Windows 10の最初のリリースがサポート終了、複雑すぎるサポートポリシーの中身Enterprise IT Kaleidoscope(3/3 ページ)

» 2017年02月01日 07時30分 公開
[山本雅史ITmedia]
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分かりにくいWaaS

 こうした複雑なWindows 10のサポート ライフサイクルによるWaaSは難解であり、その点はMicrosoftも把握しているようだ。できるだけ決まったスケジュールで機能更新プログラムを提供しようと考えている。同社は当初、年3、4回のアップグレードを考えていたが、ユーザーからのフィードバックによって年2回のアップグレードに落ち着いたのだろう。2016年のリリースがWindows 10 Anniversary Updateの1回だけだったのは、年2回のアップグレードを提供する体制に変更するためだったとみられる。

 WaaSの別の特徴としては、毎月提供されるセキュリティアップデートが個別にではなく、品質更新プログラムとして1つのアップデートプログラムにまとまった形で提供されている点だ。これは、Windows 10以前のOSでは個々のモジュールとしてセキュリティアップデートが提供され、企業によっては特定のパッチだけをインストールしているからだ。セキュリティアップデートを長く提供していると、OSが細分化してしまう。そこで、セキュリティパッチを“一つの塊”として提供することにより、OSが細分化してしまうのを抑止するのが狙いだ。

 Windows 10ではこのセキュリティパッチの“一つの塊”が「品質更新プログラム」として提供されるが、Microsoftはこの方法をWindows 7や8.1にも広げていく予定だ。これでWindows 7/8.1も細分化しないようにしていく。

Windows 10以前のWindows Updateでは、ユーザーがインストールできるセキュリティパッチを選択してインストールできたが、Windowsのフラグメンテーション(細分化)を引き起こしていた。Windows 10では全てのパッチをひとまとまりで提供する

 IT管理者にとってWindows 10のWaaSは、アップグレードに伴うテストなどを、これまでより短期間でしなければならなくなる。その頻度も年2回と、以前に比べて信じられないほどの頻度だ。そのためMicrosoftでは、Windows 10におけるアプリケーション互換性を非常に高くし、Windows 7/8.1とデスクトップアプリケーションの99%は動作するようになっている。Webブラウザは、後方互換性を確保するためにInternet Explorer 11がEdgeとは別に用意されている。

 さらに、アップグレード時のトラブルを事前に分析できるよう「Windows Upgrade Analytics」というサービスも用意している。このサービスを利用すれば、事前にどのデバイスで問題が起こるのかなどをチェックできる。

Windows 10は、Windows 7/8.1が持つWin32APIへの変更を最小限にし、デスクトップアプリケーションの互換性が99%以上となる
アプリケーションの互換性の検証は図にあるようなステップで行う
Windows Upgrade Analyticsは、デバイスごとにアップグレード時の問題点を洗い出すことができる

 また、「Windows Update for Business」(WUB)を使用すれば、社内でアップグレードするマシンの順番をグループピングできる。これによって例えば、トラブルでビジネスに重大な支障が起きかねない経理部門のPCのアップグレードは期間の最後にするといったコントロールが可能になる。

WUBでは、どの端末に、いつ、機能更新プログラムを適応するのかをコントロールできる

 WaaSのコンセプトは、企業にとって分かりにくいかもしれない。しかし、年2回のアップグレードに合わせていくには、WaaSのコンセプトを取り入れ、最新のWindows 10に移行し続けることだ。Windows 10は既存のWin32 APIを変更しないよう開発され、アプリケーションの高い互換性を実現しているから、ある程度はMicrosoftを信じていくしかない。もしWindows 10をテストするなら、やはり移行期間中にテストすることになるだろう。そのために、WUBでアップグレードのスケジュールをコントロールできるようになっている。

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