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» 2015年11月10日 13時09分 UPDATE

イベント帰りの混雑、AI活用のレコメンドで緩和へ シンガポールで実証実験

イベント帰りの混雑、IT技術を使って緩和へ――。富士通研究所が、人工知能を使った精度の高いレコメンドで、交通や人の混雑を緩和する実証実験をシンガポールで開始する。

[ITmedia]

 うんざりするイベント帰りの混雑、ITを使って緩和へ――。富士通研究所がシンガポールで、人や交通の混雑をITを使って緩和する実証実験を開始した。

 この実証実験は、帰宅までの混雑が予想されるイベントの後に、その人にあった最適な行動や過ごし方をスマートフォンのアプリを通じて提案するというもの。提案を受け入れて交通手段を変更したり、現地で時間を過ごした人には、交通料金の割引やクーポンなどのインセンティブを提供する。

 各国の都市部では、人や交通機関の混雑を解消するために道路の拡張や鉄道増便などの対策を行っている。その一方で、交通料金の割引や飲食店のクーポンで帰宅時刻をシフトさせたり、交通手段を変えてもらうといった、多大なコストをかけずに混雑緩和を実現する方法にも注目が集まっているが、これまでこうしたレコメンドについては、喜んで行動を変えてもらえるような具体的な提案内容や提案のための指標が明確になっていなかった。

 今回の実験は、富士通のAI「Zinrai」の機械学習や予測・最適化などの技術を用いて数万人を対象に実施する。効果的な提案をするための指標を確立するために、人にインセンティブを織り交ぜた行動を提案した際の受入れやすさを、満足度と行動誘導項から算出する。

Photo 混雑緩和につながる行動を提案

 例えば、「満足度」では、出発までの待ち時間が長くなるほど満足度が下がっていく傾向を数式化し、アンケートを実施することで数式の変数を調整する。また、クーポンなどを使った「行動誘導項」では、受領した際の満足度の変化を数式化する。インセンティブが気分によって変わる可能性が高いことにも考慮し、行動提案後の実際の行動をフィードバックして学習を繰り返す。

 こうした作業を繰り返すことで、提案として受け入れやすい行動を複数抽出し、人々が受け入れ可能でありながら混雑緩和につながる行動を見つけ、スマートフォンアプリを通じて提案する。

Photo 行動誘導モデル

 今回、富士通研究所では、受け入れやすい行動の事前検証として、シンガポールのスポーツイベントの来場者500人を対象にアンケートを実施。その結果、混雑状況の推移予測を正確に通知することで、51%の人々がすぐに帰宅するよりも商業施設で時間を費やすと回答し、400円相当のクーポンを提供すると73%、900円のクーポンを提供すると91%の人々が商業施設への立ち寄りを選ぶと回答したことが分かった。

 このアンケート結果に基づいて富士通研究所がシミュレーションしたところ、施設を利用する1万人のうち約40%がクーポンの提供で行動を変えると仮定した場合、混雑を30%解消でき、さらに商業施設に40%の人々が誘導されることも分かった。

 富士通研究所では、2017年12月31日まで実証実験を行う予定で、実験結果の活用や技術改良を進めながら、2016年3月までに実用化を目指す。実用化の際は、富士通の位置情報活用クラウドサービス「SPATIOWL」への搭載を想定している。

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