日本のITインフラのガラパゴスっぽい部分の1つに「手組み主義」があります。欧米とは何が違うか、「syncは3回」の時代を振り返りながら「手組み vs. ツール論争」の行方を探ります。
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以前、自分の体験談として「ライブマイグレーション申請書の話」を取り上げました。いかにも日本的な話題ですが、日本のITにはもっと前より指摘されているネタがあります。お客様の今にピッタリなシステムを実現するための「手組み(スクラッチ)」の多用です。
ITインフラはハードウェアが介在することもあり、アプリ開発と比べるとプロダクト志向の傾向があります。しかし、それでも「手組み vs. ツール論争」は存在するものです。
2000年前半、私はストレージ製品のR&D部門におりました。当時担当していたのはデータベース(DBMS)のバックアップやディザスタリカバリ(DR)の方法論確立です。
バックアップを例に挙げると次のようなものでした。
各ステップにおいて、DBMS・OS・クラスタウェア・ストレージ装置など操作対象が多岐に渡ります。バックアップは毎日行うものですので自動化が必須ですが、当時これらの製品間に連携機能やAPIはほとんどなく、設計構築を担うSIベンダーはジョブスケジューラーの力を借りつつ組み上げていました。
これは言葉どおり、手組み・スクラッチの世界です。「このコマンド、成功しても失敗しても戻り値が0なんですけど!」と激怒されたことも記憶に残っています。そういえば「syncは3回」なんてジンクスもありました。
UNIXが主流だったこともありますが、手順を含めたスクラッチ開発と保守費用など、当時バックアップシステムの構築相場は1000万〜3000万円、ディザスタリカバリになると“億”を超えることもザラだったと聞いています。
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