今、注目を集めている「SDS(Software Defined Storage)」の定義と用途を解説。SDSを利用した「SDDC(Software Defined Dada Center)」にも言及します。
この記事は羽鳥正明氏のブログ「仮想化&ストレージの基礎と最前線」より転載、編集しています。
今回は、最近市場をにぎわしている「SDS(Software Defined Storage)」について解説します。まだ定義が明確ではなく、用途も広いため、つかみづらいところもあると思いますが、今後、徐々に整理されてくると思います。
SDSの概念や定義については、国際的なストレージ業界団体SNIA(Storage Network Industry Association)が標準化に向けて細かな定義を行っています(ちなみに、筆者が勤めるティントリジャパンはSNIA Japanのメンバーです)。それによりますと、SDSの必須要件としては、「自動化」「標準化されたインタフェース」「仮想化されたデータパス」「拡張性」「透過性」の5つの項目が定義されています。
自動化は、ストレージの運用を自動化し、運用の複雑性やコストを低減できることとしています。
標準化されたインタフェースは、ストレージの管理や活用にかかわる操作を標準的なAPIで操作できることと規定しています。
また仮想化されたデータパスは、ブロック、ファイル、オブジェクトといった多様なインタフェースをサポートできることと規定しています。
さらに拡張性については、可用性やパフォーマンスに影響なく、柔軟にストレージインフラを拡張できるものとしています。
透過性については、ストレージ利用者自身がリソース利用率やコストなどをモニタリングし管理できることが要件に盛り込まれています。
こうした要件はまだ完全にSDSとして標準化されているわけではありませんが、今後、全ての製品がこの方向に集約されていくことが予想されます。
現状で市場に投入されているSDS製品は、単独の製品で上述のように定義された機能を全て満たすものはほとんどなく、一部をカバーするものが多いのが現状です。
現存する製品としては、コントロールプレーンの領域ではストレージ制御や、自動ソフトウェアの領域ではデータパスに介在せず、異機種ストレージ環境に対応し、ポリシーベースのプール化が行われるものや、高度な自動化を実現したものが登場しています。
またコントロールプレーンのストレージ仮想化の領域では、データパスに介在してストレージを仮想化するものや、異機種ストレージ環境に対応し、無停止で筐体間のデータ移動や移行を実現するものが登場しています。
一方データプレーンの領域では、サーバ動作型ストレージソフトウェアは専用ストレージハードウェアではなく、汎用サーバを利用してストレージを構成するものが登場しています。
さらに、データプレーンの領域では、仮想アプライアンス版ストレージも登場しており、既存のストレージ製品のOSやファームウェアを仮想アプライアンスとして提供するモデルや汎用サーバ、クラウドサービス上で動作可能なものが発売されています。
このように、既にさまざまな種類の製品が投入されるようになっていますが、その目的と期待される効果はかなり異なってきますので、まず利用者視点でのニーズありきで製品導入を考えていくことが重要になりそうです。
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