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» 2015年01月08日 08時00分 UPDATE

2015年 新春インタビュー特集:「Do, Big, Different」 DBトップベンダーが示すクラウドの真の価値――日本オラクル・杉原社長

「ナンバーワンのクラウド企業に/クラウドと言えばオラクルと言われるように」──。データベースのトップベンダーである同社が、クラウドで提供できる真の価値とは何か。日本オラクルの杉原博茂社長に聞いた。

[岩城俊介,ITmedia]
photo 日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

―― 2014年は日本オラクルにとって、そして4月に日本オラクルの社長に就任されたご自身にとってどのような年でしたか。

杉原氏 あっという間の1年で、時間がいくらあっても足りないという印象でした。日本オラクルとしては米国本社のサポートもあり「クラウド元年」としてよいスタートを切れたと思っています。

 2014年4月にOracle本社から指名されて日本オラクルの社長に就任しました。この9カ月でたくさんのお客様やパートナーの皆様、そして約500名との社員と直接会ってコミュニケーションしてきました。素晴らしい人と技術に出会い、多くのインスピレーションを受けました。

── その中で特に成果を上げたこと、苦戦したことを教えてください

杉原氏 「No.1 Cloud Company(ナンバーワンのクラウド企業に)」に向けて、日本オラクル全体が動き始めたことは大変大きな成果でした。

 2014年4月から継続的に、日本オラクルが2020年までの目標として掲げる「VISION 2020」の一貫として、ナンバーワンのクラウド企業を目指す分かりやすいメッセージを社内外ともに発信してきました。2014年は「クラウド元年」でした。オラクルはクラウドに大きくシフトしていく。今までの日本オラクルの考え方、成功体験を、より進化させていくというメッセージで、マインドセットをどんどん変えていこうと取り組みました。就任からもうすぐ1年になりますが、社員の意識も変わりはじめ、またお客様からは「Oracle Cloud」を知りたいという声をたくさん聞くようになりました。

 このメッセージは、ビジネスとして「一番になる」や「何を実行する」などは当然ですが、何より「もっとも賞賛される会社にしたい」という気持ちで発信しました。US本社やエグゼクティブも非常に感銘を受けてくれて、サポートすると言ってくれたことも大きいと思います。

 現在の課題として挙げるとすると、2014年末時点でオラクルのパブリッククラウドとして日本で提供できるのは、サービス向け(Service Cloud)、マーケティング向け(Marketing Cloud)、人材マネジメント向け(HCM Cloud)などのSaaSですが、Oracle OpenWorld SF 2014で発表した「PaaSをいち早く日本でも提供」することです。お客様からもオラクルのPaaSを検討したい、日本ではいつ使えるようになるのかなどのご要望を多くいただいています。グローバルで発表されたもの、提供開始されたものを、「迅速に日本でも展開できるような体制をつくる」ことが、日本オラクルの今後の成長に大きく影響してくると考えています。日本オラクルの社員にはそのスピード感を今後も期待しています。

── 2015年5月期第2四半期決算(2014年12月19日発表)は、過去最高益でした。

杉原氏 これは、難しいと思われていたコアビジネス──データベースとミドルウェアの分野が牽引しました。

 日本オラクルにおいてコアな、最大の強みを持つビジネスをグッと成長できましたが、その半面、オラクルのパートナー様、お客様、社員も含めて、一体どんなクラウドのサービスメニューを展開していくのか、「オラクルがクラウドをやる」ことへの切望感や期待感がひしひしと伝わってきています。

── PaaSをいつ日本でやるのか? ということですね。

杉原氏 出そうと思えば早く出せると思います。ただ、米国本社のものをそのまま持ってくるのではなく、日本の今のお客様がどういったメニュー、サポートを望んでいるか、最初の導入から、その後のメンテナンスまで含めて、どういうクラウドサービスが提供できるかという部分を、しっかり、じっくり見極めて、満を持して提供開始できればと考えております。当然、早ければ早いほどいいのですが「日本市場に受け入れられるしっかりとしたものを出したい」のが本音です。

 日本の市場はやはり特殊です。日本以外ではすぐにSaaSへ行きますが、日本ではPaaSを経てSaaSへ行きます。その前にIaaSがありますね。日本のビジネスの構造が、まだ多層レイヤーといいますか、レイヤーがまだ深いので、システムインテグレータさんがいて、いろいろなレイヤーが存在する中でやっている。かたや日本以外では、自前でやりたいというお客様が自分たちの力でやるのでSaaSがどんどん浸透するんですね。

 IaaSは最終的にはPaaSに統合されていくと考えますが、それにはあと2、3年はかかるとみています。日本の経済構造は、あるところまで確実にし、確かなことを確認してから進める。だから日本ではクオリティや安定性、ビジネスの継続性などが強みになる。でも、弱みもある。スピードと革新性においては課題が残ります。

 日本のグローバル企業においても「海外でやったことがうまくいったら、日本でやろう」というのが多いです。日本発がない。でも、業種、業界、業態によっては今後どうなっていくか、そんな課題も認識しているはずです。我々オラクルとしては、この変革のための認識を啓もうしていきながら、なおかつ海外との競争の勝ちうる日本の企業に対して、どういった形でサービスを提供していくかというのが重要と考えます。

── 改めて、データベースのトップベンダーである御社がクラウドで提供できる価値とは。

杉原氏 どこにたどり着くかを考えてみて下さい。すべてが「データベース」にたどり着くのです。ビッグデータ、IoT、いろいろなクラウドやセンサー技術が発達しています。それはすべてデータの集まりです。つまり、データベースに集約されてくるということになります。

 もう1つ、我々はJavaを持っています。Javaを介してIoTですべてのモノとつながる。ゲーム機、家電などの身近なものから、今後の大きな発展が期待される自動運転自動車などもそうです。そういったものがネットワークを介して、いろいろなデータベースにアクセスしながら情報を共有、もしくはやりとりする。そこがコアなところですね。ICT、ITという言葉がありますが、Informationとはつまり「データ」です。そのデータがどこにあるか、それはオラクルにあるわけです。

 ですから、そこが、Database Cloud Servicesとか、Java Cloudとか、基盤のサービスといったところも含めて、アプリケーションレイヤーから、OSのレイヤーまで持っているという意味で、オラクルの使命として、やるべきことが極めてたくさんあると考えています。それを有しているのがオラクルの強みです。

── 国内ベンダーと連携を強化する考えは。

杉原氏 ありますね。まずオラクルとしては、製品を開発して、社会に届ける──。その形態がデータセンター向けなのか、もしくはクラウドの形態で提供するのか、提供の仕方が大きく変わりつつあります。サービスも同じです。グローバルに包括的に提供していかなければ困難になりつつあります。これは日本の市場においてもです。

 国内の大手メーカー系で、かつシステムインテグレーションもすべてなさっているベンダーさんが今、大きな競争にさらされているのは、これまでとまったく違う世界から来た方々です。ビジネスモデル、収益の構想が全然違っていた企業が、例えばクラウドという新しいビジネスモデルによって競合相手になります。前述した国内のベンダーさんも我々と同じ陣営といえます。グローバルに包括的に提供できる、していくという意味では、お互いのニーズを満たすことができると考えています。

── 2015年、さらに2020年に向けたビジョンとは。

photo  

杉原氏 「Do, Big, Different」の概念を、会社全体かつ社員各々、そしてお客様やパートナー様と一緒に実現し、No.1 Cloud Companyに近づくことです。

 変化を恐れず、新しいことに積極的にチャレンジして、社員各々がオラクルで働いていることに誇りを持てるような会社にしていきたい。そうすれば、必然的に日本のお客様のビジネスに貢献できる革新的な会社であり続けることができるはずです。

── 「Do, Big, Different」が示す真意とは。

杉原氏 まず「我々から変わります」。そうでないと、パートナー様やお客様を変えることができません。

 データベース、もしくは我々が今までやっているITコンピューティング技術の提供の仕方は、これから「ものすごくドラスティックに」変わっていきます。「デジタル・ディスラプション(デジタルによって、創造的破壊を起こすこと)」などと呼ばれることもあります。今までの既得権益や既存のビジネスモデルが、新しいものに取って代わってしまう、それがデジタルによってもたらされる。今まで固定概念で考えていたことが、180度覆されるかもしれません。

 「Do, Big, Different」は分かりやすくいうと、「去年より、半年前より、3カ月前より、昨日よりも──全然違うことにチャレンジしてやっていこう、大きく変革しよう」という発想のことです。Change or die(変革か、死か)だとちょっと過激ですので、私は、今あるポテンシャルを生かした皆様の能力、もしくはお客様が持っている資産を生かして「あなたも、私もみんな、全然違うことをやれば、変われるんですよ」とポジティブな言葉で示しました。

 例えば、情シス部門の方は経営者に対して「今年は何がDo, Big, Differentなのですか?」と問いてみてはいかがでしょう。それも1つのDo, Big, Different運動です。具体的には、クラウドを導入するにしても、昔は──昔といっても5年前程度のことですが、垂直統合型はダメだ、ダメだと言っていましたね。ところが今は、弊社の「Exadata」1つにとっても、1台で何十台、何百台あるIAサーバを統合できます。それでいて低コストに、かつ管理しやすくなる。結果として経営のスピードがすごく上がる。そういったものが本当の意味でITが経営に対して寄与できるものです。

 「Do, Big, Different運動」どんどんやっていきましょう。「いかに分かりやすくアピールするか」それが大切なのではと思いますね。分かりやすく、シンプルなところからやっていく。なぜなら、最終的にやらねばならないことはすごく複雑で、難しいことですから。

(撮影:市原達也)

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