企業のマイナンバー対応が急がれる。中でも遅れがちな中小企業はどうするか。マイナンバーの第一人者 富士通総研経済研究所の榎並氏とデジタルアーツが、想定業務と情報漏えいのリスクから考える、中小企業のマイナンバー対策案を説明した。
2016年1月から導入される「マイナンバー」対応に、自社は間に合うのか、そもそも何をすればいいのか。特に中堅中小企業が頭を悩ませている。
2015年10月より国民へマイナンバーが通知され、2016年1月より利用が始まる。自治体および“すべての企業、団体”は税・社会保障関係の届出、申請や法定調書などの手続きにおいてマイナンバー対応を行う必要がある。大企業はもとより、全国385万社におよぶ中小企業や団体ももちろん対象。ここが「本当に大丈夫? 間に合う? そもそもご存じですか?」と危惧される部分だ。マイナンバーとはつまり何か、具体的に何を実施すべきか、詳細はマイナンバーの全ぼうをまとめた以下のバックナンバーを参照いただきたい。
日本のマイナンバー制度は、米国の社会保障番号(Social Security Number)の事例に関する議論などを考慮し、「特定個人情報」の取り扱いが厳格に規定されている。民間企業には、当面の利用範囲を「源泉徴収票や社会保障の手続き書類に従業員などの個人番号を記載して行政機関などに提出する事務」のみとし、「上記の事務に必要な場合に限り、マイナンバーの提供を求めることができ、その際は利用目的を明示。またマイナンバーの収集時は厳格な本人確認を行う」こと、そして特定個人情報の漏えい防止のために「必要かつ適切な安全管理処置を講じる」ことが特定個人情報の取り扱いルールとして厳格に定められている。
マイナンバーに関する業務は保険や税金に関わるものが中心で、主に総務部門、人事部や経理部が実施する。総務担当は社員研修・教育・通知、安全管理処置の実施を、人事部はマイナンバーを用いた源泉徴収、特別徴収、保険料の支払い、その他届出申請事務など、経理部は取引先個人のマイナンバーの取り扱い部門として法定調書の提出など。このほか企業年金法によって規定された事業主や健康保険組合を設立している場合、法定調書関係で個人取引先が多い営業担当なども含まれる。
前述した社会保障関係に対し、所得税については“2016年12月”の年末調整より実施する流れとなる。こちらは社員本人だけでなく、配偶者や扶養親族についてもマイナンバーを告知してもらう必要が出てくる。もう1つ、住民税については翌年課税のため“2017年1月”の給与支払い報告書の提出からマイナンバーを使う。同じく従業員の異動に関する事務手続きでも2017年1月より開始することになる
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