DMP、効果を問われて大ピンチ?DMP成功まで、あと1センチ(3)(1/2 ページ)

DMPを導入しようとした際に、上司に“売上にどれくらい貢献するの”と聞かれて、言葉に詰まった経験はありませんか? どうすれば、この障害を乗り越えられるのでしょうか。

» 2016年12月09日 08時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 企業でデータ分析を始めようとするとき、カベになりやすいのがROI(投資対効果)の問題です。データ分析がどのようにビジネスに好影響を与えるのか――この問いに返せないことでプロジェクトが止まっているという例がよくあります。こんな相談を受けることもしばしばです。

DMPを導入するために上司の同意を取り付け、体制も整えて、ベンダーも決まりました。後は予算の関係上、担当役員のOKをもらうのみ。

ところが、根回し不足が原因なのか「利益への貢献度合いを示せ!」と号令が落ちて、急きょ、導入後のCPAやLTVの改善シミュレーション計算をするハメに……。DMPってそういうことじゃないでしょう? 理解の浅い役員に困っています。

「それでナンボもうかるんや?」と聞かれるのはDMPだけじゃない

photo DMPがどれだけ利益につながるか、という質問自体は自然なもの。問題はそれにどう答えるかです

 企業として活動している以上、仕事で利益を意識するのは自然なことではあります。経営視点では、「そのシステムを導入するのはいいけど、どれくらい利益に貢献するの?」という質問は、当然のものなのです。

 これはDMPに限らず、あらゆるシステムの導入時に聞かれることでしょう。そのために費用対効果を計算した経験は、誰でも一度はあるのではないでしょうか?

 このようなケースの場合、どちらかと言えば、費用対効果を問われた際に「CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得コスト)やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の改善シミュレーションを提案してしまうこと」に問題があるように思います。これまでの連載でお話ししてきた通り、データから得られたインサイトを基に行動する「アクション」の部分は、あくまでDMPの価値の半面でしかありません。

 そこで今回は「DMPの売上への貢献度を示せ!」と言われた際の切り抜け方についてお話ししようと思います。

「インサイトの発見」の大切さにどれだけ理解があるか?

 まず、データ分析へのモチベーションを測る“試金石”として、DMPのもう1つの側面である「インサイト」に焦点を当てて、上司に説明する方法がオススメです。

 「顧客を動かす隠れた心理を見つけるには、データを基に、課題を発見したり、仮説を構築したりといった試行錯誤が欠かせません。あらゆる施策は、データがなければ単なる思い付きにすぎません。そこで、DMPのようなデータを扱うためのシステムが必要になってくるのです」

 このように説明して、理解を示してくれる上司の権限で決済できる金額が、最初に取り組めるDMPの規模になるのです。

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