NTTデータが予測、社会を激変させる「8つのITトレンド」Weekly Memo(1/2 ページ)

NTTデータが人とシステムの関係を軸にしたITトレンドについてまとめたレポートを発表した。システムインテグレーターの視点による興味深い内容なので紹介しておきたい。

» 2017年01月30日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

AIが際立ったNTTデータのITトレンドリポート

 NTTデータが1月27日に発表した「NTT DATA Technology Foresight 2017」は、今後、社会にインパクトを与える先進技術を継続的に調査し、同社の視点でまとめたITトレンドリポートである。それによると、同社は図1のように8つのトレンドを挙げている。発表会見では、同社取締役常務執行役員 技術革新統括本部長の木谷強氏がその内容を説明した。

Photo 「NTT DATA Technology Foresight 2017」に示された8つのITトレンド

 1つ目は「人工頭脳の浸透」。機械学習技術の発展とオープン化はAI(人工知能)を急速に浸透させ、生活の利便性向上や知的労働不足の解消、科学の劇的な進歩を生み出す。あらゆる領域でAIは必然となり、AIを活用する知識・技術が競争力の源泉となる。キーワードは「ディープラーニング(深層学習)」である。

Photo 記者会見に臨むNTTデータ取締役常務執行役員 技術革新統括本部長の木谷強氏

 2つ目は「対話型コンピューティング」。音声認識技術や感情理解技術などの発展は、人とシステムの自然でシームレスな対話を可能にする。真のパーソナライズを実現する知的対話型システムは人の行動を変え、社会とのつながり方や意思決定の方法さえも変革する。

 3つ目は「環境認知ロボット」。画像や音声などの認識技術の発展により、ロボットは高度な環境認知能力を持ち、自動運転車やドローンを中心に活躍の場を広げる。自動化のみならず、今までできなかった高度な作業を実現し、産業構造さえも変えていく。

 4つ目は「プレシジョンライフサイエンス」。DNA解析や生体センサーなどの普及は、個に関するデータを生み続け、データ駆動のライフサイエンスを加速させる。遺伝子や生活習慣などが複合する原因の解明が進み、治療に加えて予防も個に適した形で実現されていく。

 5つ目は「超臨場チャネルの獲得」。VR(仮想現実)/AR(拡張現実)デバイスの急速な進化と普及により、デジタル世界と実世界は融合し、さらに拡張されていく。この新たな三次元空間では人間の知覚さえも合成され、知識や体験が流通し共有されていく。

 6つ目は「IoT(Internet of Things)時代のセキュリティ」。IoTデバイスの遍在は、より広範囲で精細な情報収集を可能にしたが、情報漏えいや大規模攻撃のリスクも拡大させた。膨大な情報の活用が生む価値は高まり続けるが、その扱い方や守り方には変化が求められている。

 7つ目は「ITインフラの多様化とサービス化」。AIやIoTに必要な膨大な計算能力を満たすため、これまでの汎用型だけでなく目的特化型の新たなインフラが登場する。クラウドサービスは多様化するインフラを即座に取り込み、機動的な活用を可能にする。

 8つ目は「コラボレーションデザイン」。APIエコノミーの発達やUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの興隆は、革新的なサービス創造とその継続的な進化を容易にする。IoTの普及は人とシステムのインタラクションを抜本的に変え、より自由なユーザー体験を実現する。

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