デジタルマーケティングの認識高まる 「既に成果」は37.0%――富士通総研調べ

富士通総研の調査によると、35.3%の企業がデジタルマーケティングに取り組んでいるが、デジタル化の認識は業種により差があり、成果を挙げているのは37.0%にとどまることが分かった。

» 2017年01月25日 08時45分 公開
[ITmedia]

 富士通総研は1月23日、企業におけるデジタル化への認識とデジタルマーケティングの取り組み実態に関する調査結果を発表した。

Photo 回答企業の業種構成・売上構成(富士通総研『デジタル化への認識とデジタルマーケティングの実態調査』より)

 同社は、インターネットやスマートフォンの普及によって顧客の商品情報収集や問い合わせが、従来のカタログや対面といった“アナログ的な手段”から、Web検索や電子メール経由のように“デジタル化”していると解説。調査結果では、このようなデジタル化によって企業やビジネスが「既に大きく変化している」と回答したのは全体平均で8.6%、業種別では、最終顧客と直接取引している業種での比率が高い一方、BtoB(企業間取引)サービス業は20.2%だった。

 デジタル化による変化は、まだ一部にとどまるとみられるが、1〜2年から5年ほどの範囲において「変化がありそう」との回答は52.8%に達し、半数以上が今後のデジタル変革を予想している結果になった。

Photo 「業種別デジタル化による変化の認識」:デジタル化で企業やビジネスが「既に変化」は8.6%にとどまるが、「変化がありそう」は半数を超える

 デジタルマーケティングの取り組み状況は、「既に取り組んでいる」が全体平均で35.3%となった。業種別に見ると、取り組み比率が高いのは、BtoC(企業対消費者取引)に小売・外食業(57.6%)、BtoCのサービス業(52.9%)、BtoBのサービス業(38.1%)の順番だった。

 デジタルマーケティングへの取り組みが先行しているBtoC企業だけでなく、デジタル化によるビジネスの変化認識が高いBtoBサービス業や製造業でも実践が始まったと、同社はみている。

Photo 「業種別デジタルマーケティングの取り組み状況」:小売やBtoCサービス業に加えて、BtoBサービス業やBtoB製造業もデジタルマーケティングを実践

 ただし、デジタルマーケティングに取り組んでいる企業のうち「成果を上げている」と答えたのは37.0%で、残りは「成果はまだ見えていない」と回答していることから、同社では、「今後に期待がかかる状況である」と分析する。ただ、特にBtoC製造業(79.3%)、BtoB製造業(77.4%)で成果が見えていないとの比率が高い。

 一方で成果を上げているのは、社内の協力を得ながら、顧客の獲得・販売といった成果が見えやすい目標を設定し、そのプロセスを回している企業に多いことが分かった。

Photo 「業種別デジタルマーケティングにおける成果の有無」:成果を上げている企業は37.0%にとどまり、今後に期待

 同社では、今回の調査結果から、デジタルマーケティングに対する関心が高まり実践する企業が増えているが、ツールを導入したにもかかわらず成果を得られていない企業が多いとしている。デジタルマーケティングの成果を上げるには、デジタル化の変革を社内で共有し、成果がみえやすい適用領域で試行錯誤を行うなどの目標設定が重要になると、同社は指摘している。

 この調査は、年商上位1万社のマーケティング担当者を対象に実施したもので、842社から回答を得た。調査期間は2016年9月。同調査では、回答企業の業種を「BtoC製造業」「BtoC小売・外食業」「BtoCサービス業」「BtoB製造業」「BtoB商社・卸業」「BtoBサービス業」に分類、分析した。

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