹介したい。

» 2014年11月14日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 先日のことだ。コンサルタント先の経営者から、「萩原さんが提示した内容とは全く違うものがSIerから提出された。個人のコンサルタントは信用できない」といわれた。それが本当なら筆者は、素直に「申し訳ございません」と謝る。しかし、SIerが提示するものがいつも正しいとは思えない。この手の話は年に何度かある。

 今回は九州地方にある中規模な製造業での出来事を紹介したい。この会社のシステムに関する作業は、国内でも有名なSIer(仮にA社と呼ぶ)が牛耳っていた。そこに筆者がコンサルタントとして入ることになった。

 A社が日頃からきちんと対応しているのであれば、筆者の作業はピンポイントに絞ったものだけで済むはずだった。ところが、システム部の担当者から渡された資料を見て筆者は愕然としたのだ。

XP継続利用でOK?

 例えば、筆者はWindows XPの移行を可能な限り早くすべきだと提案した。しかし、A社は「それは理想論だ。コンサルタントの言う事を聞く必要はない」と断言し、ある資料をシステム部の担当者に見せたのだという。

 この資料には、同じ製造業でまだWindows XPの移行ができていないという企業名が多数記載されていた。A社の営業マンはシステム部の担当者に、「だから、慌てることはない。それよりも先日弊社が提案した新しいサーバの導入を考えた方がいい」と言ったそうだ。

 本当にそうなのか。万一これでトラブルが起きれば、A社は責任をとるのだろうか。筆者はA社のシステムエンジニアに直接聞いてみた。すると、「どう判断され、決定するかはお客様の勝手。私たちはその方向性に沿ったベストな提案をしているに過ぎない」という。これでは「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というのを推奨しているのと同じではないか。

 とても無責任であり、A社が提示した資料もひどいものだった。その後筆者が調べてみると、確かに資料に記載された企業ではWindows XPが使われていたものの、ほとんどが移行途中にある企業ばかりだった。ある企業は一部の部門で移行が間に合わずPC全体の7%がXPだったが、A社はそうしたケースを全てカウントして「XPを使い続ける企業がたくさんあるから心配ない」と説明していたのだ。

 確かにXPを使い続ける企業はある。しかし、実態はどうか。A社の言葉が嘘とは言えないが、道義的にはやや問題のある商売のやり方だと思わずにはいられなかった。

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