「IoT」で変わる、ITインフラの“理想形”と“現実解”

今、IBMが注目するIoTスタートアップ企業とは?VRライブプラットフォームも登場(1/4 ページ)

IBMのスタートアップ支援プログラム「BlueHub」の第2期が終了。IoTなどで事業拡大を目指す5つの企業がサービスの概要を説明した。ヘルスケアやオートバイ、農業などさまざまなアイデアがビジネスになろうとしている。

» 2016年04月08日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 モノやデータをつないで得た情報を分析することで、新たな価値や知見を生み出すIoT(Internet of Things)。この新たなビジネスチャンスをつかもうと、国内外を問わず、さまざまなスタートアップ企業が立ち上がっており、企業や政府も彼らを支援する施策を行っている。

 日本IBMが主宰するインキュベーションプログラム「BlueHub」は2期目を迎え、IoT分野を中心としたスタートアップ企業5社が選ばれた。本プログラムは、各企業にメンターをつけ、BluemixやSoftlayerといった開発基盤やクラウドインフラを提供するなど、事業化への支援を約半年かけて行う。

 2016年3月、第2期のプログラムを終えた5社が進捗を発表する「DemoDay」が開催され、各自がメンタリングの成果を発表した。IoTを使い、どのようなビジネスがこれから生まれるのか。各企業のサービスを紹介しよう。

心拍パターンから“集中力”と“ストレス”を数値化――「テクニコル」

photo テクニコル 代表取締役 中川達生氏

 腕時計やリストバンド、指輪やメガネなど、昨今さまざまなウェアラブル端末が世に出回っている。今のところ、端末から取得できる生体データをヘルスケアに活用するケースが多いが、テクニコルは端末から取得した心拍パターンから、人間の集中力やストレスを分析するアルゴリズムを開発しているという。

 まずは平常時の心拍パターンを3分ほどかけて計測して基準値とし、基準値からの変化を捉えてストレスや集中状態を数値化する。心拍パターンからストレスを診断するアプリを提供している企業はほかにもあるが、集中力まで可視化したのは「世界初」としている。

 テクニコルのサービスは、専用のハードウェアを必要としないのも特徴だ。最近はスマートフォンのカメラで心拍を把握できるアプリがあるが、アプリで取得したデータも利用可能という。従業員のストレス状況を調査する「ストレスチェック」の義務付けが始まったこともあり、昨今メンタル疾患対策に対する注目度は高まっている。スマートフォンで手軽にストレスチェックを行えるツールとして、広く普及する可能性は大いにある。

 「親友がうつ病になった経験や、長年のサラリーマン生活を通じて『人はもっと生き生きと働けないのか』という疑問を持ったのが起業のきっかけ。メンタルヘルスの予知や、自己表現が苦手な子供の教育に生かせればと思っている」(テクニコル 代表取締役 中川達生氏)

photophoto 心拍パターンから、人間の集中力やストレスを分析するアルゴリズムを開発している(写真=左)。心理状態が分かることから、自己表現が苦手な子供のフォローにも使えるという(写真=右)
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アプリのデモ。スマートフォンのカメラで心拍を計測している
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