情シス不要論が叫ばれる中、業務現場と接点を持ち、一緒にシステム導入を考えていこうというニュータイプの情シスが増えているという。こうした情シスたちを、現場はどう見ており、どんな期待を抱いているのか。
「情シス」と聞くと、「上から降ってきた無茶振りを粛々とこなす人」「安定した社内環境を維持するための縁の下の力持ち」といった、受け身で地味なイメージがついて回ります。しかし、本来、ITで会社を支える情報システム部門はスーパースター的な存在であり、米トップ企業の情報システム部門は「攻める」「改革する」という旗印のもと活躍しています。
日本にもっと、“攻める情シス”を――。そんな思いから生まれたのが、新たなアプローチで企業を変えようとしている「情シス“ニュータイプ“」に話を聞く本連載です。攻めに転じたきっかけ、それにまつわる失敗、成功に結びつけるための取り組み、業務現場との接点の持ち方などのストーリーが情シスの方々の参考になれば幸いです。
情シス不要論が叫ばれる中、業務現場と接点を持ち、一緒にシステム導入を考えていこうという情シスが増えているという。こうした“ニュータイプの情シスたち”を、現場はどう見ており、どんな期待を抱いているのだろうか。今回は、現場サイドの意見を聞いてみることにした。
話をうかがったのは、前職の花王で20年近くWebサイト運営に携わり、Webマーケティング業界の重鎮といわれる本間充氏。2015年10月にアビームコンサルティングに移り、現在は企業のマーケティング戦略の立案やマーケティングのデジタル化を支援している。
「情シスは変に先回りして仕事を作ろうとしなくてもいいんじゃない? ユーザー部門が必要と思えば呼ばれるはずだから」
情シス不要論が叫ばれる中、情報システム部門はどんな風に攻めに転じたらいいのか――。本間氏にそんな質問をぶつけてみたところ、こんな答えが返ってきた。その真意はどこにあるのだろう。
「別に情シスの仕事はなくならないと思うんです。事業部門がクラウドサーバを使うようになったとしても、そのアカウントの管理をしたり、既存のシステムのお守りをしたり、やることはあるでしょ?」
確かにその通りだ。しかし、情シス抜きで導入できる便利なサービスが増えている今、もっと付加価値を生み出すような仕事をしないと、早晩、情シスの必要性は認められなくなってしまうのではないだろうか。
しかし、そんな懸念も本間さんにかかるといともあっさりと覆される。
「情シスは全社のデータを扱える立場なのだから、マーケティングデータの分析も提案もできるでしょう。でも、頼まれてもいない提案を持って行っても、『自分たちがプロだ』と思っているマーケティング部門の人たちは面白くない。向こうから『助けてほしい』といわれるまで待っている方が得策ですよ」(本間氏)
ユーザー部門、あるいは経営側が求めていないのだったら、守りの姿勢のままでも構わないじゃないか――と言うのだ。
本間さんは、情シス部門が付加価値を産む仕事をできないと言っているわけではない。ただ、そのやり方には、「ちょっとした戦略が必要」というのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.