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» 2016年01月20日 10時00分 UPDATE

Computer Weekly:Disneyの協賛で実現した、『Star Wars』コーディング教育の成果

『Star Wars』のキャラクターを使ったゲーム作りを通してコーディングを学ぶことができるチュートリアルが公開されている。子どもたちはこのチュートリアルから多くのことを学んでいるという。

[Clare McDonald,Computer Weekly]

 米国の非営利団体「Code.org」は、若年層にテクノロジーとコーディングを広めるキャンペーンの一環として、同団体が運営するオンライン教育サービス「Hour of Code」で映画『Star Wars』をテーマとしたチュートリアルを公開した。映画の配給会社である米The Walt Disney Company(以下Disney)がCode.orgの協賛企業となっていることから、これが実現した。Hour of Codeは、学校教育カリキュラムへのコーディング導入を目的としている。

 この施策は、2015年12月に「コンピュータサイエンスエデュケーションウイーク」キャンペーンの一環として実施された。子どもたちは同月に全世界で公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(原題:Star Wars: The Force Awakens)のキャラクターを使ったゲーム作りを通してプログラミングを学ぶことができる。

 英国では2014年9月から、コーディングが全国的に義務教育に導入された。英国政府代表としてこの施策の責任者を務めるアビド・ラリザデ・デュガン氏は、Hour of Codeのこのキャンペーンを、各学校と英国政府が共同で進めている取り組みを後押しするものと捉え、IT業界の職業に対して一部の人々が抱いている誤解を払拭(ふっしょく)する機会となることを期待している。

 「コーディングを義務教育に導入する施策に対して、現場の先生方や教育機関の関係者からは『カリキュラムの変化自体は素晴らしいことだが、教師の立場では、その変化を前向きに捉えることができない』という反応が多い。コーディングスキルを(子どもに教えられるほど)十分身に付けたと感じることができないために、コーディングを教えるのは恥ずかしいと考える先生がまだまだ多い」と同氏は説明する。

 「こんな先生方に認識を改めてもらうための対策をどうにかして実施したい」

 前述のチュートリアルは、他の人と共有したり自分でプレイしたりできるゲームのコードを、子どもたちが自分で書くことを支援する。このゲームを通して、対話したり仲間と助け合ったりする体験ができる。

ヒロインの登場

 ゲームに登場するキャラクターは、R2-D2、C-3PO、BB-8などのドロイドと新しいヒロインのレイ、そしてレイア姫だ。

 2014年、Hour of CodeはDisneyの映画『アナと雪の女王』(原題:Frozen)のキャラクターを使ったチュートリアルを公開した。これを完了したユーザーは累計で1300万以上を記録した。Code.orgが公開しているチュートリアル全体では、これまでに180以上の国の1億人以上の生徒(訳注)が再生している。

訳注:原文は「students」。日本には児童(小学生)、生徒(中・高校生)の区分があるが、ここでは「生徒」で総称する。

 「2014年は『アナと雪の女王』のキャラクター、アナとエルザを使った。このチュートリアルは人気が高く、特に女の子からの人気を集めた。このとき、女の子もプログラミングに夢中になる子が多いこと、コーディングは男の子だけではなくて女の子にも向いていることが分かった」とデュガン氏は話す。

 「2015年に採用した『Star Wars』は女性が主人公の作品だ。今回の狙いもまた、女の子も男の子もとにかくコーディングを試してみてほしいということだ。これまで、コンピュータサイエンスは男性が優勢な分野だと考えられてきた。だが、強いヒロインが登場したことは素晴らしいメッセージであり、われわれが今後広めていきたい多様性の表れだ」

 このチュートリアルを受講すると、男の子たちはコーディングを学ぶとともに、力強い女性キャラクターに接することになる。これは、コーディングは男性だけがやるものだという先入観を取り払うのに役立つとデュガン氏は説明する。

 また、チュートリアルは「できれば周りの仲間と助け合ってゲームを書くように」と勧めている。これは、コンピュータサイエンスは1人で黙々と取り組むものだというイメージを覆すものだとデュガン氏は語る。

 「コンピュータサイエンスは、部屋に1人でこもりきりになる孤独なプロジェクトだと思われがちだ。でも実際はチームを組んで、みんなで取り組むこともできる」と同氏は付け加える。

先入観を打ち破る

 生徒は、JavaScriptをはじめ複数のスキルを並行して学び、Code.orgが用意したオンラインツールを使ってゲームを作ることができる。タブレットでも操作しやすい、ドラッグ&ドロップ操作中心のバージョンも近く公開される予定だ。

 また、このプログラムの公式Webサイトでは、リリー・コール(英国人モデル・女優)、アシュドン・クッチャー(アイルランド系米国人俳優)、マーク・ザッカーバーグ(米Facebookの創設者)など、子どもたちのロールモデルとなる人物のビデオも公開して、女子生徒やマイノリティーグループ出身の生徒もテクノロジーに関心を持つように工夫している。

 「今日のデジタル化社会では、コンピュータの論理的思考がどの業界でも非常に重視される」とデュガン氏は続けて語る。

 「これだけ幅広い業界の人々と関係を築くのは、学校の先生だけでは難しいだろう。コンピュータ的な思考は、今習得しておくべき、これからの社会で重要になる思考法だと理解してもらうためには、子どもたちと保護者に対してロールモデルを提示しなければならない。われわれは、受講者を全員コーダーにすることを目指しているわけではない。受講者に知的な刺激を与えて、誰もがコーディングに親しみ、コンピュータ的な思考に触れるようになってほしい。また、コーディングは非常に複雑で難しい作業だと、多くの人が思い込んでいる(心理的な)障壁を崩してほしい」

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