そもそもDMPとは、勘や経験に加えて、データという裏付けされた根拠を作るための「装置」である以上、どちらかと言えば、今ある業務に新たに加わる「業務」という性質が強いので、リソース不足に陥らないように業務時間の調整や時間や人の追加をしていきましょう。
……と頭では分かっていても、「せっかくお金をかけてツールを作ったのになぜ?」と感じたり、納得がいかなかったりする人もいるかもしれません。
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(略称:JUAS)が毎年発表している「企業IT動向調査」の中に、興味深い統計資料があります。2017年版の結果の中にIT予算に関する統計資料があります。本資料によると、2017年も大企業、中小企業ともに積極的なIT投資が展開される一方、その投資の目的として、最も多かったのは「業務プロセスの効率化」だったことが紹介されています。
このグラフでは、「IT投資で解決したい中期的な経営課題」のうち、各課題が1位〜3位の何%を占めたか、合計ポイントの高い順に並べています。数ある課題のうち「業務プロセスの効率化」について、1位と回答したのは22.0%、2位は16.7%、3位は11.4%、つまり、全体の半数は“ITを活用した業務効率化”が課題だと考えているのです。
一方で「ビジネスモデル変革」「差別化・高付加価値化」はそれぞれ15.5ポイント、13.9ポイントと、効率化の3分の1、4分の1程度しか“課題”として認識されていません。つまり、ITとは改善のために使うもので、創造する手段だと認識されていないのです。これではDMPも導入する手前でつまづくわけです。「IT=業務効率化」と考えている人が大勢いるわけですから。
もしDMPを使わなかったとしても、今、目に見えている何かが変わるわけではありません。DMPを使ったことで生まれたであろう成果が、生まれなかっただけです。しかし、何のためにDMPを導入するのでしょうか? 新たな顧客を発見するためではなかったのでしょうか? その感覚に敏感な企業だけが、DMPを使いこなせるのかもしれません。
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