DMPを導入すれば、業務が楽になると思っていた――。そんな“勘違い”をしている企業は意外と多いもの。DMPは構築して終わりではなく、むしろそこからが本番。今回のテーマに「あーあるある」とうなずいてしまったアナタ。危険な職場にいるって、分かってますか?
データ分析の現場では「PDCAを回す」ことが基本中の基本ですが、それがままならない企業が多いのが現実です。連載の第1回で紹介したように、DMPの目標が「インサイトの発見とアクションの実行」であるならば、むしろ完成してからが始まりのはずです。ですが、DMPを構築しただけで満足してしまう、力尽きてしまう企業も少なくありません。中にはこのような声もあるようです。
無事にDMPの納品も済ませ、いよいよ運用開始! ……でも、操作履歴を見ると、ユーザー企業がログインした形跡がほどんどない。担当者に聞いてみると「忙しくて触れてないんですよぉ〜」って、このまま俺らSIerと広告代理店さんがレポートを出すためだけのツールになっていいのかな?
「DMPを導入すれば、業務が楽になると思っていた」。そう口にする人は少なくありません。大げさに言えば、DMPは「散らばったデータを1カ所に集めて、グルグル回すと何か出てくる魔法の箱」と表現されてきたため、そう思っても不思議ではありません。
イソップ寓話の「金のおの」を持ち出して「そんなおの(データ)を落としても、金のおのを持った神は現れませんよ」と冷めた目をしていたマーケターは少数派だったのではないでしょうか。
はっきり言ってしまえば、DMPは“時短ツール”ではありません。確かに「アクション」の面だけを捉えれば、そのような一面もあります。今までどのターゲット層にメールを送るか悩んでいたところを、DMPを使えば、一瞬で解決し自動送信までしてくれる、といった事例は数多くあります。しかし、それはあくまでDMPの一面であって本質(核)ではないでしょう。
自動化や効率化というのは、仕事量(時間)を減らすことを目的としています。基本的には、成果量の増加に対する期待は二の次、これをきっかけに量が増えれば良いなという程度でしょう。しかし、インサイトの発見とは、新たな「発見」とそれに伴う成果の質の向上を目的としています。効率化とは次元が違う話なので、業務量はむしろ増えることの方が多いです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.