Chatbotサービスが各社から登場し、資金調達や買収案件の話を耳にすることが多くなったのも2016年に入ってからの大きな動きだ。特に驚くべきは、Chatbotのシナリオツールと音声認識のベンチャーであるWit.aiが創業18カ月で早々にfacebookに買収されたことだ。既に3億5千万円程度の出資を受けていたので、売却額は二桁億円は超えていると思う。facebookのbotがリリースされる前に、botのシナリオツールが買収されるという気の早さで、もう、何が何だか分からない。botブームが来る前に資金調達や買収される案件も今後増えるだろう。
日時 | サービス名 | 内容 | 金額 |
---|---|---|---|
1月20日 | Luka | レストラン予約 | 5億円(4.42M USD) |
4月 8日 | Troops | セールス支援 | 2.9億円 |
5月 4日 | Liveninja | CS支援 | 2.2億円 |
5月10日 | Wit.ai | botシナリオと音声認識 | FBが買収(金額不明) |
資金調達の状況を見てみると、レストラン予約や、営業支援や、カスタマーサポートといった、従来は人間が行っていた業務をChatbotが代行するサービスが資金調達に成功している。正直に言うと、どのサービスも現時点では“自然言語による会話”というレベルには達していないが、今後の成長が期待される。
Chatbotは第4の産業革命になる可能性はある。ただ、自然会話ができるエンジンはまだ完成レベルにはほど遠く、ましてや、日本語の自然言語による自動応答はまだまだ完全とは言いがたい。
しかし、多くの人間がやっていた情報業務を置き換える可能性は否めない。“Chatbotということを意識して使う”ならば、機能的には今でも特に問題はないからだ。
それでは一体、どんなサービスでChatbotが活躍するのか。Chatbotで代替できそうな情報業務は次の通りだ。
第1次産業革命当時、仕事を失った労働者が工場の機械を破壊する運動が起こった。いわゆるラッダイト運動というものだ。第4次産業革命が進展する近未来、Chatbotは失業者を増やし、21世紀のラッダイト運動を引き起こすのか? それとも、Chatbotが仕事をしてくれるようになって、その分、われわれの給料が向上し、定時に帰れるようになるのか――。
おれたちの第4次産業革命は、まだ、はじまったばかりだぜ!
本連載の著者、村上福之氏が女子高生AI、「りんな」をベースにしたbot、fukuyuki_botを公開しました。普通で一般的な話題を持ちかけると案外、普通に会話してくれるそう。ぜひ、いろんなアプローチで面白い話を引き出してくださいね。
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