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» 2015年04月17日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第10回 オープン系なのに「相性問題」、なぜ起こる?

なぜ、ITインフラに相性問題が発生するのか。「オープン系だから大丈夫でしょ?」そう思うかもしれないが、コンバージド・インフラストラクチャが主流でない日本のITインフラの現場には落とし穴がある……ようだ。

[小川大地(日本HP),ITmedia]

なぜ、ITインフラに相性が発生するのか?

photo 相性問題は、なぜ発生するのでしょう?

 前回、レストランでのオーダーを例に挙げ、コンバージド・インフラストラクチャは“コース料理”であり、アラカルトで注文する場合と比べて食べ合わせが考慮されていることをお伝えしました。

 このときの食べ合わせが、ITにおける“相性問題”に相当するわけです。でも、「メインフレームじゃないんだし、オープン系になんて相性なんてないのでは?」と思われた方はいらっしゃるかもしれません。

 どんなに高性能でも、機器相性で頻繁にトラブルが発生していては意味がありません。ここはシステムの安定稼働のキーです。背景を考えてみましょう。

 2015年現在のオープン系の主流であるx86は、IA(Intel Architecture)などと呼ばれ、プロセッサからPCIスロットの形状に至るまで完全に標準化・規格化されています。ストレージにアクセスする際もファイバチャネル(FC)やiSCSI、SAS、NFSなど規格化されたプロトコルを用いますし、定められた規格に準拠して使うのであれば、相性問題が発生することはほとんどないはずです。

 では、相性問題はいつ発生するのでしょう。製品選定を思い出してください。○×表などを用いて性能や機能、柔軟性などを比較しますね。決められた予算内でよりよいものを手に入れたいところですので、次のようなポイントを決め手にするのではないでしょうか。

  • 他メーカーより高性能
  • 他メーカーより多機能
  • 他メーカーより便利

“独自技術”の落とし穴

 『私どもが新たに開発した○○テクノロジーにより、××××が優れています』といった、メーカーがよいと思って研究開発した技術があります。実はこれこそが相性問題の原因となります。

 考えてみてください。そもそも、標準化されている規格内ではメーカー間で大きな差は出ないはずなのに、なぜ他メーカーより性能がよく、多機能になるのでしょう。そう、規格化された部分を独自に拡張して、他メーカーに差をつけているのです。

 “独自技術”は業界団体が策定した標準規格を逸脱しています。だからこそ、他メーカーより魅力的であり、性能もよくなるのですが、裏を返せば標準化、規格化のメリットである“互換性”が失われます。

 例えば、あるネットワークスイッチの独自技術は、同社のスイッチやサーバであればそのメーカー側で対応が行われていますので、正常に動作し、その効果を発揮するでしょう。しかし、他社のスイッチやサーバでその技術が使われると、効果を発揮しないどころか、その会社が別途開発した類似技術とコンフリクトを起こして正常動作しないことがあり得ます。これこそが機器相性であり、システムの安定稼働を揺るがすのです。

 もちろん、接続先のメーカーがその独自技術に対応すれば、相性問題は一転してメリットに変わります。しかしながら、そのためにはそのメーカーに開発・技術仕様の一部を開示する必要があります。多額の投資をして実現した新技術はもちろん企業秘密にしておきたいところですので、どうしても躊躇してしまいます。また、開示について比較的オープンであっても、かつての「ブルーレイ陣営・HD DVD陣営」のように、テクノロジーには規格競争もありますので、なかなか改善しません。

photo 独自技術はピースが合いにくい

 ネットワークの世界では「Interoperability」(インターオペラビリティ)という言葉があります。相互運用性/他メーカー、他ブランドの製品同士を相互接続しても、正しく動くようにするといった意味になります。つまり、こういった言葉があるということは、実際に正しく動かないケースが多々あるということです。

小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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