いざ古い物理サーバや仮想化基盤からDocker環境に移行しようとすると、実に“根が深い”さまざまな課題に直面することになるでしょう。Dockerへの移行について知っておくべき必要最低限のポイントを解説します。
前回と前々回までは、既存のDocker環境から別のDocker環境へのコンテナのバックアップ/リストアや、Dockerのプラグインを使ってスナップショットを取得するなど、既存のDockerイメージやデータを別のDocker環境に移植・コピーする方法について紹介しました。
しかし現在、欧米や日本の多くの企業は、古い物理サーバや仮想化基盤など、いわゆる「非Docker環境」で業務が稼働していることがほとんどです。さらなる業務効率化を求め、いずれは非Docker環境からDocker環境へ移行させることになるでしょう。古いシステムからの移行は、非常に根の深い話ですので、本来ならば移行に関する高度な技術コンサルティングサービスが必要になりますが、本連載をご覧のDocker塾塾生の皆さんとしては、Docker環境への移行に関する基本的な考え方や手順をぜひ身につけておきたいものです。今回は、Dockerへの移行に関して知っておくべき必要最低限の内容についてご紹介します。
2016年現在、日本ではほとんどのIT基盤の本番システムが物理サーバ基盤や、ハイパーバイザ型の仮想化基盤といった非Docker環境で稼働しています。しかし、古い物理サーバや仮想化基盤で稼働している古い資産を今後どうするかという課題があります。
IT部門においてシステム更改は、非常に頭の痛い問題です。現在の物理サーバ基盤や既存のソフトウェア環境(データベース、アプリケーションサーバ、Webサーバ、内製ソフトやスクリプトなど)を一新し、新しいシステムでスムーズに稼働させる必要があります。このため、新しい物理サーバ基盤の購入に加えて、新システムをより効率的に稼働できるように新しいソフトウェアを調達し、新しい仕組みを開発、構築しなければなりません。
さらに新システムに移行すると、現場の運用手順も大きく異なることがほとんどですので、新しい運用管理の手順にも慣れる必要があります。そのような手間のかかるシステム更改をできるだけ省力化、簡素化するには、どうすればよいのでしょうか。非常に根が深い話なので、あまり話を単純化できませんが、Dockerに限らず欧米や日本のIT部門で実施されているシステム更改の一般的な方法は、おおむね以下の通りです。
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