Android OSの各バージョンには、お菓子にちなんだ名称が付けられている。Android 7.0の名称は「Nougat(ヌガー)」という。Nougatがどんなものかご存じですか?
スマートフォンではおなじみの「Android」というOSだが、Windowsに「XP」「7」「10」という番号や名称が振られているように、Androidにも「愛称」のようなコードネームがある。Android 7.0は、「Nougat(ヌガー)」という。
Nougatは砂糖菓子の一種で、中にアーモンドなどのナッツ類を包含する形で固形化されているのが特徴。もともとは中東方面が発祥で、後に欧州方面に伝搬してフランス菓子のバリエーションの1つとして知られるようになった。
ただ、「Android OSの次の名称がNougatに決定」というニュースを聞いても「Nougatって何?」と思った人は多かっただろう。実際、Nougatはそれほどメジャーなお菓子ではないようで、筆者が米国のサンフランシスコでNougatを売っている店を探すべく歩き回っていたところ、中東系の食品を扱う店でようやく目的のNougatを発見したほどだ。
さて、そのAndroid OSに付けられる名称だが、毎回お菓子をテーマにしていることが知られている。アルファベット順に、そのアルファベットの頭文字を持つお菓子が名称として採用されている。
例えば、Nougatの前は「Marshmallow(マシュマロ)」であり、その前は「Lollipop(ロリポップ)」だった。Nougatの次は「O」のアルファベットで始まるお菓子の名前が付く可能性が高く、早くも次のAndroidの名称が何になるのかの予想が始まっている。過去4〜5年ほどは、1年に1つのペースでAndroid OSの新版が発表されているため、毎年の恒例行事といえるかもしれない。
注意点としては、下記の表のように、この一連の名称とAndroid本来のバージョン番号の付与規則は一致していないことが挙げられる。また名称やバージョン番号とは別に「APIレベル」というものが設定されており、Android上で動作するアプリはこのAPIレベルに依存している。例えばAPIレベルが「23」を想定しているアプリは、Lollipop以前のAndroid OSでは動作しないというわけだ。
Androidの名称 | バージョン番号 | APIレベル |
---|---|---|
― | 1.0〜1.1 | 1〜2 |
Cupcake | 1.5 | 3 |
Donut | 1.6 | 4 |
Eclair | 2.0〜2.1 | 5〜7 |
Froyo | 2.2.x | 8 |
Gigerbread | 2.3.x | 9〜10 |
Honeycomb | 3.0〜3.2.x | 11〜13 |
Ice Cream Sandwich | 4.0.x | 14〜15 |
Jelly Bean | 4.1.x〜4.3.x | 16〜18 |
KitKat | 4.4.x | 19 |
Lollipop | 5.0〜5.1.x | 21〜22 |
Marshmallow | 6.0.x | 23 |
Nougat | 7.0 | 24 |
表を見て気付いたかもしれないが、Cupcake以前の「A」と「B」に該当する名前は存在しない。Cupcakeの提供開始が2009年4月だったので、それ以前に提供されていた製品ということになる。なお、日本国内で最初に提供されたAndroid端末はNTTドコモの「HT-03A(開発コード名はHTC Magic)」であり(提供開始は2009年夏)、発売時点でCupcake搭載の製品となっている。では、Cupcake以前に提供されていたAndroidはどのような名称を持っていたのだろうか。
正解は「(正式名称は)ない」。世界最初のAndroid端末である「T-Mobile G1(開発コード名はHTC Dream)」が米ニューヨークで開催された説明会で発表されたのは2008年9月23日のこと。米国での発売はその1カ月後だ。
発表当時はまだOS自体が名称を持っておらず、説明会で展示されていたデモ機も「バージョン1.0に該当する“らしい”OSが搭載されていた」という状態。今日のAndroidスマートフォンとは比べものにならないほどユーザーインタフェースが洗練されておらず、動作も緩慢だった。同機に初めて触れた筆者は「未完成でとても売れる製品ではない」と感想を抱いていたほどだ。
そのため、開発中のOSであるということを象徴するかのように、Cupcake以前のバージョン1.0〜1.1のAndroidには「Alpha」「Beta」という名称が付けられていたといわれている。コンピュータの世界では、開発中のソフトウェアのバージョンに「α版」「β版」のような名称をよく用いるが、それに近い位置付けだったように思えるし、いかにもコンピュータ技術者的な名称だったと考える。商用的成功を収め始めた次バージョン以降に「Cupcake」のようなお菓子の命名規則を採用したのは、Googleの一種の遊び心なのだろう。
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